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《321》甘い飴

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こうなってしまったのは、今日だけ。いつもはこんな下品なことはしていないのに。
違う、と言いたいが、この状態で言ったって、信ぴょう性は無に等しいだろう。


「フィア、さま·····っこれ、これは·····っ」


下品なやつだと思われたに違いない。


「知らなかったな、ノワがこんなに」


「あっ、?♡」


自分のものとは違う、堅固な指がノワを貫く。
ビリビリとしびれるような刺激は、すぐに甘い後味に変わる。

気持ちいい。
パクパク口を開閉しながら、脳内にはその単語だけが浮かぶ。

何度も目で追っていた彼の、しなやかな指。男らしく角張った長いそれが、自分のいちばん汚いところを触っている。


「·····いやらしかったなんて」


違わない。
気持ちよくて、自らアナルをほじっていたのは、紛れもない事実だ。

いやらしくて下品な奴なんだ。

フィアンが言うのだから、そうなんだろう。


「ひゃん·····っふ、ぅ·····♡」



ノワの身体は小刻みに震え始めた。


「ゆび、だめ·····っへンに、なっちゃ·····」

「だめなのか?」

「·····~~~っひっ♡?」


付け根まで押し込まれた中指と人差し指が、へそに向かって折り曲げられる。
情けない声は、抑えることが出来なかった。


「だ、め·····だめ·····っ」

「こんなに強く引き込んで離さないのに·····」

「·····んぅ·····♡」


にゅぽにゅぽと出し入れされる指を必死に味わう。棒切れからは、呆気なく白濁が噴射された。

ノワはベットに倒れ込んだ。

荒く呼吸を繰り返していると、肩を掴まれ、優しく仰向けにされる。
恍惚と微笑むフィアンの目元は、濃く高揚していた。


「少し虐めすぎたか」


囁きを聞きながら、ノワは手首の内側で涙を拭った。

フィアンは、やはり意地悪な男だ。優しくて格好いいだけじゃないと知ったのは、もう随分前からだった。

時に正論を掲げ、時に、遊ぶようにノワを辱める。
おかしくなってしまいそうなのと同時に、それを悦んでいる自分がいる。


「驚いたか?」


鞭の次は甘い飴。
頭を撫でるてのひらに、心から安堵してしまう。







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