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5話

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 キスをしていた――
 ローザリンデは「いけないことだ」と思う。
 しかし、キスをされながら、髪の中に沈む相手の指の温度を感じると頭の芯が痺れ、何も考えられなくなる。
 すっと唇が離れた。

「ローゼリンデ様……」
「ああ、リカード、わたくしは侯爵の妻で…… あうッ」

 首の後ろをそっと撫でられ、思わずはしたない声を漏らす。
 孤独と絶望の中にあって、リカードからの求愛を拒否することはできなかった。
 ローゼリンデは罪深い行為と思いながらも、身を任せてしまう自分の弱さを思う。

「本当の愛はここにあるのです。神は知っておられます」

 耳元に蕩けるような甘い囁きが流れ込む。
 身の内が熱く、心臓がワサワサと波打ち、眩暈にも似た感覚の中に入っていく。
 ローザリンデの細い腕が少年の身体に絡みつく。

 このふたりが愛を交わすのは初めてではなかった。
 リカードが食事を持ってきた日から間をおかずにそのような関係になっていた。

『私も、男なのです。ああ、ローゼリンデ』

 まだ少年と思っていたリカードに愛を告白された。
 そして、まだ青く未成熟さをみせつつも、ローザリンデを強く求めた。
 逆らうことなどで気はしなかった。
 そして、逆らう気もなかったのかもしれない。

 リカードは、ローゼリンデと肌を合わせ重なり合う。
 ろうそくの弱い光がふたりの姿を影として作り出す。

「あっ」

 まだ背丈も成長途上にあるリカードの頭がローゼリンデの頭の部分に位置した。
 リカードは宝物を愛でるかのように、彼女の胸の間に舌を這わせた。
 たまらず、喘ぎ声を漏らす。夫との交わりでは決して無かった快感が全身を走り抜けた。

 少年のまだ大きくはない手のひらが乳房に被さり、ゆっくりと柔らかく揉んでいく。
 ぎこちない指使いであっても、ローザリンデはお腹の中から湧き上がるような不思議な感覚に酔って行く。

「挿れるよ。愛しているローゼリンデ」

 優しく頬に触れ、美麗な輪郭をなぞるかのように顔をさする。
 広げられた白い脚の間に少年は腰を置き、ぐっと突き出した。
 幼くはあるが硬くなった少年の部分は濡れているローゼリンデの身体に触れ、一気に中に侵入した。

「あうッ や…… あ、リカード」

 溢れだそうになる声を抑えようとローザリンデは身を固くし、口を押さえる。
 しかし、肢体は身体に流れこむ背徳的な快感に耐えられず、弓なりに反っていく。
 白い肌が、ろうそくの明かりの下で震えている。

「声を我慢しないでいいんだよ」
「あぅ、ダメ…… っ…… あぁぁ、あふぁ~」

 快感が更に深みを増した。身体の奥を突かれる。
 リカードはローゼリンデの細い腰をキュッと抱え込むようにして、必死に動く。
 生み出される快感がふたりをどろどろに溶かしてしまうようだった。

「あ、あ、あ、それ以上はぁぁ、あぁぁぁ~」

 ビクビクと身体を痙攣させ、ローゼリンデは白いのどを見せる。
 ふたりは深く愛し合い、身も心も溶けて一体になろうとしていた。


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 性描写表現はアルファポリス様刊行の井上美珠先生の「君が好きだから」を参考にしてそれ以上過激にならないようにしています。
 
 https://twitter.com/naka773/status/955364784731447296

 また、同じ文を使うという盗用は一切していません。
 表現レベルの参考にしただけです。
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