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あの方からの招待状
しおりを挟む「婚約パーティー?」
「ああ、ルーファス殿下の新たな婚約者のお披露目パーティーの紹介状が届いたのだ」
「へぇ、一方的に婚約解消を突き付けておいて、新しい婚約者のお披露目かよ…」
ルーファス様から突然届いた招待状によって、楽しい夕食の空気が一変しました。
私は特になんとも思っていませんが、リックス様やお義父様達は前婚約者である私の事を気にしてくれているようで、少し心配した様子でこちらに視線を送って下さいます。
「あの、私の事でしたらお気になさらないで下さい。私としましたは、ルーファス様に特別な感情を抱いてたという訳ではありませんし、寧ろ向こうから婚約解消を申し出て下さって感謝しているほどですから」
「そうなの?でも、エリーナちゃんの時よりも大規模なパーティーを開く様なのよ?」
そういえば、私の時は本当に身内ばかりの小規模なパーティーだった気がします。
ですが、元々乗り気ではありませんでしたし、私としてはパーティーの規模がどうだなんて考えたことがありませんでした。
「予算をどこから捻出したのかは少し気になりますが、お2人が幸せなら特に思うことはありません」
本心で笑顔のまま言えば、お義母様が「なんていい子…」と言われてしまいました。
本当に他意はないのですが…。
「エリーナちゃんが気にしないと言うのなら、私達がこれ以上どうこう言うのは無粋よね。なら、話を変えましょう」
空気を変えるようにお義母様が優しく手を打たく。
そして、キラキラと輝いためで私を見つめてくる。
「エリーナちゃんのドレス、どんなのにしようかしら!」
「ドレス…ですか?」
「ええ!パーティーに参加するならドレスが必要でしょ?でも、エリーナちゃんの荷物にはドレスはなかったから新しいのが必要よね?」
ウキウキと楽しそうに話すお義母様に、自身がパーティーに出席するという当たり前な事に今更気付く。
そうですわ。リックス様に招待状が届いたのなら、婚約者である私が出席するものですよね。
ルーファス様の気まぐれで、婚約者なのにパートナーとして参加しない事の多々あったので忘れていましたわ。
「………パーティーに、出席したくないのか…?」
少し過去の事を思い出していると、リックス様が伺うように私に問いかけてくれる。
おそらく、元婚約としてルーファス様の婚約パーティーに出席する事に気まずさを感じていると思われたのでしょう。
「いえ、出席したくないなど思っておりませんわ。ルーファス様と婚約者様には心より幸せになって頂きたいと思っておりますもの」
「そうか。だが、パーティーのパートナーが俺なんだぞ?それでも行きたいと思うのか?」
リックス様が私の婚約者になってくださったのですから、パートナーはリックス様以外ありえませんわ。
ですが、どうして今更そんな事を聞かれるのでしょう?
もしかして、リックス様はこのパーティーに出席したくないのでしょうか?
それならば無理して行って頂かなくても、私としましてはいいのですが…。
「参加できるのでしたら参加したいですが、無理に行く必要もありませんし、私は不参加でも構いませんよ?」
「………いや、その日までになんとかする。だから参加、するぞ。多分、3ヶ月あればなんとかなるはずだ…」
「?はい、わかりました」
3ヶ月あればなんだと言うのでしょうか?
あまり乗り気では無さそうですが、本当に参加してもいいのでしょうか?
なにかを決心をしたような顔が気になりますわ。
「ふふふ、愛する人の為に頑張りなさい、リックス」
「男を見せる時だな。お前は私に似て素材はいいのだから少しは頑張りなさい」
「そういえば、旦那様も出会った時は今のリックスみたいにシルエットが丸に近かったわよね」
「いや、まぁ…おほん、昔の話は止めてくれ」
「ふふふ」
リックス様が何を決意されたのかが分かったのか、お義母様とお義父様がリックス様を激励してから昔話に花を咲かせている。
お義父様も昔はリックス様の様にふくよかだったのですね。
それはさぞかしお可愛らし…おほん、愛嬌があったのでしょうね。
ですが、どうして急にそんな話をされたのでしょうか?
応援ありがとうございます!
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