転生前のチュートリアルで異世界最強になりました。 準備し過ぎて第二の人生はイージーモードです!

小川悟

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番外編② アーリンの残念なチート物語 学園改革と布教活動

第10話 秘伝と知識

研修区画にある『知識の部屋』の扉の前でマル姫の従者とマル姫が出てくるのを待っていた。

文字念話でテンマ先生にマル姫のお願いを伝えたら、先生からすぐに文字念話で返事がきた。

『別に構わないよぉ。詳細はマリアさんと相談して決めてね!』

そんな簡単に許可していいのぉーーー!

とりあえずマル姫のお願いと大雑把に経緯を伝えただけで、折り返し質問や詳しい説明を求めてくると思っていたのだ。

でも……、マリアさんに丸投げするような返事になるとは……。

まあ『知識の部屋』を利用するから、知識を勝手に拡散することはない。だからこそ他国とはいえ王族であるマル姫に許可をしてくれる可能性はあると思っていた。

まあ、大叔母様ドロテアに任せないだけテンマ先生も考えているのね……。

そんなことを考えながらマル姫に話をする。

「先生の許可はもらえたわ。でも最終的な判断は研修施設の魔術部門のマリアさんに一任するみたい。これから研修区画でマリアさんと話をしましょう」

シャル王女は驚いていたが、王妃はマリアさんの名前を聞いてホッとしたような表情を見せていた。

「お姉ちゃん、ありがとう!」

マル姫は目を輝かせながら「お姉ちゃん」と呼んでくれた!

「お姉ちゃんは頼りになるでしょう?」

マル姫の頬を人差し指でプニプニしながら自慢げに話す。マル姫がコクコクと頷くたびに心地良い感触が指先から伝わってくる。

それからマル姫を連れて研修区画のマリアさんに相談したけど、忙しそうなマリアさんはテンマ先生が許可したなら私に任せると丸投げされたのである。

目をキラキラさせて私を見つめるマル姫を見てあれこれ考えるより、お姉ちゃんとしてドヤ顔をして『知識の部屋』へ連れてきてしまったのである。

30分ほどしてマル姫が知識の部屋から出てきた。でも様子が変だ。
下唇を噛みながら今にも泣きそうな表情をしている。

「マルちゃん、大丈夫?」

声をかけると涙目で私を見つめると、我慢できなくなったのか彼女から涙が溢れた。

「ふえ~ん、お姉ちゃーーーん!」

マル姫は泣きながら私に抱きついてきた。

あっ、ぷにゅぷにゅ!

抱きついてきたマル姫を抱きしめる。心地いい感触に思わずニヘラとなりそうになったが我慢する。

「どうしたの?」

「えっぐ、ズズッ、ふえ~ん!」

泣くのを我慢して私を見つめて鼻を啜ったけど、結局我慢できずにまた泣きだしてしまった。

私は優しく頭を撫でながら、『知識の部屋』の担当者にどこか部屋を用意するようにお願いする。すぐに近くの応接室に案内してもらい、マル姫を抱きしめたまま部屋に移動した。

「何があったの?」

「ングゥ、テックス殿の知識は我が一族より優れていたのだ。ふえーん!」

必死に泣くのを我慢しながらそこまで答えてくれた。私はマル姫を慰めながら理由を尋ねる。

「どういうことかしら?」

「ヒック、我が一族の秘伝にある最大魔力量を増やす方法は魔力を消費して─」

「姫! 一族の秘伝を教えてはなりません!」

マル姫が説明しようとすると従者の一人が止めた。

「お主は黙っていろ! テックス殿の最大魔力量を増やす方法は、イタタタタッ!」

従者を叱り始めると、マル姫は頭を抱えて痛そうにした。

「姫、大丈夫ですか!?」

「大丈夫よ。『知識の部屋』で得た知識を話そうとしたから頭痛がしただけよ。あなた達は部屋を出ていなさい!」

心配そうにマル姫に近寄ってきた従者に手を差し出して止め、マル姫の代わりに頭痛の理由を説明する。

「ですが─」

「先に『知識の部屋』へ行ってきなさい! それならマルちゃんが痛い思いをしないで済むでしょ!」

そこまで話すとようやく従者の二人もそれが手っ取り早いと気付いたようで、『知識の部屋』に交代で行く。二人が『知識の部屋』から戻ってくる頃にはマル姫も落ち着いていて、丁寧に説明をしてくれた。

テックスの知識では最大魔力量を増やす方法としてMPが0になるまで使い切ることを繰り返すが、土棲ドワーフ一族の秘伝では気分が悪くなるまで魔力を使い切るだけらしい。そして話を聞くかぎり秘伝だとテックス式に比べて、最大魔力量の増え方は非常に緩やかのようだ。

それでも土棲ドワーフ族は幼いころから親が子供に教えるのが普通で、人族に比べて最大魔力量が多いらしい。

もしかして土棲ドワーフ一族の寿命が人族より長いのは、種族の違いというより最大魔力量が多いからかしら……。

寿命のことも気になったけど、やはり魔力を何度も使って回復しているので、魔力回復スキルや魔力効率スキル、魔力枯渇耐性スキルなども土棲ドワーフ一族は取得しているのが一般的らしい。

「テックス殿の知識は土棲ドワーフ一族の秘伝より丁寧で分かりやすい。その上効率的なのだ。だからテックス殿が土棲ドワーフ一族の秘伝を盗んだとは思えない。いや、逆に土棲ドワーフ一族が盗んだと言われても仕方ないとも思えるくらいだ……」

マル姫は落ち込みながらも冷静に判断したようで、従者の二人もテックスの知識を知ったことで反論することはなかったのである。


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