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第一部 ダリアとリュード
怖い人ではなかったけれど
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何年にも渡りソフィーから盛られた毒の後遺症は本当に現れなかった。ダリアはリュードとの最初の子供を妊娠した時に何度も確認したのだが、解毒剤は良くできていたようで、母胎にも子にも毒による影響はなかった。二度の人生においても初めての経験だった妊娠は思っていたよりは大変だし、最初は慣れなかった。
だけどあの怖い顔のリュードの顔面が崩壊したり、使用人がいつになく優しすぎたりを見ていると、初めてでも出産は怖くないと思えた。
その頃、夫は密かに、ダリアが出産で死ぬぐらいなら産まなくても、と後ろ向きになっていたらしいが、その心配は無駄になった。
ダリアがリュードとの子との生活を望んだから。
ダリアとリュードの初めての子供は、リュードによく似た厳しい目元にダリアによく似た可愛らしい顔立ちを携えた男の子だった。
使用人達は、リュードに似てるのに可愛い子供に感動しつつも戦慄し、中々複雑な心境になったようだ。
ディエゴと名づけられた子は、スクスクと成長し、リュードとダリアの取り合いをするぐらいには成長した。
職業上、あまり弱みになるような幸せな家族はいらない、とさえ考えていたリュードだが、ダリアを得た時にすでにその考えは捨てている。
「まさかこんなに可愛いなんてな。」
リュードの呟きにダリアは嬉しくなる。ダリアもリュードも親に恵まれた人生ではなかっただけに、自分達が親になった時、子供達をうまく愛せるか心配だったのだ。
だけど、リュードの表情を見れば、彼らを愛していることはすぐにわかるし、ダリアを愛しいと思っていることは疑いようもない。
ダリアは悪役になって、彼と添い遂げようと思っていたけれど、それによってこんな幸せを手に入れるとは思っていなかった。
ディエゴの翌年には、カルラが誕生して、リュードの表情が柔らかくなった。
リュードの表情は「怖い」から、「優しい」に変わったりはしないけれど、社交界に出ても何も言われなくはなった。
クルデリス家が担っている仕事が変わる訳ではない。次代もその次の代もリュードと同じ立場で淡々と、仕事をこなしていくだろう。
中途半端な悪は全て退治され、そうでない真の悪は、王家を味方にうまく立ち回る。ダリアは今更、悪ではない、とは言わない。ちゃんとした悪として、ダリアは一生を過ごしていく。
「私、貴方と結婚して幸せよ。ありがとう。」
ダリアはずっと思っていたことを改めて口にする。
「こちらこそ。私にその幸せを教えてくれて、ありがとう。愛している。」
ダリアは何度人生をやり直しても、彼と結ばれるために頑張るだろう。記憶がなくても、彼に選ばれる人になりたいと思う限りは。
だけどあの怖い顔のリュードの顔面が崩壊したり、使用人がいつになく優しすぎたりを見ていると、初めてでも出産は怖くないと思えた。
その頃、夫は密かに、ダリアが出産で死ぬぐらいなら産まなくても、と後ろ向きになっていたらしいが、その心配は無駄になった。
ダリアがリュードとの子との生活を望んだから。
ダリアとリュードの初めての子供は、リュードによく似た厳しい目元にダリアによく似た可愛らしい顔立ちを携えた男の子だった。
使用人達は、リュードに似てるのに可愛い子供に感動しつつも戦慄し、中々複雑な心境になったようだ。
ディエゴと名づけられた子は、スクスクと成長し、リュードとダリアの取り合いをするぐらいには成長した。
職業上、あまり弱みになるような幸せな家族はいらない、とさえ考えていたリュードだが、ダリアを得た時にすでにその考えは捨てている。
「まさかこんなに可愛いなんてな。」
リュードの呟きにダリアは嬉しくなる。ダリアもリュードも親に恵まれた人生ではなかっただけに、自分達が親になった時、子供達をうまく愛せるか心配だったのだ。
だけど、リュードの表情を見れば、彼らを愛していることはすぐにわかるし、ダリアを愛しいと思っていることは疑いようもない。
ダリアは悪役になって、彼と添い遂げようと思っていたけれど、それによってこんな幸せを手に入れるとは思っていなかった。
ディエゴの翌年には、カルラが誕生して、リュードの表情が柔らかくなった。
リュードの表情は「怖い」から、「優しい」に変わったりはしないけれど、社交界に出ても何も言われなくはなった。
クルデリス家が担っている仕事が変わる訳ではない。次代もその次の代もリュードと同じ立場で淡々と、仕事をこなしていくだろう。
中途半端な悪は全て退治され、そうでない真の悪は、王家を味方にうまく立ち回る。ダリアは今更、悪ではない、とは言わない。ちゃんとした悪として、ダリアは一生を過ごしていく。
「私、貴方と結婚して幸せよ。ありがとう。」
ダリアはずっと思っていたことを改めて口にする。
「こちらこそ。私にその幸せを教えてくれて、ありがとう。愛している。」
ダリアは何度人生をやり直しても、彼と結ばれるために頑張るだろう。記憶がなくても、彼に選ばれる人になりたいと思う限りは。
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股の緩い という表現だと女性的、もしくは受け身側の男性的表現かと。(尻軽と同様)
腰の軽い だとなんとなく男性用な蔑み言葉としてしっくりきそうですね。
なるほど。表現って難しい……今調べてみたら確かに「股の緩い」は女性に使う表現みたいです。男性的な「腰の軽い」は自分的に良い意味に捉えられそう?と思ってしまって、「女好き」にとどめることにしました。ご指摘ありがとうございます。気づかなくて恥ずかしいところでした。
夜中にふと目覚めてしまい寝付けなかったのでランキングからこちらに。惹き込まれて一気読みしてしまいました。人生2回目のダリア。淡々としていていいですね。怖いはずの旦那様もダリア沼に嵌っていっている過程が楽しいです。更新楽しみにしています。
感想ありがとうございます。何か最近特にですが、恋愛要素少なめの話ばかり書いていたので、がっつり系を描きたくて書き始めたのですが、難しくて……楽しんで頂けて良かったです。