81 / 102
竜人の子、旅立つ
8.魔力供給
しおりを挟む
「すごい…、闇のオーラが光に変わっていく。あいつ、本当に何者なんだよ…」
シャオルが呟いた。
父、ユーロンからシロの事は聞いていた。
詳しい生い立ちまでは知らないが、訳あってオオカミ魔族に育てられている。素直で良い子だが、闇魔力が多すぎるため注意が必要だと。もしユーロンに何かあった時、代わりにシロの事を気にかけて欲しいと。
シロから放たれるオーラから魔力の多さを感じた。まだ15歳とは思えない強大すぎる力だ。
しかし、それ以上に自分より年下で、しかも街の教会学校で普通に育った竜人とは思えないほどの高度なコントロール技術だ。
これほどのコントロールが出来るようになるまで、シロはどれほどの努力をしてきたのだろう。
(ははっ、俺も負けてられないな…)
シャオルの闘争心がチリチリと燃えはじめた。
一方、ユーロンは平常心を保ちながらシロをひたすら見守っていた。仮にシロが魔力暴走を起こしても、全て自分が責任を取る覚悟だった。
魔力不足のユーロンは、正直、今、立っているだけでも辛い。先ほど、サハラに聖水を飲むように言われたが、医療班の騎士に分けてやれ、と断った。
自分の命など、どうでもいい。
ユーロンの願いは、1人でも多くの怪我人を救う事だ。もし、シロの魔力供給が成功すれば大きな希望となる。
ユーロンは覚悟と期待をして目を閉じた。
シロが放つ光のオーラは、少しずつユーロンを包み込んだ。
足、胴体、腕、頭…。
オーラが触れた箇所は、じんわりと温かくなっていく。まるで優しい陽だまりの中で漂っているような浮遊感。身体も心もどんどん癒されていくようだった。
そして光はスッと消えていった。
目をゆっくり開けると、心配そうな表情をしたシロとシャオルが近づいてきた。
「…ユーロンさん、大丈夫ですか?」
「父上、魔力はどうですか?」
ユーロンは自分の心臓に手を当てて、深呼吸をした。魔力の回復だけではなく、体力まで回復している。
「すごい…、すごいぞ…、シロ…。大成功だっ!!今なら人命救助だけではなく、崩壊した街も元に戻せそうだ!」
ユーロンは思わずシロを抱きしめた。シャオルも安心したように笑って剣を鞘に戻した。
「良かった!じゃあ魔力供給の許可をしてくれますか?」
「もちろんだ!いや、許可ではなく、竜人騎士団長としてお願いする。シロ、俺たちに力を貸してくれ!ただし、無理はしないでくれ。少しでも体に不調を感じたら、すぐに止めるんだ」
「分かりました!」
シロは再び闇を光のオーラに変えながら放出させた。少しずつ蛇口を捻って水量を上げるように、魔力の量を増やしていく。
光のオーラは大地を這いながら、駐屯所で休んでいる騎士を次々と飲み込んでいく。そして医療班で治療魔法を使っている竜人たちも、光のオーラに飲み込まれた。
光のオーラに包まれた騎士たちは、急に戻った魔力と体力に驚きながら歓喜の声を上げる。
ユーロンは魔力が回復した騎士たちを集め、1人でも多くの人を助けようと指示を出す。
光のオーラはどんどん放出され、光の眩しさでシロの姿が見えなくなった。
「シロ!無理するなよ!!」
シャオルがシロに向かって叫ぶと、眩い光の中から「まだ全然余裕ですよ!」とシロの元気な声が聞こえてきた。
そして光のオーラは、ついに駐屯所全体を包み込んだ。
シャオルが呟いた。
父、ユーロンからシロの事は聞いていた。
詳しい生い立ちまでは知らないが、訳あってオオカミ魔族に育てられている。素直で良い子だが、闇魔力が多すぎるため注意が必要だと。もしユーロンに何かあった時、代わりにシロの事を気にかけて欲しいと。
シロから放たれるオーラから魔力の多さを感じた。まだ15歳とは思えない強大すぎる力だ。
しかし、それ以上に自分より年下で、しかも街の教会学校で普通に育った竜人とは思えないほどの高度なコントロール技術だ。
これほどのコントロールが出来るようになるまで、シロはどれほどの努力をしてきたのだろう。
(ははっ、俺も負けてられないな…)
シャオルの闘争心がチリチリと燃えはじめた。
一方、ユーロンは平常心を保ちながらシロをひたすら見守っていた。仮にシロが魔力暴走を起こしても、全て自分が責任を取る覚悟だった。
魔力不足のユーロンは、正直、今、立っているだけでも辛い。先ほど、サハラに聖水を飲むように言われたが、医療班の騎士に分けてやれ、と断った。
自分の命など、どうでもいい。
ユーロンの願いは、1人でも多くの怪我人を救う事だ。もし、シロの魔力供給が成功すれば大きな希望となる。
ユーロンは覚悟と期待をして目を閉じた。
シロが放つ光のオーラは、少しずつユーロンを包み込んだ。
足、胴体、腕、頭…。
オーラが触れた箇所は、じんわりと温かくなっていく。まるで優しい陽だまりの中で漂っているような浮遊感。身体も心もどんどん癒されていくようだった。
そして光はスッと消えていった。
目をゆっくり開けると、心配そうな表情をしたシロとシャオルが近づいてきた。
「…ユーロンさん、大丈夫ですか?」
「父上、魔力はどうですか?」
ユーロンは自分の心臓に手を当てて、深呼吸をした。魔力の回復だけではなく、体力まで回復している。
「すごい…、すごいぞ…、シロ…。大成功だっ!!今なら人命救助だけではなく、崩壊した街も元に戻せそうだ!」
ユーロンは思わずシロを抱きしめた。シャオルも安心したように笑って剣を鞘に戻した。
「良かった!じゃあ魔力供給の許可をしてくれますか?」
「もちろんだ!いや、許可ではなく、竜人騎士団長としてお願いする。シロ、俺たちに力を貸してくれ!ただし、無理はしないでくれ。少しでも体に不調を感じたら、すぐに止めるんだ」
「分かりました!」
シロは再び闇を光のオーラに変えながら放出させた。少しずつ蛇口を捻って水量を上げるように、魔力の量を増やしていく。
光のオーラは大地を這いながら、駐屯所で休んでいる騎士を次々と飲み込んでいく。そして医療班で治療魔法を使っている竜人たちも、光のオーラに飲み込まれた。
光のオーラに包まれた騎士たちは、急に戻った魔力と体力に驚きながら歓喜の声を上げる。
ユーロンは魔力が回復した騎士たちを集め、1人でも多くの人を助けようと指示を出す。
光のオーラはどんどん放出され、光の眩しさでシロの姿が見えなくなった。
「シロ!無理するなよ!!」
シャオルがシロに向かって叫ぶと、眩い光の中から「まだ全然余裕ですよ!」とシロの元気な声が聞こえてきた。
そして光のオーラは、ついに駐屯所全体を包み込んだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
281
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる