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第18話 似た者同士
しおりを挟む「……ケル、どういうことだ?」
俺は聞いたこともないケルの言葉を前に、思わず聞き直していた。
「そのままの意味だ。まぁ、それも古代魔法が絶滅する前の話だがな」
ケルは驚く俺たちを見ながら、何でもないことを言うかのように言葉を続ける。
「冒険者はそもそもパーティを組むのだろう? 昔は完全分業制だったのだ。強い支援魔法を使える者がいれば、剣士が魔法を使う必要などないからな」
「け、ケルさん。そんな話どこで聞いたんですか?」
ついさっきまでケルを撫でていたエリさんは、撫でる手を止めてずいっと前のめりになっていた。
エリさんは初めて聞く話に、少し興奮気味になっているみたいだ。
「現代魔法が出てきてから、剣士が中途半端に魔法を使うようになったと地獄でボヤいた奴がいてな、そいつから聞いた。まぁ、それも魔術師が現代魔法しか使えなくなったのが原因らしいがな」
ケルはそう言うと、俺を見て言葉を続ける。
「ソータが古代魔法を使えるのだ。純剣士以上に合う仲間などいないだろう」
俺はケルの御言葉を聞いて、ハッとしてサラさんを見る。
自分の支援魔法が特別優れているとは思わないけど、ケルはずっと俺の魔法を古代魔法だと言ってくれている。
それなら、俺とサラさんが組んだらかなり強いパーティが作れるのでは?
「こ、古代魔法が使えるのか? そんな神童がいたとは……」
「神童なんてすごい者じゃないですよ。俺もパーティを追い出されたんです」
「神童を追い出した?」
サラさんは目を見開いて俺を見る。
そんなサラさんの反応にクスッと笑いながら、俺はまっすぐサラさんを見つめ返す。
「はい。でも、最後にそのパーティを見返したくて、勝負をすることにしたんです」
「パーティを見返す……」
サラさんは思うところがあるのか、キュッと口を閉じた。
微かに俯いた表情から、俺も少し前まで似た表情をしていたのだろうと思った。
「なので、サラさん。俺に力を貸してくれませんか? パーティを追い出された古代魔法使いと純剣士。二人で成り上がって、俺たちを追い出したパーティにぎゃふんと言わせてやりましょうよ」
俺が手を差し出すと、サラさんは顔を上げた。
「考えてもみなかったよ。純剣士だからという理由で、私をパーティに誘ってくれる人がいるなんてね」
微かに緩めた口元は嬉しそうで、俺も釣られたようにニッと笑う。
「乗った。二人で元いたパーティを見返そうじゃないか」
サラさんは俺の差し出した手を握ると、悪戯をする少女のように笑った。
うん。やっぱり、悲しそうな表情よりも、こっちの表情の方が良く似合う。
そんなことを考えて、俺はその手を握り返した。
こうして、俺とサラさんはパーティを組むことになったのだった。
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