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25.監禁生活①
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「ごめんなー、アリア。俺、お前の話し相手になってやるくらいしか出来ねえわ」
「事情については、一応理解しているから、大丈夫。気にしなくていいわ」
「もし必要なものがあれば言ってください。ケイオスには言いづらいものもあるでしょう。ほら、その……君は女性なので」
「はあ?俺に言いにくい事なんてあるわけないだろう!?優しい兄貴の俺に!!」
「この無神経な男は無視してください」
「……ありがとう、カインツ兄様。あとで相談させてもらうわ」
あれから。
本当に部屋から全く出ないままに2週間程が経過した。
基本的に、私への食事はケイオス兄様とカインツ兄様のどちらかが持ってきてくれる。カインツ兄様はいつも本やケーキ、紅茶を持ってきてくれて、ケイオス兄様はパズルや人形、お菓子といったなんだか子供向けとも思えるが、確実にアリアが昔好きだったものを一緒に差し入れてくれていた。
なんとなくだが、二人は今、一緒にいられなかった時間を埋めようと無意識の内にしているのだろうと察した。罪悪感の表れなのかもしれない。
風呂やトイレは部屋に備え付けられているので問題ないが、全く外に出られない・外の状況が分からない状態というのは、私にとって息が詰まるのは事実だった。いくら兄二人が定期的に着てくれると言ってもだ。
そして今日は珍しくケイオス兄様とカインツ兄様両方が一緒に私に会いに来てくれていた。今日は仕事がどちらも休みなのだそうだ。
だから話し相手になってくれている。
最近は、二人とずっと顔を合わせているせいか、わだかまりが溶け始めていた。
私達は話す。公爵家に居た頃の事を、そして公爵家を出た後に二人がどんな生活を送っていたのかを、私とレオンがどう生活していたのかを。
「……すまなかった」
「申し訳ありません」
「えっと……なんで謝るの?」
昔話をしていただけのはずなのに、私は何故かケイオス兄様とカインツ兄様に土下座されていた。
正義感が強いカインツ兄様だったら分かるのだが、ケイオス兄様まで土下座しているのはちょっと意味が分からない。
私が両親にされた教育内容やジブリールにされた最終的な仕打ちを、こんなことがあって、洗脳から逃れることが出来たんだと軽く話しただけなのだ。もう既に吹っ切れているから、二人にもそれを知っていてほしかったという気持ちで話したのだが、この話は予想外に二人の罪悪感を抉ってしまったようだった。
「君は役に立たないなんてことはない。その妖精の鉤爪だって、使いこなせるようにと僕達に本を持ってきてくれと頼んでいるくらいに努力家じゃないか。それに食事の時のマナーや今の立ち振る舞いを見ていれば分かる。君は努力をし続けてその習慣を手に入れた。そんな努力を出来る君が役立たずなんて、あり得ない!!」
「それだけじゃねえ!俺達はずっとアリア、お前とレオンを必要としていた。迎えに行かなかったくせにと思われてると思うが、俺は、俺とカインツが出て行ったことで、公爵家を継げるお前達にはもっと優しくなると思ったんだ、あの両親が。それに俺達の仕事は今でも危険と隣り合わせだし……って、これじゃあ言い訳だな。俺にとってもカインツにとっても、お前とレオンは必要な存在だよ。大切な存在なんだ」
「ケイオスの言う通りだ。君とレオンは僕にとっての家族、何よりも大切な存在ですよ」
カインツ兄様とケイオス兄様は大人なのに、ボロボロと泣きだし、地面に伏せっている。
『役に立たないし、誰にも必要とされない人間ってああいうやつのこと言うんだろうな……本当、哀れな生き物だよ』
ジブリールのあの言葉。言われた時は傷付いた……今も笑い話としての失敗談のように話しながらも、心の中にしこりとして残っていたようだ。
兄二人にレオンと私は『大切な存在だ』と言われて、私まで涙が出て来てしまった。
一度は離れてしまった家族。もう見捨てられたと思っていた存在。でも私は見捨てられてなどいなかった。そう思うと、心が奥底からポカポカと暖かくなっていく気がした――。
「事情については、一応理解しているから、大丈夫。気にしなくていいわ」
「もし必要なものがあれば言ってください。ケイオスには言いづらいものもあるでしょう。ほら、その……君は女性なので」
「はあ?俺に言いにくい事なんてあるわけないだろう!?優しい兄貴の俺に!!」
「この無神経な男は無視してください」
「……ありがとう、カインツ兄様。あとで相談させてもらうわ」
あれから。
本当に部屋から全く出ないままに2週間程が経過した。
基本的に、私への食事はケイオス兄様とカインツ兄様のどちらかが持ってきてくれる。カインツ兄様はいつも本やケーキ、紅茶を持ってきてくれて、ケイオス兄様はパズルや人形、お菓子といったなんだか子供向けとも思えるが、確実にアリアが昔好きだったものを一緒に差し入れてくれていた。
なんとなくだが、二人は今、一緒にいられなかった時間を埋めようと無意識の内にしているのだろうと察した。罪悪感の表れなのかもしれない。
風呂やトイレは部屋に備え付けられているので問題ないが、全く外に出られない・外の状況が分からない状態というのは、私にとって息が詰まるのは事実だった。いくら兄二人が定期的に着てくれると言ってもだ。
そして今日は珍しくケイオス兄様とカインツ兄様両方が一緒に私に会いに来てくれていた。今日は仕事がどちらも休みなのだそうだ。
だから話し相手になってくれている。
最近は、二人とずっと顔を合わせているせいか、わだかまりが溶け始めていた。
私達は話す。公爵家に居た頃の事を、そして公爵家を出た後に二人がどんな生活を送っていたのかを、私とレオンがどう生活していたのかを。
「……すまなかった」
「申し訳ありません」
「えっと……なんで謝るの?」
昔話をしていただけのはずなのに、私は何故かケイオス兄様とカインツ兄様に土下座されていた。
正義感が強いカインツ兄様だったら分かるのだが、ケイオス兄様まで土下座しているのはちょっと意味が分からない。
私が両親にされた教育内容やジブリールにされた最終的な仕打ちを、こんなことがあって、洗脳から逃れることが出来たんだと軽く話しただけなのだ。もう既に吹っ切れているから、二人にもそれを知っていてほしかったという気持ちで話したのだが、この話は予想外に二人の罪悪感を抉ってしまったようだった。
「君は役に立たないなんてことはない。その妖精の鉤爪だって、使いこなせるようにと僕達に本を持ってきてくれと頼んでいるくらいに努力家じゃないか。それに食事の時のマナーや今の立ち振る舞いを見ていれば分かる。君は努力をし続けてその習慣を手に入れた。そんな努力を出来る君が役立たずなんて、あり得ない!!」
「それだけじゃねえ!俺達はずっとアリア、お前とレオンを必要としていた。迎えに行かなかったくせにと思われてると思うが、俺は、俺とカインツが出て行ったことで、公爵家を継げるお前達にはもっと優しくなると思ったんだ、あの両親が。それに俺達の仕事は今でも危険と隣り合わせだし……って、これじゃあ言い訳だな。俺にとってもカインツにとっても、お前とレオンは必要な存在だよ。大切な存在なんだ」
「ケイオスの言う通りだ。君とレオンは僕にとっての家族、何よりも大切な存在ですよ」
カインツ兄様とケイオス兄様は大人なのに、ボロボロと泣きだし、地面に伏せっている。
『役に立たないし、誰にも必要とされない人間ってああいうやつのこと言うんだろうな……本当、哀れな生き物だよ』
ジブリールのあの言葉。言われた時は傷付いた……今も笑い話としての失敗談のように話しながらも、心の中にしこりとして残っていたようだ。
兄二人にレオンと私は『大切な存在だ』と言われて、私まで涙が出て来てしまった。
一度は離れてしまった家族。もう見捨てられたと思っていた存在。でも私は見捨てられてなどいなかった。そう思うと、心が奥底からポカポカと暖かくなっていく気がした――。
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