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ロックエレメンタル。
身体全体が好物で生成され、岩や土。
動物や人間を捕食することは稀であり、危害を加えたり、不用意に近づかなければ襲ってこない。
彼らは鉱物を食べ、身体から鉱物を輩出する。
食べた岩を鉄や金など、異なる鉱物へと変換して吐き出す。
時に希少価値の高い功績を生み出すことから、討伐より共存の道を模索している魔物の一種。
「奴らは生息するだけで、周囲に鉱物を生成してくれる。まさに生きた鉱物生成所だ。可能な限り、倒さず進みたいところだが……」
完全に道を塞がれてしまっている。
ロックエレメンタルは内部にコアがあり、それを破壊せず放置しておくと、一定時間で復活する特性を持つ。
倒しても復活はするけど、その間の鉱物生成は止まってしまう。
「仕方ない。俺が相手をしている間に、奥の通路に走れ」
大丈夫なんですか?
なんて、魔王様相手に言うのは失礼だろう。
グレン様がそう言うなら問題ない。
「わかりました。お気をつけて」
「ふっ、そっちもな。奥にも別の気配がある。ロックエレメンタル以外は殲滅しても構わない。お前たちは彼女を守れ」
「はっ! 行きましょう、ソフィアさん」
「はい!」
殿下がロックエレメンタルを挑発するように近づく。
戦いが始まったのを確認して、私たちは奥へと走った。
直後、別の足音が聞こえる。
殿下はこれに気づいていたのだろう。
「ロックウルフ!」
今度は洞窟に生息する狼の魔物だ。
ロックエレメンタルとは違い、肉食で人も積極的に襲う。
目が合えば当然、襲い掛かってくる。
「お下がりを! ここは我々が!」
護衛の騎士の方々が前に出る。
ロックウルフの外皮は固く、鉄の剣でも刃が通らない。
ただ、私が打ち直した剣なら問題はないだろう。
硬いロックウルフの外皮もたやすく斬り裂く。
これなら任せても大丈夫。
そう思った矢先、別の群れがやってきた。
道は二つに分かれていて、片方はちょうど死角になっていたらしい。
接近に遅れた騎士たちの横を通り、ロックウルフ数匹が私に向かってくる。
「ソフィアさん!」
「チッ」
騎士たちは目の前のウルフと交戦中。
グレン様はロックエレメンタルの足止めを終えたところで、今から駆け出そうとしていた。
魔王様なら間に合うかもしれない。
でも、せっかく自前の剣も装備しているわけだし、私だけ何もしないのは申し訳ない。
そんなことを思いながら、腰の剣を抜いた。
「……へ?」
「ほう! ソフィア、お前は剣術も使えたのか?」
「え? あ、はい。人並みですけど一応」
私は自力でロックウルフ三匹を撃退した。
魔物と戦うなんて久しぶりで、ちょっぴり緊張したけどなんとかなった。
相手が弱い魔物でよかったとホッとする。
「誰に習った?」
「祖父です。鍛冶師なら、剣ぐらい震えなきゃダメって言われて。確かにその通りだと思ったので」
自分で作る武器を、自分が使えないなんて笑いものだと、お爺ちゃんは言っていた。
だから私は剣以外も、一通り使い方は身に着けている。
さすがに本職の人には敵わないけど。
「ははっ、どうやらお前たち、剣術も教わったほうがいかもしれないぞ?」
「そ、そうかもしれません」
「え、あの……」
「ソフィア、お前なら騎士にもなれそうだな」
そう言ってグレン様は楽しそうに笑っていた。
対照的に、騎士たちは苦笑いだった。
身体全体が好物で生成され、岩や土。
動物や人間を捕食することは稀であり、危害を加えたり、不用意に近づかなければ襲ってこない。
彼らは鉱物を食べ、身体から鉱物を輩出する。
食べた岩を鉄や金など、異なる鉱物へと変換して吐き出す。
時に希少価値の高い功績を生み出すことから、討伐より共存の道を模索している魔物の一種。
「奴らは生息するだけで、周囲に鉱物を生成してくれる。まさに生きた鉱物生成所だ。可能な限り、倒さず進みたいところだが……」
完全に道を塞がれてしまっている。
ロックエレメンタルは内部にコアがあり、それを破壊せず放置しておくと、一定時間で復活する特性を持つ。
倒しても復活はするけど、その間の鉱物生成は止まってしまう。
「仕方ない。俺が相手をしている間に、奥の通路に走れ」
大丈夫なんですか?
なんて、魔王様相手に言うのは失礼だろう。
グレン様がそう言うなら問題ない。
「わかりました。お気をつけて」
「ふっ、そっちもな。奥にも別の気配がある。ロックエレメンタル以外は殲滅しても構わない。お前たちは彼女を守れ」
「はっ! 行きましょう、ソフィアさん」
「はい!」
殿下がロックエレメンタルを挑発するように近づく。
戦いが始まったのを確認して、私たちは奥へと走った。
直後、別の足音が聞こえる。
殿下はこれに気づいていたのだろう。
「ロックウルフ!」
今度は洞窟に生息する狼の魔物だ。
ロックエレメンタルとは違い、肉食で人も積極的に襲う。
目が合えば当然、襲い掛かってくる。
「お下がりを! ここは我々が!」
護衛の騎士の方々が前に出る。
ロックウルフの外皮は固く、鉄の剣でも刃が通らない。
ただ、私が打ち直した剣なら問題はないだろう。
硬いロックウルフの外皮もたやすく斬り裂く。
これなら任せても大丈夫。
そう思った矢先、別の群れがやってきた。
道は二つに分かれていて、片方はちょうど死角になっていたらしい。
接近に遅れた騎士たちの横を通り、ロックウルフ数匹が私に向かってくる。
「ソフィアさん!」
「チッ」
騎士たちは目の前のウルフと交戦中。
グレン様はロックエレメンタルの足止めを終えたところで、今から駆け出そうとしていた。
魔王様なら間に合うかもしれない。
でも、せっかく自前の剣も装備しているわけだし、私だけ何もしないのは申し訳ない。
そんなことを思いながら、腰の剣を抜いた。
「……へ?」
「ほう! ソフィア、お前は剣術も使えたのか?」
「え? あ、はい。人並みですけど一応」
私は自力でロックウルフ三匹を撃退した。
魔物と戦うなんて久しぶりで、ちょっぴり緊張したけどなんとかなった。
相手が弱い魔物でよかったとホッとする。
「誰に習った?」
「祖父です。鍛冶師なら、剣ぐらい震えなきゃダメって言われて。確かにその通りだと思ったので」
自分で作る武器を、自分が使えないなんて笑いものだと、お爺ちゃんは言っていた。
だから私は剣以外も、一通り使い方は身に着けている。
さすがに本職の人には敵わないけど。
「ははっ、どうやらお前たち、剣術も教わったほうがいかもしれないぞ?」
「そ、そうかもしれません」
「え、あの……」
「ソフィア、お前なら騎士にもなれそうだな」
そう言ってグレン様は楽しそうに笑っていた。
対照的に、騎士たちは苦笑いだった。
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