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第二部
第3話 しつこく話しかけられる
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「どうも、アリスの現在の婚約者のイグス・イッシュバルドです」
「これはこれは、イッシュバルド卿にお会いできるなんて光栄です。ルーベン・ホットラードと申します」
「ホットラード卿、連れの女性がいらっしゃるようですから、こちらの事はお構いなく。ありすにとってはあなたは過去の婚約者ですので、ありすには話しかけないでいただきたい」
だいぶ、哲平も言葉遣いがマシになってきた感じかしら?
休みの日はたまに王都に行って、ラス様に色々と教えてもらってるから?
今日は私と出かけてるから行ってないけれど、ラス様に礼儀作法や魔法などを教えてもらうために、学園が休みの日の哲平は王都に行っている日が多い。
私もラス様に紹介してもらって、王都に友達が二人できたし、彼女達が空いている休みの日に会いに行こうと思っている。
私が関係のない事を考えている間に、哲平は広げていたメニューに視線を移して私に問いかけてくる。
「さっさと注文して、食べ終えたら帰るぞ」
「わかったわ。で、どうする? チョコレート? フルーツ?」
「絶対にパフェにすんのか」
「そうしないと何のためにここに来たかわからないじゃない」
「とにかく食いきれるやつ頼めよ」
哲平はテーブルに肘をつき、呆れた顔で言う。
もちろんそれは頭ではわかってるんだけど、美味しいものをちょっとずつ食べたい、という気持ちもむくむくと浮かんでくるし、どうしたら良いのかわからないわ。
チョコレートだと甘すぎるかもしれないから、残りを食べてもらうことを考えてフルーツパフェにしておこうかしらね。
「じゃあ、今日はフルーツパフェにするわ」
「へいへい」
「へい、って、ラス様にバレたら怒られるんじゃない?」
「兄さんの前では言わねぇよ。今はお前だけだからいいだろ」
そう答えてから、哲平は通りかかった店員さんを呼び止めてオーダーしてくれた。
……にしても、まだ横から視線を感じる。
本当に鬱陶しいわね。
しかも、右隣の席と距離は人が一人すれ違えるかどうかの狭いものでしかないから、ホットラードの向かいに座っている、私からいえば右斜め前の女の子が、すごい形相で私を睨みつけているのが見たくもないのに視界に入る。
ホットラードが私を見てるだけでも鬱陶しいのに、なんで、女性のまで私を見てくんのよ。
あんたは私の方に視線を送ってきてると思われる、ホットラードというバカを叱りなさいよ。
目が合ったりしたら嫌だから、顔を絶対に横に向けたりしてやらない。
私の事はいいから、あんたらはあんたらで楽しんでよと思う。
……あれ?
そういえば……。
「ねえねえ」
「ん?」
テーブルに身を乗り出して、哲平の方に顔を近づけると、私の意図を察した彼も私の方に身を乗り出し、ホットラードに顔が見えない様に体を横に向けて、耳を貸してくれた。
「あいつの浮気相手、というか、アリスの後の婚約者ってあんな子だったっけ?」
「……たぶん違う」
「やっぱり?」
手で口元を隠して聞くと、哲平が首を大きく縦に振るから、自分の記憶が正しかった事がわかる。
やり返すリストを作る為に、ホットラードの事や新しいお相手の事なども調べたけれど、今、ホットラードの目の前にいる彼女とは似ても似つかないのよね…。
だから、哲平に問うてみる。
「なんで、あいつ、婚約者以外の女とお茶してんのよ」
「知るか。俺にわかるわけないだろ」
「キュレル子爵令嬢」
また、ホットラードが声を掛けてきたので無視する。
「……聞こえてるかい?」
何で私に話しかけてくんのよ!
私なんかより、目の前にいる女の子の相手してあげなさいよ。
無視を貫き通す為、身を乗り出したままの哲平に話しかける。
「この状態でパフェを食べても美味しいかしら?」
「早食いしなければいいんじゃないか?」
「早食いするのは勿体ないわね」
「おーい、キュレル子爵令嬢、聞こえてるかーい」
ホットラードが本当にしつこい。
いいかげんに無視されてる事に気付きなさいよ!
さすがの私も堪忍袋の緒が切れそうになった時、私よりも先に、連れの女の方がなぜか私にキレてきた。
「ちょっと! 尻軽女のくせにルーベン様のお声がけを無視するなんて、どういうつもり?!」
何で私が尻軽女なのよ!
「これはこれは、イッシュバルド卿にお会いできるなんて光栄です。ルーベン・ホットラードと申します」
「ホットラード卿、連れの女性がいらっしゃるようですから、こちらの事はお構いなく。ありすにとってはあなたは過去の婚約者ですので、ありすには話しかけないでいただきたい」
だいぶ、哲平も言葉遣いがマシになってきた感じかしら?
休みの日はたまに王都に行って、ラス様に色々と教えてもらってるから?
今日は私と出かけてるから行ってないけれど、ラス様に礼儀作法や魔法などを教えてもらうために、学園が休みの日の哲平は王都に行っている日が多い。
私もラス様に紹介してもらって、王都に友達が二人できたし、彼女達が空いている休みの日に会いに行こうと思っている。
私が関係のない事を考えている間に、哲平は広げていたメニューに視線を移して私に問いかけてくる。
「さっさと注文して、食べ終えたら帰るぞ」
「わかったわ。で、どうする? チョコレート? フルーツ?」
「絶対にパフェにすんのか」
「そうしないと何のためにここに来たかわからないじゃない」
「とにかく食いきれるやつ頼めよ」
哲平はテーブルに肘をつき、呆れた顔で言う。
もちろんそれは頭ではわかってるんだけど、美味しいものをちょっとずつ食べたい、という気持ちもむくむくと浮かんでくるし、どうしたら良いのかわからないわ。
チョコレートだと甘すぎるかもしれないから、残りを食べてもらうことを考えてフルーツパフェにしておこうかしらね。
「じゃあ、今日はフルーツパフェにするわ」
「へいへい」
「へい、って、ラス様にバレたら怒られるんじゃない?」
「兄さんの前では言わねぇよ。今はお前だけだからいいだろ」
そう答えてから、哲平は通りかかった店員さんを呼び止めてオーダーしてくれた。
……にしても、まだ横から視線を感じる。
本当に鬱陶しいわね。
しかも、右隣の席と距離は人が一人すれ違えるかどうかの狭いものでしかないから、ホットラードの向かいに座っている、私からいえば右斜め前の女の子が、すごい形相で私を睨みつけているのが見たくもないのに視界に入る。
ホットラードが私を見てるだけでも鬱陶しいのに、なんで、女性のまで私を見てくんのよ。
あんたは私の方に視線を送ってきてると思われる、ホットラードというバカを叱りなさいよ。
目が合ったりしたら嫌だから、顔を絶対に横に向けたりしてやらない。
私の事はいいから、あんたらはあんたらで楽しんでよと思う。
……あれ?
そういえば……。
「ねえねえ」
「ん?」
テーブルに身を乗り出して、哲平の方に顔を近づけると、私の意図を察した彼も私の方に身を乗り出し、ホットラードに顔が見えない様に体を横に向けて、耳を貸してくれた。
「あいつの浮気相手、というか、アリスの後の婚約者ってあんな子だったっけ?」
「……たぶん違う」
「やっぱり?」
手で口元を隠して聞くと、哲平が首を大きく縦に振るから、自分の記憶が正しかった事がわかる。
やり返すリストを作る為に、ホットラードの事や新しいお相手の事なども調べたけれど、今、ホットラードの目の前にいる彼女とは似ても似つかないのよね…。
だから、哲平に問うてみる。
「なんで、あいつ、婚約者以外の女とお茶してんのよ」
「知るか。俺にわかるわけないだろ」
「キュレル子爵令嬢」
また、ホットラードが声を掛けてきたので無視する。
「……聞こえてるかい?」
何で私に話しかけてくんのよ!
私なんかより、目の前にいる女の子の相手してあげなさいよ。
無視を貫き通す為、身を乗り出したままの哲平に話しかける。
「この状態でパフェを食べても美味しいかしら?」
「早食いしなければいいんじゃないか?」
「早食いするのは勿体ないわね」
「おーい、キュレル子爵令嬢、聞こえてるかーい」
ホットラードが本当にしつこい。
いいかげんに無視されてる事に気付きなさいよ!
さすがの私も堪忍袋の緒が切れそうになった時、私よりも先に、連れの女の方がなぜか私にキレてきた。
「ちょっと! 尻軽女のくせにルーベン様のお声がけを無視するなんて、どういうつもり?!」
何で私が尻軽女なのよ!
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