今回は絶対に婚約を回避します!~前回塩対応してきていたはずの元婚約者の様子がおかしいのは何故ですか!?~

皇 翼

文字の大きさ
23 / 40

22.

「へいへいへーい!俺結局、お前からまだ感謝の言葉をなんも貰ってないんだけど、俺の提案した計画は結局どうなったんだ?」
「私の疲労度合いを見て分かりませんか?大失敗ですよ」

あれから2か月ほど。結局謎の責任を取らせるというデートは既に終わっていた。そして今日はまたしてもカインとのデートの日。私は完全に気落ちしていた。
実のところ、前回のデートは物凄く楽しかった。しかしそれが問題なのだ。私の素が出た状態で受け入れられている上に、一緒にいて楽しいというのは甘美な毒すぎた。
まあ簡単に言えば、ちょっと絆されかけて来ていることに対して、私は危機感を感じている。何が天啓だ。このオッサンの言うことをホイホイと聞いた私がバカだった。

「ふーん。まあでも、カミングアウトする前よりは楽そうに見えるけどな」
「目、腐ってるんじゃないですか?」
「腐ってねえよ!だって前回帰ってきた時、明らかにウキウキしてたじゃねえか!!」
「ウキウキしているのが問題なんですよ!!」

そう言うと、叔父さんは、何故それが問題なのか分からないという顔をした。そりゃそうだ。本来、婚約する……かもしれない人間同士であれば、一緒にいて楽しいというのは非常に良い事だ。しかし、私はカインと婚約する気など一切ない。

「このまま、婚約したいくらいに、また好きになっちゃったらどうするんですか」

机に頭を突っ伏す。
今迄の私は、カインとなんて婚約したくない、自分を殺した相手だぞと認識出来ていた筈なのに、今は以前のような……否、それ以上の深い愛おしさのような感情が芽生えかけている。
私と、この国が生き延びるための絶対条件は、カインと婚約しないことだ。婚約さえしなければ、あの惨劇は起きない筈なのだから。

「ええ……うっわ、乙女だ」
「はあ。引きたければ、勝手に引いてください。私は心が弱いからこそ、これ以上カインを好きになりたくないんです」
「難儀なこったな。お前の人生だ、俺は別にあの王子の手を取って見ても良いと思うんだが。俺から見ても、そんな悪いやつには見えねえし、これから起こる未来についても、なんか見逃してる部分があるんじゃねえの?」
「叔父さんだって、結局母様の手を離したじゃない」

無言の空間。
私は酷い人間だ。これを言ってしまえば、叔父さんが押し黙る事を分かっていて言った。折角、叔父さんが珍しく私に気を遣っていたというのに。
そしてそんな空間を切り裂くように響く、ベルの音。その後に続いた、以前よりも男らしく低くなった声に、私は溜息を吐いた。

「迎えに来たよ、俺のナーシャ
「……カイン、私は貴方のものではありません。あと、次に姫呼びをしたら顔にこのフライパンをめり込ませます」
「ハハッ、怖いな。じゃあ、早速出掛けようか」

気安くなった会話、お互いの呼び方。
私は来たる日に、きちんとこの関係を、そして気持ちを断ち切れるのだろうか。未来への恐怖は募るばかりだ。

あなたにおすすめの小説

【完結】今日も旦那は愛人に尽くしている~なら私もいいわよね?~

コトミ
恋愛
 結婚した夫には愛人がいた。辺境伯の令嬢であったビオラには男兄弟がおらず、子爵家のカールを婿として屋敷に向かい入れた。半年の間は良かったが、それから事態は急速に悪化していく。伯爵であり、領地も統治している夫に平民の愛人がいて、屋敷の隣にその愛人のための別棟まで作って愛人に尽くす。こんなことを我慢できる夫人は私以外に何人いるのかしら。そんな考えを巡らせながら、ビオラは毎日夫の代わりに領地の仕事をこなしていた。毎晩夫のカールは愛人の元へ通っている。その間ビオラは休む暇なく仕事をこなした。ビオラがカールに反論してもカールは「君も愛人を作ればいいじゃないか」の一点張り。我慢の限界になったビオラはずっと大切にしてきた屋敷を飛び出した。  そしてその飛び出した先で出会った人とは? (できる限り毎日投稿を頑張ります。誤字脱字、世界観、ストーリー構成、などなどはゆるゆるです)

もう、愛はいりませんから

さくたろう
恋愛
 ローザリア王国公爵令嬢ルクレティア・フォルセティに、ある日突然、未来の記憶が蘇った。  王子リーヴァイの愛する人を殺害しようとした罪により投獄され、兄に差し出された毒を煽り死んだ記憶だ。それが未来の出来事だと確信したルクレティアは、そんな未来に怯えるが、その記憶のおかしさに気がつき、謎を探ることにする。そうしてやがて、ある人のひたむきな愛を知ることになる。

[完結]貴方なんか、要りません

シマ
恋愛
私、ロゼッタ・チャールストン15歳には婚約者がいる。 バカで女にだらしなくて、ギャンブル好きのクズだ。公爵家当主に土下座する勢いで頼まれた婚約だったから断われなかった。 だから、条件を付けて学園を卒業するまでに、全てクリアする事を約束した筈なのに…… 一つもクリア出来ない貴方なんか要りません。絶対に婚約破棄します。

婚約者の私を見捨てたあなた、もう二度と関わらないので安心して下さい

神崎 ルナ
恋愛
第三王女ロクサーヌには婚約者がいた。騎士団でも有望株のナイシス・ガラット侯爵令息。その美貌もあって人気がある彼との婚約が決められたのは幼いとき。彼には他に優先する幼なじみがいたが、政略結婚だからある程度は仕方ない、と思っていた。だが、王宮が魔導師に襲われ、魔術により天井の一部がロクサーヌへ落ちてきたとき、彼が真っ先に助けに行ったのは幼馴染だという女性だった。その後もロクサーヌのことは見えていないのか、完全にスルーして彼女を抱きかかえて去って行くナイシス。  嘘でしょう。  その後ロクサーヌは一月、目が覚めなかった。  そして目覚めたとき、おとなしやかと言われていたロクサーヌの姿はどこにもなかった。 「ガラット侯爵令息とは婚約破棄? 当然でしょう。それとね私、力が欲しいの」  もう誰かが護ってくれるなんて思わない。  ロクサーヌは力をつけてひとりで生きていこうと誓った。  だがそこへクスコ辺境伯がロクサーヌへ求婚する。 「ぜひ辺境へ来て欲しい」  ※時代考証がゆるゆるですm(__)m ご注意くださいm(__)m  総合・恋愛ランキング1位(2025.8.4)hotランキング1位(2025.8.5)になりましたΣ(・ω・ノ)ノ  ありがとうございます<(_ _)>

さようなら、私の愛したあなた。

希猫 ゆうみ
恋愛
オースルンド伯爵家の令嬢カタリーナは、幼馴染であるロヴネル伯爵家の令息ステファンを心から愛していた。いつか結婚するものと信じて生きてきた。 ところが、ステファンは爵位継承と同時にカールシュテイン侯爵家の令嬢ロヴィーサとの婚約を発表。 「君の恋心には気づいていた。だが、私は違うんだ。さようなら、カタリーナ」 ステファンとの未来を失い茫然自失のカタリーナに接近してきたのは、社交界で知り合ったドグラス。 ドグラスは王族に連なるノルディーン公爵の末子でありマルムフォーシュ伯爵でもある超上流貴族だったが、不埒な噂の絶えない人物だった。 「あなたと遊ぶほど落ちぶれてはいません」 凛とした態度を崩さないカタリーナに、ドグラスがある秘密を打ち明ける。 なんとドグラスは王家の密偵であり、偽装として遊び人のように振舞っているのだという。 「俺に協力してくれたら、ロヴィーサ嬢の真実を教えてあげよう」 こうして密偵助手となったカタリーナは、幾つかの真実に触れながら本当の愛に辿り着く。

寡黙な貴方は今も彼女を想う

MOMO-tank
恋愛
婚約者以外の女性に夢中になり、婚約者を蔑ろにしたうえ婚約破棄した。 ーーそんな過去を持つ私の旦那様は、今もなお後悔し続け、元婚約者を想っている。 シドニーは王宮で側妃付きの侍女として働く18歳の子爵令嬢。見た目が色っぽいシドニーは文官にしつこくされているところを眼光鋭い年上の騎士に助けられる。その男性とは辺境で騎士として12年、数々の武勲をあげ一代限りの男爵位を授かったクライブ・ノックスだった。二人はこの時を境に会えば挨拶を交わすようになり、いつしか婚約話が持ち上がり結婚する。 言葉少ないながらも彼の優しさに幸せを感じていたある日、クライブの元婚約者で現在は未亡人となった美しく儚げなステラ・コンウォール前伯爵夫人と夜会で再会する。 ※設定はゆるいです。 ※溺愛タグ追加しました。

気まぐれな婚約者に振り回されるのはいやなので、もう終わりにしませんか

岡暁舟
恋愛
公爵令嬢ナターシャの婚約者は自由奔放な公爵ボリスだった。頭はいいけど人格は破綻。でも、両親が決めた婚約だから仕方がなかった。 「ナターシャ!!!お前はいつも不細工だな!!!」 ボリスはナターシャに会うと、いつもそう言っていた。そして、男前なボリスには他にも婚約者がいるとの噂が広まっていき……。 本編終了しました。続きは「気まぐれな婚約者に振り回されるのはいやなので、もう終わりにします」となります。

「では、ごきげんよう」と去った悪役令嬢は破滅すら置き去りにして

東雲れいな
恋愛
「悪役令嬢」と噂される伯爵令嬢・ローズ。王太子殿下の婚約者候補だというのに、ヒロインから王子を奪おうなんて野心はまるでありません。むしろ彼女は、“わたくしはわたくしらしく”と胸を張り、周囲の冷たい視線にも毅然と立ち向かいます。 破滅を甘受する覚悟すらあった彼女が、誇り高く戦い抜くとき、運命は大きく動きだす。