古書店の精霊

月咲やまな

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第二章

【第六話】始まりの書⑤

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「んんっ!ふぐぅ!」
 テウトが僕の服にしがみつき、必死に言葉にならぬ声で叫ぶ。口を塞ぐ手を外させようともがき、脚をバタつかせ、必死に抵抗されたが、僕は彼女の上から降りなかった。

「夫婦になろう、テウト」

 舌を出し、ペロッとテウトの頰を舐める。ぴくっとテウトの体が震え、脚の動きが止まった。
「婚儀は此処ではできないけど、初夜なら可能だよね。抱いてあげるよ、テウト」
 体にかろうじて残る破けた服をそのままに、テウトの胸を鷲掴む。形が変わる程強く揉むと、彼女の眉間にシワが寄った。
 初めて直接触れるテウトの胸の感触に、心が躍る。
 柔らかい…… あったかい…… あぁ。心が溶けそうなくらいに気持ちが良い。
 テウトの眦には涙がたまり、今にもこぼれ落ちそうだ。
「ふぐっ!んんんんっ!」
 僕が口を塞いだまま、テウトが声をあげて首を横に振る。抵抗しようが止めてなど——
「うわ!」
 テウトに掌を舐められ、僕は経験の無い感触に驚き、手を離してしまった。
「セ、セフィル…… 様っ!」
 真っ赤な顔をし、テウトの呼吸が乱れている。視線は虚ろで、零れ落ちた涙に室内を照らすオイルランプの光があたりとても綺麗だ。
 ギュッと僕の服を掴み、「話しを、き、きい…… くだ…… さ…… あぁ!」と言いはするが、言葉らしい言葉が紡げていない。僕が胸を揉むのを止めないせいか、ビクビクと体が反応し、テウトが腰をもじもじと動かしている。
「テウトも気持ちがいいの?」
 真似をして、呼吸を乱しながら問いかけると、テウトがギュッと強く瞼を閉じた。
「照れないで。僕は何も知らないんだから、テウトが教えてくれないと」
 彼女の穿くズボンに手をかけて、ウエストの紐を緩める。中に手を入れると、上がる体温のせいで脚が汗っぽく、肌がしっとりとしていた。
「ダ、ダメです!」
 グッとテウトが僕の胸を押してきたが、力が全く入っていない。
「ココに入れるんだよね?合ってる?」
 脚の付け根に手を伸ばし、和毛の奥へ指を忍ばせる。恥丘をそっと指先でなぞると、背中がゾクゾクした。本能的な部分を直接刺激されるような衝動を全身に感じる。

 すごい…… コレが人か。

 持ち込んでくれた本に書かれていた解体図や生態通りに内部まできっちり組んだ僕の“新しい体”はしっかりと機能し、自身の陰茎がグッと硬さを持つのがわかる。人体の解剖図と機能説明まで載せた著者に感謝したい気分だ。
 ソレをテウトの脚に擦り付けると、「ひゃああ!」と彼女が情けない声を出した。
「セフィル様⁈今のは一体?」
 僕の服を掴む手が震えている。本気で何かわからないといった表情をされ、僕まで困ってしまった。
「夫婦として繋がる為のモノらしいけど…… 。テウト、本を読んでないの?」
「そんな、そんな事まで書かれている本だったのですか⁈」
 軽く指を折り曲げ、中指でテウトの淫唇に触れると中が少し湿っており、ヌプッとした水っぽさを感じた。
「んあああ!やっ!ダ、ダメです、そんなとこ!」
「やめないよ。テウトと夫婦になる為には、ココで僕らが繋がらないとならないんだから」
 更に指を押し込み、軽く指先を動かして膣壁を撫でると、テウトが喘ぎ声をあげて体をよじった。
「…… わぁ…… 、か、可愛い」
 自らの下腹部の奥が疼くのを感じる。自分の陰茎が質量を増し、快楽を求めるのがわかった。
 テウトの上からよけて、彼女のズボンを全て脱がせる。布製の靴も取り去り、半端に残っていた上半身の破けた服も脱がせると、テウトは髪を隠す無地のヒジャブだけの姿になった。
「セフィル、さま…… あの!こ、こんな事をしなくても、私は此処を燃やす気などありません!」
 腕で胸と陰部を必死に隠し、テウトが恥ずかしそうに体を横にして、僕に背を向けた。
「…… じゃあ、何故ここへ戻って来てくれたの?」
 そっと背中に触れ、輪郭をなどるように彼女の肌を撫でると、テウトが「あぁぁっ」と甘い吐息を零した。
「此処を焼き払う気が無いのなら、戻らずに放置した方が楽なのに。説明責任でも感じたわけ?」
 浅黒い肌の上に手を滑らせながら、腰をスッと撫でる。テウトの体に力が入り、猫みたいに丸まってしまった。
「ちが…… 」
 彼女のお尻まで手を伸ばすと、そのままその手を恥丘に当てがった。
「だ、ダメです!」
 上半身を無理に曲げ、テウトが僕の腕を押さえつける。構わずにそのまま指を陰唇に押し込み再び膣内へ入れていくと、先程よりも中の湿りが強くなっていた。
 少し指を動かすだけでテウトが淫靡な声を堪えながら、僕の腕をギュッと掴んだ。
 膣奥から蜜が溢れ出し、トロリと滴り落ちる。透明な蜜が太ももを伝い、僕はソレを美味しそうだなと思った。
 グッとテウトの足首を掴み、陰部が露わになる様に持ち上げる。
 彼女の長い脚を僕の肩に引っ掛けさせ、卑猥な部分が僕の目の前にくる様にした途端、テウトが声にならぬ悲痛な呻き声をあげて脚をバタつかせた。
 背中を蹴られ、少し痛い。そうか…… コレが痛いってやつかと、しみじみ感じながら僕は舌を突き出しテウトの濡れる恥部を舐め上げた。
「き、汚い!セフィ…… ああぁぁっ!」
 背中が完全にベットから浮き、後頭部と腕だけで体を支えるという不安定な姿勢のまま、テウトが背を反らせた。
「…… テウトはどこも綺麗だよ」
 どこを舐めたらより愛らしい反応をするのか、様子を伺いながら丹念に舌を這わせる。
 膣内から流れ出る蜜を舌先に絡ませ、双方の陰唇や肉芽を念入りに味わう。体を震わせながら甘い声をあげるテウトの様子を見ているだけで頭の中が劣情に染まり、怒張と呼ぶに相応しい陰茎が何度もヒクついた。
 僕の唾液とテウトの蜜とが混じり合い、陰部でペチュペチュと水音がなる。その音が聞こえるたびにテウトが体を震わせて耳まで赤く染めるもんだから、僕は楽しくなってわざと音がたつよう意識して舐めてしまう。
 僕を燃やすだなんだとか、そんな事が瑣末事に思えてきた。

 テウトを貪り、食べ尽くしてしまうことさえ出来れば、もうそれでいい。このまま二人で此処から出ること無く、ずっとこうしていたい…… 。

 僕の呼吸が乱れ、吐息が陰部にかかる。
「セフィ…… セフィルさまぁ…… おやめ…… んあっ」
「ココはそうは思っていないみたいだけど」
 ヒクヒクと、もっと欲しいと訴えるみたいに蠢く陰部をペロリと舐める。
「ひぅ!だ…… あ!」
 テウトの脚を肩から下ろし、ベットの上にそっと戻す。
 僕は膝を立てて座ると、着ている服を掴み、構造など無視してそれを引っ張り脱いだ。
「…… 手品みたいですね」
「そんな事言える余裕があるんだ」
 呆気にとられるテウトの反応に、クスッと笑ってしまった。
 互いにほぼ全裸となり、下腹部の怒張から先走りが滴り落ちる。早く一つになりたい、夫婦になりたい。それだけで、頭がいっぱいだ。
 テウトの脚を開脚させ、陰部に怒張を擦りつける。
「ダメです…… セフィル様、本当に、それだけは——」
 首を横に振り、テウトが必死に拒否してくる。涙がボロボロと情けないくらいに溢れ出て、顔が真っ赤だ。
「…… それは出来ないな。僕には君しかいない。君が全てなんだ。僕を焼こうが、焼かれなかろうが…… テウトが居ないのなら、どっちも同じだ」
 グッと切っ先を押し込み、怒張が陰唇を押し広げる。
「んあぁぁぁぁぁ!」
 破瓜の痛みに、テウトが痛みを訴える。
「コレが済めば、僕等は夫婦だ…… 。誰も邪魔できない、誰にも…… 邪魔させない」

 たとえそれが、テウト本人だとしても——だ!

 腰に力を入れて、奥へと体を動かしていく。テウトが更に声をあげ、ベットに敷かれたシーツを必死に掻き毟る。蜜と共に膣内から赤いものが垂れだし、陰茎を伝って滴った。
「…… はは…… あはははははは!」
 テウトの最奥まで僕の怒張が入り込み、膣壁で強く抱きとめられる。体も心も満たされて、僕は場違いな笑い声を出した。
 額から汗が滲み出し、ぽたりとテウトの肌に落ちる。

「コレで僕等は夫婦だね。一生、永遠に、テウトが僕にモノになったんだ!」

 達成感が心を満たすが、体が満足してくれない。でも…… この熱をどうしていいのかわからない。此処から先の知識が自分の中には存在せず、正直困った。
 息を吐き出し、怒張をそのままに体を倒してテウトに覆い被さる。
「テウト…… わからないんだ。この後は、どうしたらいい?どうして欲しい?」
 頰にそっと手を当てて、耳に向かって囁きかける。
 ピクリと肩を震わせ、テウトが涙でぐちゃぐちゃになった目を僕へと向けてきた。
「あ…… え…… えっと…… 。ぬ、いて…… 」
「それは求めている答えじゃ無い」
 ガリッとテウトの耳に噛み付くと、「うぐっ!」と声があがった。歯型が耳につき、血が滲む。僕はやり過ぎたみたいだ。
「ごめん…… 感情的になっていたよ。他には?ここから先の行為を、テウトなら知っているよね?」
 口を引き結び、テウトが「…… はい」と頷いた。
「こ、腰を、動かして…… 私のな、な、中を…… 」
 恥ずかしくて堪らないといった顔で、ボソボソとテウトが呟く。
「こう?」と訊きながら腰を動かし、膣壁を怒張で擦りつけると、例えようの無い快楽で目の前が染まった。

 そうか、コレが性交渉か。
 一体になっただけでは無く、やっぱり行為には続きがあったんだ。

 一人納得し、テウトの胸に自身の胸を擦り付けながら、腰を動かす。テウトの尖った乳首が肌に擦れて気持ちがいいし、抱きしめられたままの怒張に感じる快楽にはすっかり溺れてしまいそうだ。
「気持ちいいよ、テウト。君の中は凄いね、ぬるぬるとしていて、とてもキツイ。僕の亀頭が奥で擦れるたびに、陰茎が爆発でもしてしまいそうだよ」
「…… だ、黙って…… は、はず…… かっ」
「…… そうなの?」
 グジュグジュと音をたてながら、怒張で快楽を貪る僕の体に、テウトが腕を伸ばして首に絡みついてきた。
「あっ!あぁ!」と、色立つ声を短く繰り返し、テウトの膣壁がギュッと締まっていく。
「ダメぇ!…… もぉ…… いやぁぁっ」
 テウトの制止など完全に無視し、挿入を繰り返す。
 彼女の背中に腕を入れて、僕もテウトを強く抱きしめ返すと、一際大きな声をあげてテウトの全身がビクビクと跳ねだした。
「テウト?…… どうしての?大丈夫?」
 ギューと膣壁が狭くなったと思ったら、テウトの体から一気に力が抜けていく。
 首に絡んでいた腕が解け、ベットの上にパタンと落ちた。
「テウト…… ?」
 瞳を覗き込み、様子を伺う。虚ろな目が空を彷徨っていたが、視線が僕と合った瞬間、テウトの顔が恥ずかしさでひどく歪んだ。
 バッと両手で顔を覆い、テウトが僕から表情を隠す。
「ねぇ、どうしたの?膣内がとても狭くて気持ちいいんだけど、僕は続きをしても平気?」
「も…… むりですぅ…… これ以上、まだ…… 何て、も…… 」
 顔を手で隠したまま、テウトが首を横に振る。
「でも、僕はまだしたい。気持ちいから、離れたく無い」
 テウトの髪を覆う布に手を伸ばし、それを引っ張る。
「ダメです!それは——」
 手で僕の行為を止めようと、テウトが顔から手を離した。だが止めるには間に合わず、ベットの上にテウトの美しい銀色の長い髪が散った。
「…… 綺麗だね。これでもう、僕等の間に隠し事は無いや」
 僕の頭にも巻かれていた布を解き、テウトの髪を真似る。
「これでお揃いだ。僕等は、対の夫婦だ」
「気持ち悪くは…… 無いのですか?」
 僕が髪をそっと撫でると、テウトが泣きそうな顔で問いかけてきた。
「何が?」
「私の髪です…… 種族的に皆黒なのに、私は…… 私だけ、こんな」
「僕はテウトしか知らないから比べようが無いけど、綺麗だよ。とても綺麗だ」
「…… セフィル様」
 くしゃっとテウトの顔が崩れたが、嬉しそうに目が細まった。力の入らぬ腕を無理に持ち上げ、彼女が僕の首へと抱きついてくる。

「続きを…… しても、いいですよ。セフィル様が満足するまで——」

 テウトの一言を聞き、頭の中で糸が切れるような音がしたのを感じた。もうそこからは無我夢中で、何を自分がやらかしたのかさっぱり覚えてなどおけなかった。
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