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竜人嫌いの魔族、竜人の子供を育てる
35.ルーフの好物
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「美味っ…!」
家でまったり過ごしていたルーフは、昼にシロが作ったビーフシチューに舌鼓を打っていた。
何時間かけて煮込んだのか知らないが、肉はホロホロで野菜には味が染み込んでいて、スープには旨みがギュッと詰まっている。
「あいつ、天才だな…」
思わず独り言を呟いてしまうほど美味しい。
5年前、まだ料理に不慣れだったシロが「ルーフさんが僕の料理しか食べられなくなるほど上手くなります」と宣言した通り、今ではルーフの好物はシロの料理になった。
ビーフシチューで腹が満たされたルーフは窓から青い空を見上げた。
今日もギルドに行って仕事してくるかー…
ここ数年、ルーフはお金を貯めるため、ギルドで仕事を引き受けている。
といっても、夕方にはシロが帰って来るので、その時間までに終わる簡単な仕事を選んでいる。
いつからかシロが帰って来たら、一緒に買い出しに行って、夕食は2人で今日あった事を話しながら作るようになった。料理はほとんどシロが作って、ルーフはその隣で味見係をしているだけだが。
そして夕食を食べながらダラダラ過ごす。
夜は今だに一つしかないベッドに2人で寝っ転がって、またダラダラ過ごしかながら、いつのまにか寝落ちする。
シロはよく寝ぼけてルーフの体を触ってくるが、正直それも嫌いじゃない。むしろ気持ち良いぐらいだ。まあ、際どい所を触られたら流石に止めているが。
シロがルーフの体を触るのはただのスキンシップではない。
おそらく…いや、確実に、「惚れさせる」宣言をしたくらいだから、そういう意味で触ってくるのだろう。
最初はシロとなんてありえないと思っていたルーフも、成長していくシロを見て、大人になってもルーフの事をまだ好きだと言い続けるなら、恋人になってやってもいいかな、と思うようになった。
恋人なんてめんどくさい存在だと思っていたが、きっとシロはこれからも自分のそばを離れない。ルーフもシロがそばにいる日常が当たり前になっている。そこに体の付き合いが加わるだけだ。
初心なシロに色々教えてやるのも面白そうだ。
うん、そんな未来も悪くない。
そんな日が来たら、シロはどんな反応をするのだろう。
無意識に口元が緩んだルーフが空を眺めていると、チャイムが鳴った。扉を開けると訪ねてきたのはジェスだった。
「よう、ルーフ。久しぶりだな」
ジェスも人間の国に来る時は『人の姿』になっている。
身長はルーフより高く、体型はスラッとした細身でしなやかな黒豹を連想させる。
全身光沢のある黒色の服装にアクセサリーをジャラジャラと付けていて、相変わらず派手な格好をしている。
「ジェスか、人間の国にくるなんて珍しいな。何か用か?」
「近くまで来たから寄ってみただけさ。シロ坊はいないのか?」
ジェスは部屋の中をキョロキョロと覗き込んだ。
「ああ、町医者の所へ手伝いに行った。寄ってくか?」
「ん」
リビングのソファにジェスを案内し、ルーフは酒を渡した。
「お、サンキュ。…でも、それより」
酒を持った腕を引っ張られ、ルーフはソファに押し倒された。
「うわっ、何すんだよっ!」
「久しぶりに、シねぇ?」
ジェスはニヤッと笑った。
家でまったり過ごしていたルーフは、昼にシロが作ったビーフシチューに舌鼓を打っていた。
何時間かけて煮込んだのか知らないが、肉はホロホロで野菜には味が染み込んでいて、スープには旨みがギュッと詰まっている。
「あいつ、天才だな…」
思わず独り言を呟いてしまうほど美味しい。
5年前、まだ料理に不慣れだったシロが「ルーフさんが僕の料理しか食べられなくなるほど上手くなります」と宣言した通り、今ではルーフの好物はシロの料理になった。
ビーフシチューで腹が満たされたルーフは窓から青い空を見上げた。
今日もギルドに行って仕事してくるかー…
ここ数年、ルーフはお金を貯めるため、ギルドで仕事を引き受けている。
といっても、夕方にはシロが帰って来るので、その時間までに終わる簡単な仕事を選んでいる。
いつからかシロが帰って来たら、一緒に買い出しに行って、夕食は2人で今日あった事を話しながら作るようになった。料理はほとんどシロが作って、ルーフはその隣で味見係をしているだけだが。
そして夕食を食べながらダラダラ過ごす。
夜は今だに一つしかないベッドに2人で寝っ転がって、またダラダラ過ごしかながら、いつのまにか寝落ちする。
シロはよく寝ぼけてルーフの体を触ってくるが、正直それも嫌いじゃない。むしろ気持ち良いぐらいだ。まあ、際どい所を触られたら流石に止めているが。
シロがルーフの体を触るのはただのスキンシップではない。
おそらく…いや、確実に、「惚れさせる」宣言をしたくらいだから、そういう意味で触ってくるのだろう。
最初はシロとなんてありえないと思っていたルーフも、成長していくシロを見て、大人になってもルーフの事をまだ好きだと言い続けるなら、恋人になってやってもいいかな、と思うようになった。
恋人なんてめんどくさい存在だと思っていたが、きっとシロはこれからも自分のそばを離れない。ルーフもシロがそばにいる日常が当たり前になっている。そこに体の付き合いが加わるだけだ。
初心なシロに色々教えてやるのも面白そうだ。
うん、そんな未来も悪くない。
そんな日が来たら、シロはどんな反応をするのだろう。
無意識に口元が緩んだルーフが空を眺めていると、チャイムが鳴った。扉を開けると訪ねてきたのはジェスだった。
「よう、ルーフ。久しぶりだな」
ジェスも人間の国に来る時は『人の姿』になっている。
身長はルーフより高く、体型はスラッとした細身でしなやかな黒豹を連想させる。
全身光沢のある黒色の服装にアクセサリーをジャラジャラと付けていて、相変わらず派手な格好をしている。
「ジェスか、人間の国にくるなんて珍しいな。何か用か?」
「近くまで来たから寄ってみただけさ。シロ坊はいないのか?」
ジェスは部屋の中をキョロキョロと覗き込んだ。
「ああ、町医者の所へ手伝いに行った。寄ってくか?」
「ん」
リビングのソファにジェスを案内し、ルーフは酒を渡した。
「お、サンキュ。…でも、それより」
酒を持った腕を引っ張られ、ルーフはソファに押し倒された。
「うわっ、何すんだよっ!」
「久しぶりに、シねぇ?」
ジェスはニヤッと笑った。
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