【完結】姉の婚約者を奪った私は悪女と呼ばれています

春野オカリナ

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 学校へ入学する準備をしていた時、メイドから

 「奥様が倒れられました」

 知らせを聞いて医者を呼び、学校への入学は、無くなった。

 直ぐにエリザベスに知らせたが、彼女は帰って来なかった。

 その後も予断が許さない状況が続いたが、何とか落ち着いた頃には、大伯母は体が不自由になっていた。

 介護が必要になったのだ。意識がはっきりしているので、「何度も死にたい」「いっそ殺して欲しい」と懇願される毎日が続いた。

 エミリーの精神は、限界に近かった。助けを出してくれたのは、スタンレー侯爵だった。

 看護師や医者を派遣して、エミリーの手助けになるよう手配し、又領地の経営についてもよく相談にのってくれた。

 しかし、移り行く季節がどのくらい変わろうとも姉であるエリザベスからは、何の音沙汰もなかった。

 既に学校も卒業し、何処かに勤めている事は知っていたが、王都から帰って来ることはなかった。

 そんな日々を過ごして2年後、木々が色とりどりの紅葉を見せ始めた頃、大伯母は、還らぬ人となった。

 色々と手助けをしてくれたスタンレー侯爵も床に付しがちになっていた。

 エミリーは、大伯母の時の恩返しのつもりで、彼の世話を進んでした。

 領地の人間は、皆エミリーの味方だった。

 スタンレー侯爵はエリザベスとの結婚を急ぐようアルフレッドに伝えたが、やはりエリザベスからの返事はなかった。

 「アルフレッド、わしが死んだらエミリーと結婚しなさい。元々そうしたかったのだが、ブラウン伯爵夫人が手放さなかった。だが、もう彼女もいない。エミリーを守ってあげなさい。それがわしの最後の頼みだ」

 アルフレッドの心には、まだエリザベスへの未練があった。

 「自分だって初恋の相手を忘れられない癖に…」

 死に行く祖父の願いを叶えるため、祖父のベッドの傍らで、神父を呼びエミリーと簡単な式を挙げた。

 それを見届ける様に祖父は、旅立った。

 エミリーは、18才で侯爵夫人となった。
 
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