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3巻
3-2
しおりを挟む「食事付きで二人部屋を頼む」
千テナを渡すと、猫耳少女は受付の奥に入っていった。そして鍵を持って出てくる。
「はーい、お兄さんたちのお部屋は、三階の三号室になりますです。これが鍵。あと従魔のご飯はどうしますか」
「いやそれはいい。あと、持ち込んだ食材を料理してくれるって、冒険者ギルドで訊いたんだが」
「はい、できますよ。材料は何ですか」
「フォレストアナコンダだ」
あらかじめ十キロほど小分けにしておいた、フォレストアナコンダの肉を入れた小袋を取り出す。女の子の耳がピンと立った。袋を受け取らずにくるりと振り返り、さっきとは別の方向に走っていった。
「とーちゃーん、とーちゃーん! フォレストアナコンダの持ち込みだってぇぇ」
「なにぃ」
どたん、バタン、ドタドタドタ……
なにやら奥が騒がしい。
すると、女の子が駆け込んでいった奥から、今度はガタイのいい猫耳のおっさんが出てきた。
「あんたかい? フォレストアナコンダの持ち込み料理希望は」
エプロン姿に右手には包丁……いや形は包丁だが、素材が半透明で虹色に輝いている。何だ?
=レヴィアタンの鱗包丁 状態・良好、SS級品
レヴィアタンの鱗で作られた包丁。包丁に加工されてから百年ほど経過しているため、すでにレヴィアタンの魔力は失われている。魚系、蛇系に対する殺傷力、切れ味増加の効果あり=
ぶっ、本当にレヴィアタンの鱗なんだ。しかも百年も経っているのに【状態・良好】でSS級品、パネエな、レヴィアタンの鱗包丁! 宿名に偽りなしか。
「ああ、これだが頼めるか」
おっさんは麻袋を左手で受け取り、ニンマリ笑う。
「いいぜ、昼飯にするか、夕飯にするか? 何人前だ」
「二人前だ。昼飯で頼む」
「それじゃあ肉が余っちまうが、なんなら夜も別メニューで作ってやるぜ」
う~ん、それもいいが、魚も食べたいんだよな。ここ魚料理も美味いって言ってたし。
「いや、夜は魚が食べたいから、余った肉はそっちで使ってくれていいよ」
「お、にいちゃん太っ腹だね、じゃあ昼の調理代はただにしとくぜ。座って待ってな」
話してる間、おっさんの猫耳がピクピクしっぱなしだった。そして小袋を持って厨房であろう奥に向かう後ろ姿……尻尾がブンブン揺れている。そんなにフォレストアナコンダの調理が嬉しいのかな。
あ、いつの間に戻ってきたのか、猫耳少女が俺を見上げていた。
「お兄さん、席に案内するよ。従魔も連れてくる?」
「あ、ああ」
俺はドアを開けてジライヤを呼ぶ。ジライヤはのそりと立ち上がってドアをくぐった。
「ぴぃぃ」
ツナデがオロチマルを放した途端、一声鳴いてオロチマルが俺の頭上に飛び移る。まあいいか。猫耳少女の案内で、壁と衝立に三方を囲まれたテーブルに案内された。
衝立の高さは一メートル五十センチほどなので、立ち上がると周りが見えるが、座っている限りは他から見えないようになっている。
手前にルーナとツナデを座らせ、向かい側――壁を背に俺、足元にジライヤ、頭上にオロチマルという座り方だ。
「ジライヤもフォレストアナコンダを食うか?」
『うん、食ってみる』
ジライヤの皿にフォレストアナコンダの塊を出してやる。ふんふん匂いを嗅いでからかぶりついた。
「ツナデは何にする」
『そやなあ、丸芋とビタン、あとムークやな』
リクエスト通りに三種類を皿に載せて、ツナデの前に置いてやる。
「あ、食べる前に手を拭いてな」
濡れタオルを《アイテムボックス》から出してルーナに渡すと、彼女はタオルの端をツナデに渡した。二人で一本のタオルの端で手を拭いた。俺は真ん中で手を拭いておこう。
オロチマル用の餌を〈複製〉すると、それを目にしてオロチマルが自分からおりてきた。
『まま、ごはん? ごはん?』
バッサバッサと羽ばたくオロチマルを抱えて、餌のつくねを、穴を開けたコンビニ袋から口へと絞り出す形で食べさせてやる。
『うま~。ままもっと』
オロチマルは、ホーンラビットのつくね好きだよな。今度フォレストアナコンダとかビッグベアのつくねも作ってみるかな。
オロチマルは食べ終わって満腹になると、すぴーっとすぐに寝息を立てはじめたので、膝の上で寝かせておく。
ツナデとルーナは、リュックからそれぞれ自分のペットボトルとコップを取り出していた。
料理が来る前に、俺もビタン水でも飲んどこう。ショルダーバッグから取り出したペットボトルのビタン水を呷る。ふと真正面の壁に飾られた虹色のものが目についた。
=レヴィアタンの鱗 状態・破損
百年ほど前にレヴィアタン自ら剥がしたもの。剥がされてから時間が経過しているため、すでにレヴィアタンの魔力は失われている。魚系、蛇系に対する殺傷力増加、防御無効効果がある=
楕円というか、鱗特有の形だが、片側の一部が欠けているので【状態・破損】なのか。多分そこが包丁になったんだろうな。
大きさは長い方で一メートルくらいありそうだ。
あれで武器作ったら魚、蛇系に特効なものが作れるんだろうな。しかし何で魚と蛇なんだろう。
『イエス、マスター。それはレヴィアタンの姿に関係します』
姿?
『イエス、マスター。レヴィアタンは神龍種のモンスターなのですが、見た目から蛇種もしくは魚種と間違われることが多かったと伝わっています。それがレヴィアタンには大変不愉快のようで、魚種蛇種に対する憎悪が、やがてスキルにまで昇華したと言われています』
間違えたのは魚種や蛇種じゃなくて、人だろうに。魚種や蛇種はいい迷惑だな。
憎悪とは、まるで知能があるみたいだな。いやジライヤやツナデだって知能は高い。というか、ステータスにINTがあるしな。モンスターも種族によるのだろう。
『イエス、マスター。神龍種は太古より記憶を継承し、知識を高めているので、ヒト種よりも何倍も優れています。現在、レヴィアタン、ベヒーモスは休眠期ですが、ティアマト、ヨルムンガンドは活動期です。他は――』
待った、待った、ナビゲーター。この世界にそんなファンタジーで有名な名前の龍がいるのか?
『イエス、マスター。この神龍種の名前や、マスターの世界で伝説上の生きものと言われている生物の名前も、かshr@vおr84hdh0/&$?・・・・・・』
どうした、ナビゲーター?
『……申し訳ありませんマスター。一部禁則事項にあたるため、この件については以上とさせていただきます』
なんだ、突然? よくわからないが、訊くなってことか。
『……申し訳ありません、マスター』
いや、いいよ。何が何でも知っておかないといけない情報ってわけではないだろうし、俺が神龍種と出会うってことがなけりゃ問題ないだろう。ないよな? そんなフラグはいらないよ。
『イエス、マスター。現在この大陸に活動期の神龍種はおりません』
ならいいよ。
「へい、お待ち」
ナビゲーターとやりとりをしている間に、結構時間が経っていたのか、おっさんがトレーに料理を載せて持ってきた。
「こっちが、シンプルに塩だけで炙り焼きにしたもんだ。辛口の酒のアテにぴったりだぜ。で、こっちが秘伝のタレにつけてから、ホッポの葉で包んで蒸し焼きにしたもの。こいつはボアの油で揚げてから野菜と一緒に炒めてある。さあ食いねえ、食いねえ」
香ばしい匂いが立ち上り、思わず唾液が湧いてくる。蛇ということを忘れて、俺たちは料理にかぶりついた。
――満腹になり、宿の部屋で一休みした後、買取素材の売却金を受け取りに冒険者ギルドに行くことにする。
ルーナはお昼寝タイムなので、ジライヤたちに留守番を頼み、一人で出かけることにした。
「まずは中央省に行って、オロチマルの入街税を返金してもらうか。それから冒険者ギルドでいいかな」
さすが大きな街だけあって広い。ミスルの街とどっちが広いだろうか。
ミスルは左右を山に囲まれていたが、こちらは湖に接していて開けているせいか広く感じる。領主邸は湖の方にあるので、貴族区は街の中心より東側にあった。
中央省はその貴族区と商業区の境目。
「中央にないのに中央省とはこれいかに……」
いや、物理的な意味の中央じゃないからだよな。一人きりでよかった。またツナデたちに哀れみを含んだ目で見られるところだったよ。
中央省での手続きは、あっという間に終わった。次は冒険者ギルドだ。
そうだ、ついでに魔石を売ってしまおう。小さめの色の濁ったやつとかいらないよな。色付きは属性があるって話だったけど。
魔石を入れている袋を取り出し、中を確認する。
モンスターランクE以下の魔石はほぼ色なしだな。薄く黄色いものがロックリザードとビッグベア。薄い緑がダークラフレシア。薄い青がフォレストアナコンダ。そして赤がキラーグリズリーだ。よく見ればほんのり緑かもっていうワイルドボアの魔石が一つあった。
色付きのものだけ《コピー》して残しておこう。
ギルドハウスの中はそんなに混んでいない。受付カウンターも空いていたので、すぐに対応してもらえた。
もらっていた木札を渡す。
グレートファングの毛皮五枚で二万テナ。フォレストアナコンダに呑み込まれていた二匹分がややお安く、他の半値になっている。
フォレストアナコンダの皮は二万テナ。でかいからな。肉の方は百六十キラトあったらしく一万二千八百テナ、合計五万二千八百テナになった。フォレストアナコンダはよい獲物だった。
「この魔石も売りたいんだが」
小袋ごとカウンターに置くと、職員が袋を開け中を検める。
「結構ありますね。査定に時間がかかりますので、明日の四刻(午前十時)以降になりますけど」
「それでいいです」
引き換えに木札をもらい、宿に帰ることにした。
◇ ◇ ◇
――こここんこん。
「はーい」
リズミカルに扉をノックする音に、すでに昼寝から目覚めていたルーナは勢いよく扉を開ける。不用心と言うなかれ。ちゃんと気配を探り、悪意も危険もないと判断して、さらにツナデもジライヤも反応しない上での行動だ。
「あれ、お兄さんは留守ですか?」
そこには、レヴィアタンの鱗亭の看板娘、シュシュが一冊の絵本を持って立っていた。
その後、ルーナとシュシュはベッドを背に並んで座り、一冊の本を読むことに。
「えーっと、お、おさ、おさるの、ジージィ、こお、こおおかみのガゥ?」
「ルーナちゃん、読めるんです?」
「んーちょっとだけ」
表紙の文字をルーナがつっかえながら読みあげるその本は、普段シュシュたちが使っているテルテナ国の文字ではなく、ラシアナ大陸のとある国で使われている文字だった。
なぜルーナが読めたのか? それは冒険者だった祖母に教えてもらったことがあったからかもしれない。
シュシュが持ってきたのは、子供向けの絵本のようで、片側のページには大きく絵が、反対のページには少しの文章が書かれていた。
ラシアナ大陸から来た商人から買ったときに題名は教わったものの、中の文章は読めなかった。シュシュは絵を見て、自分で物語をつけ楽しんでいたのだった。
「ほら、白いお猿さんの『ジージィ』と黒い狼の『ガゥ』だよ」
シュシュの指差す猿と狼の絵。
黒いインク一色で描かれた絵。猿は紙の地の色(白というより、やや黄ばんだ肌色だが)で、狼の方はインクで塗りつぶされたため、黒に見えた。
シュシュは、ちらりとジライヤとツナデを見る。白い猿と黒い狼。彼女にとって、まるで本から抜け出てきたかのようだった。
本を読めさえすれば『ジージィ』は茶色、『ガゥ』は灰色ということがわかるのだが、ルーナもそこまでは読めなかった。
そして小猿を抱きかかえる少女の絵。
「ねえ、抱っこしていいかな」
キラッキラの瞳で、ルーナにお願いするシュシュであった。
「……って言ってるよ、ツナデ」
『遠慮しとく』
そんな会話をするツナデの後ろに、そろりそろりと足音を立てず忍び寄るシュシュ。さすが猫獣族だったが――
『っ!』
「にゃっ!? 消えた?」
シュシュが背後から飛びついた瞬間、ツナデは《空間跳躍》で部屋の端に移動した。さらにレベル3になった《浮遊》スキルの効果で、数秒間中に浮くこともできるようになった。
『ふふん、甘いで』
何を言っているのか、シュシュにはわからない。だが、シュシュの狩人魂に、ツナデは火をつけたのだった。
◇ ◇ ◇
俺は軽い足取りで宿の階段を上り、部屋の鍵を開ける。もうルーナも起きているだろうから、開けてもらってもよかったが、自分で開けることにした。ドアを開けた途端、顔面にオロチマルが飛びついてきた。
「ぶふっ」
『まま、ふぶきまま!』
ぴいぴいと囀り、しがみつくオロチマルを抱き留めて撫でる。目が覚めたら俺がいなかったので不安になったようだ。出かけていたのは二時間くらいだったから、ルーナは起きているだろうが、オロチマルはまだ眠っていると思っていた。
だが、起きていたのはオロチマルの方で、ルーナはまだ眠っている。
「〈体力回復〉をかけたのに、まだ寝てるなんて、調子悪いのかな?」
ベッドに寝そべるジライヤたちに近付く。
『ちゃうで、フブキ。遊んで疲れただけや』
「留守番ごくろーさ……増えてる?」
理由を教えてくれたツナデをねぎらおうと、ベッドを覗き込む俺が目にしたのは……ジライヤを枕に寝そべるルーナ。そしてその隣に、ツナデを抱きしめて、スヤスヤと寝息を立てる猫耳少女だった……
「なんで?」
疑問符を量産する俺に、ツナデが手と尻尾を伸ばす。
『フブキ~、助けてや~』
猫耳少女に羽交い締めにされたツナデから、救助を願う声が上がる。
ツナデと猫耳少女――名をシュシュというこの宿の娘との追いかけっこに、ルーナも交ざって部屋中を駆け回ったらしい。
階下から苦情が来なかったのかと心配したが、そこは猫獣族と豹獣族、足音を立てない追いかけっこであったらしい。
ベッド以外には家具はないので、壊すこともなくて幸いだ。
ジライヤは早々にオロチマルを咥えて部屋の隅に避難したそうだが。
二対一の攻防は、ツナデの魔力切れであっけなく勝負がついたとのこと。
調子に乗って《空間跳躍》と《浮遊》を連発したらしい。とくに《空間跳躍》は魔力消費量が多いのだ。おかげでスキルレベルが上がって跳躍距離が延びたようだが。
追いかけっこが終了し静かになったためにベッドに上がったジライヤを、はしゃぎ疲れた二人はちょうどいいとばかりに枕にしたのだという。
「ごめんな、ジライヤ。ツナデもお疲れ様」
シュシュの手をそっと解いてツナデを救い出す。
ツナデもそれなりに楽しかったようだ。群れでは他のフォレストマンキーに相手にされなかったようだし。
従魔になってからも『遊ぶ』ことはなかったから。でも、今のルーナに対してはお姉さんぶってるんだよな。
『フブキ~』
珍しくツナデが甘えて抱きついてきた。俺はベッドに腰掛け、ツナデとオロチマルをしばし撫でるのだった。魔力切れのツナデに魔力を分けてやるか。やっぱりポーション類を買っておいたほうがいいかも。あ、MPの回復力を上げる魔法、ゲームなんかじゃよくあるんだけどな。俺の場合どうなんだろう。
『イエス、マスター。《回復術》レベル6で〈MP自然回復率上昇〉が使用可能です』
あー、レベル6か。俺まだ《回復術》レベル4なんだよ。今から使いまくってもレベル6は無理だよな。そうだ、前に舐めたがってたし《魔力操作》で――
『マスター。魔力贈与でしたら《ギフト》レベル1で〈MPギフト〉が使用可能です』
《ギフト》か。そういえばこのユニークスキルは使ったことなかったな。
『ただし変換効率が悪く、相手にMPを1渡すのに、マスターのMPを1000使用します』
変換効率悪!! 千分の一ってどうよ。まあ俺のMP余りまくってるからいいけど。
それに、使わないといつまで経ってもレベル上がらないし。今日はもう宿で休むだけだからMPが減ったって問題ない。10000MPでも、ツナデは10MPしか回復しないか。ツナデの総MPは4500ほどだ。
1000000MPを注ぎ込めば、1000回復するわけだな。
「〈MPギフト〉」
おう、久々に抜けていく感じがするが、特に眩暈などはない。《使用MP減少》の効果で二十パーセントほど少なく済んでいる。
『スキル《ギフト》のレベルが上がりました』
おう、レベル2の効果は?
『《ギフト》レベル2では、変換効率が千分の一から、千分の二に上昇しました』
思わず、ずっこけそうになった。千が一になるところ、千が二になるだけかよ。それでも、もらう方は倍になるか。
まあ、スキルレベルが上がったからいいか。
ああ、俺もジライヤに枕になってもらいたい。ちくしょうみんなに〈タイアードリカバリー〉かけちゃる。
◇ ◇ ◇
「すまんなあ、にいちゃん。昨日はウチのシュシュが迷惑かけたみたいで」
朝食のために階下に下りると、この宿の主人で猫獣族のガラシュさんが声をかけてきた。
「いえ、ウチの子らも楽しかったみたいですから」
ルーナは笑顔で、カウンターの裏にいたシュシュに手を振る。ツナデは追いかけられた方だが、それなりに楽しんだと思う。
「これはお詫びだ」
ガラシュさんは、朝食とは別に、オレンジのような果物をテーブルに置いた。それを見たツナデの耳と尻尾がピンと立つ。
『フブキ、フブキ! これ食べたい! 食べてええか?』
ガラシュさんがニカッと笑う。言葉はわからなくとも、ツナデの態度でこの果物を気に入ったのがわかったのだろう。
「こいつはオスロの森の奥で採れるオラージュという果物だ。オスロマンキーの好物だから絶対気にいると思ったよ」
=オラージュの実 状態・過熟
熟す前は青く酸味が強い。未熟のまま水に浸せば、熟す速度が遅くなる。熟すと皮は赤みが増し、実は甘みが増す。食べ頃の実はねっとりした食感があり、HP回復率上昇の効果がある。皮と種はそのままでは食用に向かないが、皮は乾燥させればお茶として使用でき、その抽出液にはHP回復率上昇の効果がある。種は粉末にして香辛料として使用されている=
捨てるところのない実だな。
オレンジのような見た目だが、皮をむくと〝ふさ〟がなく、マンゴーのような果肉が甘い匂いを放つ。
「いいよ食べて」
言うが早いかツナデが飛びついた。あ、《コピー》してない……もう遅かったか。
「オスロの森って、街の北東部の?」
「ああ、かなり奥の方に行かないと生えてないが、時々川に落ちた実がリヴァイ湖に流れてくるんだ。気に入ってもらえてよかったよ」
ここの湖ってリヴァイ湖って名なのか。
ツナデの食べっぷりを見届けて、ガラシュさんは厨房に戻っていった。
ツナデはあっという間に食べきってしまい、オラージュの皮を寂しそうに眺めている。ブルスの街に長く留まる気はなかったが、一日くらい別になんてことはない。
ついでにどこかで魔法の訓練もすれば一石二鳥だな。
「よし、朝食が済んだら、ギルドでオスロの森の依頼がないか見てみよう」
ツナデしか食べてないし、俺もちょっと味見したい。
応援ありがとうございます!
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