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第4話 好みを知る
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「少しでも早くに辞めたいみたいだから、お父様に伝えてくるわね?」
にっこり笑顔を作って部屋を出ていこうとすると、慌てて2人が引き止めてくる。
「ま、待ってください! どうしてそんなことを今更仰るんですか!?」
「そうです! 今までは何も仰らなかったじゃないですか!」
「私は今まで、あなた達に頼まずに一人で着替えていたの?」
尋ねると、メイド達2人は顔を見合わせてから、代表して1人が私に顔を向けて答える
「お嬢様は小さな声で言葉を発されるので聞こえない事が多いんですよ。聞き返しても、やっぱりいいです、って言っていたのはお嬢様の方です!」
「ふぅん」
アリスも悪いところはあるみたいね。
だけど、アリスの性格を彼女達だって、ある程度すればわかっただろうから、気を利かせてやるのが普通でしょう。
「じゃあ、今まであなた達は私がオドオドしているのを見てどう思っていたわけ?」
「……言いたいことがあるなら、はっきり言えばいいのに…って思ってました」
素直に答えてくるのは、まだ、私の事をなめてかかってるって事なのかしら?
今まで通りにはいかないって事をちゃんと教えてあげないとね?
「じゃあ、はっきり言わせてもらうけど、何もしないで突っ立ってるだけなら、あなた達って必要? 私が気に入らないなら辞めてくれていいのよ?」
「そんな言い方しなくても良いじゃないですか!」
「そうですよ! 今まで仕事を与えてくれなかったのはお嬢様の方で…!」
「は? あなた達、一から十まで指示されないと何も出来ないの? メイドって仕事は決められた仕事をやるだけなの? 普通はその場その場で気を利かせて動くもんじゃないの?」
「そ、それは…!」
メイド達は顔をまた見合わせあった後、まだ私に反論してくる。
「旦那様と奥様からお嬢様の嫌がる事はするなと言われていましたから、お着替えを手伝わなくても良いと思っていたんです。だから、何もしなかったというわけではありません!」
「百歩譲って着替えを手伝わなかったのは良いとしても、上手く着れてないのに教えないのはどうなの?」
「お嬢様はそれで満足されていたじゃないですか! 色合いだって一応お聞きしましたよ!」
メイド2人が声を揃えて叫んだ。
ちょっと待って?
あのドレスはアリスの趣味だったって事?
私と好みが合わないだけだったの?
アリスの好みを否定してしまったみたいで申し訳なくなってきたわ…。
まあ、それはそれとして、今は目の前の2人に集中する。
「今までの私はそうだったかもしれないけれど、今日からの私は違うから」
「どういう事でしょうか…?」
メイド達は不安げな顔で私を見てくる。
「いい? 私を今までと同じと思わないで。大体、私が何も言わなかったからって馬鹿にしてもいいわけじゃないのよ。人を馬鹿にして笑うなんて人として最低の行為だからね。今までの様に働かないって言うんなら、お父様に言って、あなた達2人は今すぐにクビにしてもらうわ。お金の無駄よ」
2人を睨みつけて言うと、メイド達はごくりと生唾をのみこんだあと、小さな声で言った。
「あの…、お着替えを、手伝わせてください」
「心からそう思ってる?」
私が聞くと、2人は何度も首を縦に振る。
「もちろんでございます!」
「クビにされたくないから、いやいや言ってるんじゃないわよね?」
「そんな事はありません! お願いいたします! お着替えを手伝わせて下さい!」
1人が頭を下げると、もう1人も慌てて私に頭を下げた。
辞めさせられたくないから言っている感がどうしても強い気がするけれど、アリスにも原因があった事だし、もう少しだけ様子を見てみようかしら。
「そう? 助かるわ」
笑顔を見せると、2人はホッとした様な顔になったから忠告しておく。
「さっきの様な態度をもう一度見せたら、その場で解雇するからね。冗談じゃないわよ? 私は本当に容赦なくお父様に頼むから」
「申し訳ございませんでした! これからは心を入れ替えますので、このお屋敷で働かせて下さい!」
「申し訳ございませんでした、お嬢様! お許し下さい!」
「謝るだけなら心が無くても出来るからね。謝罪の気持ちがちゃんと目に見える様に一生懸命働いてよね?」
私の言葉に2人は何度も頷いた。
寛大な態度を見せておいて恩を売ろうとする私も嫌な奴よね。
でも、反省のチャンスを与えずに解雇してしまうのも違う様な気がするのよね。
もちろん、態度が改まらない、もしくは陰でどうこう言うようなら容赦なく、この家からサヨナラ、それから、彼女達がメイドとして働き口が見つからないように手を回さなくちゃ。
2人は私の変わりように驚きながらも、着替えるのを手伝ってくれた。
「お嬢様、終わりました」
「ありがとう」
着替え終えてから鏡で確認してみると、パッと見た限り不自然な感じには見えないし、間違えた着方を教えてくれた様には見えない。
「あの、お嬢様…」
「何かしら?」
「短い髪もとてもお似合いです」
私の機嫌をとり始めたメイド達に呆れはしたけれど、お礼は言っておく。
「ありがとう」
礼を言ってから、改めて2人を見てから笑顔で念を押す。
「わかっていると思うけど次はないからね?」
「は…、はいっ!」
メイド2人は声を震わせて頷いた。
さて、この2人は今のところは無害として見ておく事にして、今からまず考えないといけないのは、婚約者をどう料理するかだわ。
にっこり笑顔を作って部屋を出ていこうとすると、慌てて2人が引き止めてくる。
「ま、待ってください! どうしてそんなことを今更仰るんですか!?」
「そうです! 今までは何も仰らなかったじゃないですか!」
「私は今まで、あなた達に頼まずに一人で着替えていたの?」
尋ねると、メイド達2人は顔を見合わせてから、代表して1人が私に顔を向けて答える
「お嬢様は小さな声で言葉を発されるので聞こえない事が多いんですよ。聞き返しても、やっぱりいいです、って言っていたのはお嬢様の方です!」
「ふぅん」
アリスも悪いところはあるみたいね。
だけど、アリスの性格を彼女達だって、ある程度すればわかっただろうから、気を利かせてやるのが普通でしょう。
「じゃあ、今まであなた達は私がオドオドしているのを見てどう思っていたわけ?」
「……言いたいことがあるなら、はっきり言えばいいのに…って思ってました」
素直に答えてくるのは、まだ、私の事をなめてかかってるって事なのかしら?
今まで通りにはいかないって事をちゃんと教えてあげないとね?
「じゃあ、はっきり言わせてもらうけど、何もしないで突っ立ってるだけなら、あなた達って必要? 私が気に入らないなら辞めてくれていいのよ?」
「そんな言い方しなくても良いじゃないですか!」
「そうですよ! 今まで仕事を与えてくれなかったのはお嬢様の方で…!」
「は? あなた達、一から十まで指示されないと何も出来ないの? メイドって仕事は決められた仕事をやるだけなの? 普通はその場その場で気を利かせて動くもんじゃないの?」
「そ、それは…!」
メイド達は顔をまた見合わせあった後、まだ私に反論してくる。
「旦那様と奥様からお嬢様の嫌がる事はするなと言われていましたから、お着替えを手伝わなくても良いと思っていたんです。だから、何もしなかったというわけではありません!」
「百歩譲って着替えを手伝わなかったのは良いとしても、上手く着れてないのに教えないのはどうなの?」
「お嬢様はそれで満足されていたじゃないですか! 色合いだって一応お聞きしましたよ!」
メイド2人が声を揃えて叫んだ。
ちょっと待って?
あのドレスはアリスの趣味だったって事?
私と好みが合わないだけだったの?
アリスの好みを否定してしまったみたいで申し訳なくなってきたわ…。
まあ、それはそれとして、今は目の前の2人に集中する。
「今までの私はそうだったかもしれないけれど、今日からの私は違うから」
「どういう事でしょうか…?」
メイド達は不安げな顔で私を見てくる。
「いい? 私を今までと同じと思わないで。大体、私が何も言わなかったからって馬鹿にしてもいいわけじゃないのよ。人を馬鹿にして笑うなんて人として最低の行為だからね。今までの様に働かないって言うんなら、お父様に言って、あなた達2人は今すぐにクビにしてもらうわ。お金の無駄よ」
2人を睨みつけて言うと、メイド達はごくりと生唾をのみこんだあと、小さな声で言った。
「あの…、お着替えを、手伝わせてください」
「心からそう思ってる?」
私が聞くと、2人は何度も首を縦に振る。
「もちろんでございます!」
「クビにされたくないから、いやいや言ってるんじゃないわよね?」
「そんな事はありません! お願いいたします! お着替えを手伝わせて下さい!」
1人が頭を下げると、もう1人も慌てて私に頭を下げた。
辞めさせられたくないから言っている感がどうしても強い気がするけれど、アリスにも原因があった事だし、もう少しだけ様子を見てみようかしら。
「そう? 助かるわ」
笑顔を見せると、2人はホッとした様な顔になったから忠告しておく。
「さっきの様な態度をもう一度見せたら、その場で解雇するからね。冗談じゃないわよ? 私は本当に容赦なくお父様に頼むから」
「申し訳ございませんでした! これからは心を入れ替えますので、このお屋敷で働かせて下さい!」
「申し訳ございませんでした、お嬢様! お許し下さい!」
「謝るだけなら心が無くても出来るからね。謝罪の気持ちがちゃんと目に見える様に一生懸命働いてよね?」
私の言葉に2人は何度も頷いた。
寛大な態度を見せておいて恩を売ろうとする私も嫌な奴よね。
でも、反省のチャンスを与えずに解雇してしまうのも違う様な気がするのよね。
もちろん、態度が改まらない、もしくは陰でどうこう言うようなら容赦なく、この家からサヨナラ、それから、彼女達がメイドとして働き口が見つからないように手を回さなくちゃ。
2人は私の変わりように驚きながらも、着替えるのを手伝ってくれた。
「お嬢様、終わりました」
「ありがとう」
着替え終えてから鏡で確認してみると、パッと見た限り不自然な感じには見えないし、間違えた着方を教えてくれた様には見えない。
「あの、お嬢様…」
「何かしら?」
「短い髪もとてもお似合いです」
私の機嫌をとり始めたメイド達に呆れはしたけれど、お礼は言っておく。
「ありがとう」
礼を言ってから、改めて2人を見てから笑顔で念を押す。
「わかっていると思うけど次はないからね?」
「は…、はいっ!」
メイド2人は声を震わせて頷いた。
さて、この2人は今のところは無害として見ておく事にして、今からまず考えないといけないのは、婚約者をどう料理するかだわ。
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