83 / 110
第20話 やっぱり年下の男
20-1.やっちまった
しおりを挟む
やっちまった。
目覚めればそこはラブホのお部屋で、ベッドの上で裸で男と抱き合ったまま横たわっている自分の姿を鏡越に目撃すれば、誰だってそう思う。
個人的には鏡があるのはキライだけど、こういう役にも立つのだなあ、なんて、違うと思うけど。
ううむ、と昨夜の自分の行動を振り返る。
昨日の午後は、我らが詩織ちゃんの結婚披露宴だった。新郎は薬品会社の営業さんだけあって顔が広く、新郎側の関係者各位がそれは大勢で、イマドキ豪華な披露宴だねぇと感心しつつ私たちは友人席でお料理とお酒を楽しんだ。
白無垢白ドレスは着用せず、モダンな柄の黒地の打掛に現代風アレンジの地毛結い姿は小柄な詩織に似合っていたし、肩回りを露出した深紅のドレスも素敵だった。背中のお肉がのってもいなくて、ダイエットがんばってたもんなあ、とほろりとくる。
友だちの中で、詩織はやっぱり特別で、絵美も含めていつも一緒の三人だったし、詩織のふんわりと優しいしゃべりかたは癒しだったし、意外にずばずば指摘してくるのもありがたかったし、なんだよ、けっきょくキョウスケさんとゴールインかよ、と、新郎新婦によるご両親への挨拶のときには私も妙なスイッチが入っておいおい泣いてしまった。
そのまま二次会に突入して、やけ酒よろしく飲み過ぎてしまったのだなあ、うん。長らく合コンからも遠ざかり、女同士でごはんを食べにいって少し嗜む程度でいたから、弱くもなっていたのかも。
で、この綿毛みたいなふわふわな柔らかい茶髪の持ち主は誰だ? なんで私が腕枕してあげてんだ? 腕しびれてるんですけど。
胸元に寝息を感じるけれど顔が見えない。鏡で金髪に近い茶色の髪を確認しながら、私はまたううむと唸るしかない。
骨ばった細い体つきに明るい茶髪。若いよなあ、これは。若すぎる。こんな子、二次会メンバーにいただろうか? それとも三次会から合流したキョウスケさんの後輩?? まったく覚えがない。
あいている方の腕を上げてまいったなあと、髪をかき上げたとき、茶髪男子がもぞもぞと身動きした。
起きますか? どいてくれますか? 腕しびれてるんで。
ぱっちりと目を開けて頭を上げたその顔は、色白で鼻筋の通った中性的なお顔立ちのハンサムくんで、私の好みといえばそうである。
やっちまった。またその言葉が頭の中をぐるぐる回る。
茶髪のハンサムくんはふにゃっと笑って、顔立ちに比して低めに感じるお声で囁いた。
「おはよう、昨日はステキだったね」
どう反応しろと……?
目覚めればそこはラブホのお部屋で、ベッドの上で裸で男と抱き合ったまま横たわっている自分の姿を鏡越に目撃すれば、誰だってそう思う。
個人的には鏡があるのはキライだけど、こういう役にも立つのだなあ、なんて、違うと思うけど。
ううむ、と昨夜の自分の行動を振り返る。
昨日の午後は、我らが詩織ちゃんの結婚披露宴だった。新郎は薬品会社の営業さんだけあって顔が広く、新郎側の関係者各位がそれは大勢で、イマドキ豪華な披露宴だねぇと感心しつつ私たちは友人席でお料理とお酒を楽しんだ。
白無垢白ドレスは着用せず、モダンな柄の黒地の打掛に現代風アレンジの地毛結い姿は小柄な詩織に似合っていたし、肩回りを露出した深紅のドレスも素敵だった。背中のお肉がのってもいなくて、ダイエットがんばってたもんなあ、とほろりとくる。
友だちの中で、詩織はやっぱり特別で、絵美も含めていつも一緒の三人だったし、詩織のふんわりと優しいしゃべりかたは癒しだったし、意外にずばずば指摘してくるのもありがたかったし、なんだよ、けっきょくキョウスケさんとゴールインかよ、と、新郎新婦によるご両親への挨拶のときには私も妙なスイッチが入っておいおい泣いてしまった。
そのまま二次会に突入して、やけ酒よろしく飲み過ぎてしまったのだなあ、うん。長らく合コンからも遠ざかり、女同士でごはんを食べにいって少し嗜む程度でいたから、弱くもなっていたのかも。
で、この綿毛みたいなふわふわな柔らかい茶髪の持ち主は誰だ? なんで私が腕枕してあげてんだ? 腕しびれてるんですけど。
胸元に寝息を感じるけれど顔が見えない。鏡で金髪に近い茶色の髪を確認しながら、私はまたううむと唸るしかない。
骨ばった細い体つきに明るい茶髪。若いよなあ、これは。若すぎる。こんな子、二次会メンバーにいただろうか? それとも三次会から合流したキョウスケさんの後輩?? まったく覚えがない。
あいている方の腕を上げてまいったなあと、髪をかき上げたとき、茶髪男子がもぞもぞと身動きした。
起きますか? どいてくれますか? 腕しびれてるんで。
ぱっちりと目を開けて頭を上げたその顔は、色白で鼻筋の通った中性的なお顔立ちのハンサムくんで、私の好みといえばそうである。
やっちまった。またその言葉が頭の中をぐるぐる回る。
茶髪のハンサムくんはふにゃっと笑って、顔立ちに比して低めに感じるお声で囁いた。
「おはよう、昨日はステキだったね」
どう反応しろと……?
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
13
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる