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《233》仲間はずれ

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「口付けくらいで、随分と大仰なんじゃないか?」


フィアンがユージーンの言葉を遮った。


「あと、ノワは俺のものだ」

「俺のものでもある」


「ひ·····っ」


後ろから、低い声が囁く。


「仲間はずれなんて酷いじゃないか」


首筋を高い鼻が撫でた。
微かな刺激が、波紋を広げ、身体をかけていった。


「·····ああ、そうだ」


ユージーンは思い出したようにつぶやいた。


「今日の服装のことですが·····勝手なことはやめてくれませんか、陛下」


かろうじて敬語なのがかえって白々しい。フィアンは含み笑いを返した。


「どうしてだ?」


「信頼関係が命の陛下と宰相の間に、不仲説が出ると良くないでしょう。外面を気にするなら、今度のパーティは3人で服を合わせましょう」


美しい二人の夫が、ノワを挟んで体裁の話をする。


「それと、妹の件はご検討いただけましたか?」

「お前の妹はあんなに結婚を嫌がってたじゃないか」

「本人は色々と決心が着いたようですし···お世継ぎのためにも、悪い話ではないかと思いますが」


ノワは世継ぎを産めない。
フィアンは子を産めない自分の代わりに側室を設け、子供を作る。
この関係に、愛などない。

そして彼らは、そんな話を、この身体にふれながら進めるのだ。
「悲しい」という感情は抜き取られてしまった。だから、ただただ苦しくて、よく分からない蟠りを飲み込むしかない。
ノワは両手で耳を塞いだ。


「ノワ?」


異変に気づいたユージーンがノワを覗き込む。
言葉すら浮かばない。子供のように首を振って、二人から逃げようと、体を捻る。


「·····ああ、悪かった、ノワ·····」


熱い手がノワの両手を拘束した。


「顔をよく見せてくれ」


きっと酷い顔をしている。
たまたま聖女だったおかげで二人のそばにいられるのに、これ以上何を望もうとしているのだろう。
愚かだ。

ぼやけた視界の向こうで、フィアンが微笑む。
華やかな赤に金粉を混ぜたような瞳だ。それが恍惚とこちらを見つめていた。


「お前の苦しむ顔が、まるで俺に愛をつたえているみたいで····堪らないな」

「俺"達"だよ」


後ろから、思わずこぼれたような笑い声が、空気を揺らした。

震える唇に、そっと温もりを当てられた。
深くなってゆく口付けに呼吸を合わせ、後ろの男に身を委ねる。


「ノワ、こっちに」


息を整える間もなく、ユージーンに唇を塞がれる。暖かくて、心地よい快楽に夢中になる。


「ひゃう」


硬くなった乳頭はフィアンに食べられてしまった。舌の上で転がされ、舐め取られる。


「口を開けなさい」


ユージーンが命令した。









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