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新しい国

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 元々、王都を遷都する計画はウィリアムの曾祖父が立てていて、祖父の時代にする予定だった。

 しかし、祖父が急に亡くなった為に暗礁に乗り上げた様になっていた。

 遷都する予定の地はウィンダリア

 あの時、ウィリアムは視察で訪れていた。

 レイティアも父に連れられて偶然訪れていた。

 これも神のお導きかもしれない。二人は出逢うべくして出逢った。

 その後、二人は密かに文通をして、近況報告をしていたのだが、現国王は先王に酷いコンプレックスがあり、遷都に反対していた。その反対派のルクセンブルク公爵家のオフィーリアを婚約者にして、妨害しようと画策していた。

 ウィリアムは知っていたからこの国の貴族の2/3を味方につけ、又商会等を自身で立ち上げながら財産も増やした。

 今、国庫も少なくなっており、ウィリアムの財産でまかなっている状態なのだが、国王もオフィーリアもマテウスも知らない。

 オフィーリアは元々、浪費家で傲慢な性格をしている。

 自分に靡かないウィリアムを嫌っていて、マテウスを次の王太子にするべく動いていた。

 ウィリアムに王宮での夜会に出席した後、買収した侍女を使って媚薬を部屋に焚かせた。

 そして、ウィリアムを好きな令嬢を閨に忍ばせたのだが、これも小飼の部下に予めウィリアムが指示を出していた。

 実際には何もなかったが、合った様に、振る舞うよう寝所にいた令嬢に口裏を合わせさせた。

 そして、自ら「王太子ウィリアムが不貞を働いた」と噂を流した。

 協力していた侍女も捕らえている。

 駒に使われた令嬢は修道院に入って罪を償っている。

 言い逃れの出来ない状態を作っている。

 多くの貴族達はウィリアムについて新しい国造りに着手した。

 後一週間後には新体制が整うことになっている。

 そう、一週間後には全て終わる様に仕組んでいる。

 レイティアも度々王都に住む国民に噂を流していた。

 「新しい国では、学校の義務化、職業の選択権、税金の見直し等が大きく変わり、今よりも良い暮らしが送れると」

 実際、現王都は四方を森や山に囲まれ、物資の輸送等に手間が掛かる為、遷都をして海からの貿易を盛んにしようと先王達は考えていた。

 だが、愚かな現王は強固に反対し、国を傾ける結果となった。

 今回、ウィリアムは新たな国を興し、その為に国の膿を出す為にこの茶番を利用したのだ。

 さて、本当に勝ったのはどちらかな。

 愚か者達は一週間後、自分達に何が起こるのまだ知らなかった。


 
 

 






 
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