転生前のチュートリアルで異世界最強になりました。 準備し過ぎて第二の人生はイージーモードです!

小川悟

文字サイズ
特大
269 / 296
番外編① アーリンの残念なチート物語 学園入学?

第25話 納得させないと

王女様は自分のステータスを魔道具で確認すると質問をしてきた。

「私の種族は[B]で光魔術と聖魔術は[A]で剣術は[C]とあるけど、これはどうなのかしら?」

さすがは王女様だと思うけど……。

「悪くない素質だと思います。でも素質を人に簡単に話さないようにしてください。ステータスは研修や訓練、レベルアップで変化しますけど、素質は変わりません。その人の能力や弱点を相手に教えることになるからです!」

「あら、ここにいる全員が魔法契約しているから問題ないと思いますわ。それに一緒に訓練する仲間でもあるアーリンさんなら、教えても大丈夫でしょ?」

王女様は悪戯っぽく微笑みながら言った。まあ、それは間違ってはいないけど……。

「一緒に訓練を続けるかどうかは、シャルロッテ王女様が研修を続けられるか次第ですわ」

私の話に王女様は少し驚いた表情を見せた。でもすぐにさらに悪戯っぽく微笑みながら話した。

「アーリンさん、一緒に訓練する友達なのだから王女様は必要なくてよ。できればシャルと呼んでくださいませ」

ほほう、この王女様は見た目と違って侮れないようね。

思ったより気さくで王女様でなければ本当に友達になれるかもと少し考えたけど……。

「まずは王女様と呼ばせていただきますわ。名前で呼び合うにはもう少し研修を続けてから考えさせていただきますわ!」

正直、気を遣うのが面倒になってきた。だから王女様が友達として仲良くできるのか確認させてもらおう。

「うふふ、そうねぇ~、私としてもアーリンさんのことを見極めてからにさせていただきますわ」

王女様とは気が合いそうだわぁ~!

王女様も同じように思ったのか、お互いに笑顔で見つめ合ってしまう。

改めて説明を続けようとしたら、従者二人と護衛の二人も苦笑いしていた。

「え、え~と、説明を続けますわ」

頬が熱くなったのが分かり、誤魔化すように説明を続ける。

「まずは自分の素質を理解して、それを踏まえて自分がどのように成長したいのかを考えておいてください。私は素質から考えると魔術師になるのが理想的です。騎士に向いた素質なのか魔術師なのか、それとも全く違う職種が合うのか、それぞれがご自分で判断してください」

王族や貴族家なら自分で判断できるかわからないけどね……。

「ま、待ってほしい。アーリン殿は本当に魔術師の素質が高いということですか? 私が騎士に向いていると思ったのは間違いだったのだろうか……」

副団長のソフィア様の気持ちもなんとなくわかる。

「私は全くといっていいほど騎士には向いていません。剣術の素質は[E]で力や素早さも[D]や[E]です。だからこそ魔術より体力や力、素早さを上げることを優先してきました。それにまともな素質がある物理系の戦闘スキルは杖術の[B]です」

話を聞いてソフィアさんだけでなくみんなが驚いた表情で固まってしまった。私はさらに説明する。

「テンマ先生からレベル上げの前に苦手なことを先に優先して伸ばしておけば、今後はレベルアップだけでも人並みかそれ以上になると教えられてきました。まあ、テンマ式研修をすれば、苦手分野でもソフィア様が騎士団に誘いたくなるほど成長できるということですね」

「そ、そんなことができるなんて……」

ソフィアさんは呆然として呟いていた。その横で王女様は目を輝かせて口を開いた。

「それこそ大賢者テックス様が登録した『育成について』なのですね!」

「はい、レベルアップせずに能力値を優先して成長させる。それによりレベルアップによる成長も大きくなるという考え方です」

王女様の質問に私は答える。それを聞いて王女様を含めて全員が少し残念そうな表情になった。王女様も学園に入る前にそれなりにレベル上げをしていたのだろう。それに特別騎士団の副団長であるソフィア様はさらにレベルも高いはずだ。

テンマ先生の理論を後で知ると、ほとんどの人が同じような表情になる。

「可能なら研修前にレベル上げはしていないほうが良いのです。でも研修することで全てのステータスは間違いなく高くなります。それに苦手分野も成長させることが可能ですから、研修に参加するだけで全く別人のように能力が高くなりますわ」

気休め程度かもしれないけど、実際にロンダの兵士達は驚くほど成長している。何より研修を始めればすぐに実感するだろう。

ソフィア様も少し落ち込んだみたいだったけど、すでに切り替えできたのか真剣な表情で私の話を聞いている。

私は早速研修の基本から始めることにする。

「最初は素質に関係なく同じような研修をしてもらいます。何を目指すとしても魔力量が多くないとダメなので、魔力量増加の研修は全員にやってもらいます」

私の話を聞いてまたソフィアさんが不安そうに尋ねてきた。

「ほ、本当に魔力を枯渇させるのか?」

テンマ先生がテックス名義で登録した『最大魔力量の増加について』を事前に読んで不安に思ったのだろう。

禁忌タブーと言われる魔力枯渇ですけど、理屈を知っていれば何も恐れる必要はありません。魔力、MPが0になると虚脱感や嘔吐感で辛くなります。でもそれだけでは命の危険はありません。足りなくなるほど魔力を使うと生命力、HPが消費されます。MPが1足りないと代わりにHP10で補うことになります。当然知っていると思いますが、HP0になれば死んでしまいます。だから禁忌タブーと言われてきたのです。MP残量を確認しながら魔力枯渇すれば、命の危険はありません!」

私は他にもテンマ先生から教えられたことを丁寧に王女様達に説明した。

しっかりと理論的に説明したことで、ようやくみんなは納得したような表情に変わってきた。


感想 441

あなたにおすすめの小説

ちっちゃくなった俺の異世界攻略 表紙

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

祝 書籍化決定!! あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
ファンタジー 連載中 長編
文字数:413,497
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます 表紙

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。
ファンタジー 完結 長編
文字数:609,294
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました 表紙

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
恋愛 完結 短編
文字数:52,731
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~ 表紙

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。
恋愛 完結 ショートショート
文字数:9,943
貴族令嬢、転生5秒で家出します。 目指せ、ソロ活山暮らし 表紙

貴族令嬢、転生5秒で家出します。 目指せ、ソロ活山暮らし

【祝・書籍化】第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 2026年7月発売です。4万字以上エピソード追加しました。 感想もありがとうございます! なかなか返信できておりませんが、全て拝読させていただいております。 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元宮廷魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
ファンタジー 連載中 長編
文字数:210,794
元大学生の異世界辺境伯ライフ-1-〜神のミスで全加護を得た俺、ステータス偽装で目立たず別世界の神の侵略を食い止める冒険記〜 表紙

元大学生の異世界辺境伯ライフ-1-〜神のミスで全加護を得た俺、ステータス偽装で目立たず別世界の神の侵略を食い止める冒険記〜

平凡な大学生だった俺は、ある日突然、神のミスによって命を落としてしまう。 そのお詫びとして異世界へ転生することになったのだが、なぜか二度目の神のミスまで重なり、世界中の神々から"ありえない数の加護"を授かってしまった。 転生先は、辺境伯家の少年・アッシュ。 六歳で加護を授かるこの世界で、俺は規格外すぎる力を手に入れることになる。 しかし、その力はあまりにも危険だった。 だからこそ俺は、ステータスを偽装し、「少し優秀な六歳児」を演じながら、平穏な辺境伯ライフを送ることを決意する。 ……そのはずだった。 王都への旅、個性豊かな仲間との出会い、次々と巻き込まれる騒動。 そして、この世界の裏で静かに動き始める、誰も知らない大きな脅威。 目立ちたくない最強少年が、知らぬ間に世界の運命へと巻き込まれていく――。 これは、最強なのに平穏を望む少年・アッシュが紡ぐ、爽快異世界ファンタジー。
ファンタジー 連載中 長編
文字数:394,256
『病弱な幼馴染を優先してください』と言った妻が消えた翌日、夫は領地の会計書類が全て白紙になっていることに気づいた 表紙

『病弱な幼馴染を優先してください』と言った妻が消えた翌日、夫は領地の会計書類が全て白紙になっていることに気づいた

侯爵家に嫁いで五年。ルチアは夫エミルの領地会計・社交・使用人管理を全て一人で担ってきた。だがエミルはいつも幼馴染のアリーチェを優先する。「アリーチェは体が弱いんだ、お前とは違う」——その言葉を百回聞いた日、ルチアは微笑んで離縁届に署名した。「ええ、私は丈夫ですから。どうぞ幼馴染様をお大事に」。翌朝、エミルが目にしたのは——税務報告の締切、領民からの陳情の山、そして紅茶の淹れ方すら知らない自分。三ヶ月後、かつて「地味な妻」と呼ばれたルチアは、辺境伯の財務顧問として辣腕を振るっていた。
ファンタジー 完結 短編
文字数:9,553
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~ 表紙

真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~

皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。 だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。 しかし彼女は知らなかった。 帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。 これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
ファンタジー 完結 短編
文字数:22,384