326 / 342
《321》甘い飴
しおりを挟むこうなってしまったのは、今日だけ。いつもはこんな下品なことはしていないのに。
違う、と言いたいが、この状態で言ったって、信ぴょう性は無に等しいだろう。
「フィア、さま·····っこれ、これは·····っ」
下品なやつだと思われたに違いない。
「知らなかったな、ノワがこんなに」
「あっ、?♡」
自分のものとは違う、堅固な指がノワを貫く。
ビリビリとしびれるような刺激は、すぐに甘い後味に変わる。
気持ちいい。
パクパク口を開閉しながら、脳内にはその単語だけが浮かぶ。
何度も目で追っていた彼の、しなやかな指。男らしく角張った長いそれが、自分のいちばん汚いところを触っている。
「·····いやらしかったなんて」
違わない。
気持ちよくて、自らアナルをほじっていたのは、紛れもない事実だ。
いやらしくて下品な奴なんだ。
フィアンが言うのだから、そうなんだろう。
「ひゃん·····っふ、ぅ·····♡」
ノワの身体は小刻みに震え始めた。
「ゆび、だめ·····っへンに、なっちゃ·····」
「だめなのか?」
「·····~~~っひっ♡?」
付け根まで押し込まれた中指と人差し指が、へそに向かって折り曲げられる。
情けない声は、抑えることが出来なかった。
「だ、め·····だめ·····っ」
「こんなに強く引き込んで離さないのに·····」
「·····んぅ·····♡」
にゅぽにゅぽと出し入れされる指を必死に味わう。棒切れからは、呆気なく白濁が噴射された。
ノワはベットに倒れ込んだ。
荒く呼吸を繰り返していると、肩を掴まれ、優しく仰向けにされる。
恍惚と微笑むフィアンの目元は、濃く高揚していた。
「少し虐めすぎたか」
囁きを聞きながら、ノワは手首の内側で涙を拭った。
フィアンは、やはり意地悪な男だ。優しくて格好いいだけじゃないと知ったのは、もう随分前からだった。
時に正論を掲げ、時に、遊ぶようにノワを辱める。
おかしくなってしまいそうなのと同時に、それを悦んでいる自分がいる。
「驚いたか?」
鞭の次は甘い飴。
頭を撫でるてのひらに、心から安堵してしまう。
応援ありがとうございます!
16
お気に入りに追加
4,756
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる