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14 一目惚れ
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私達がパーティーに出席する為に旅支度を始めた頃に、サルケス様は城の敷地内にある使用人の寮に入居されました。
その後、部屋を確認したサルケス様が、私の部屋まで文句を言いにこられました。
彼は私の専属医であり、クレイのお友達という事で、城内のほとんどの場所が自由に出入りできますので、私の部屋まで来る事も可能です。
もちろん、個人の部屋の中に勝手に入るのは駄目ですが。
サルケス様がいらっしゃったと聞いてやって来たクレイと共に、私の部屋で応対します。
「男ばっかりなんて聞いてなかった!」
「聞かれてませんもの」
「住む場所の希望は言われなかったしな」
「君達は鬼だろ!」
私とクレイが答えると、サルケス様は私達を指差して叫びます。
「女の子と一緒の寮が良かった!」
「野宿させるぞ」
「可愛い女の子が拾ってくれねぇかな」
指を差すという行為は王族に対してどうかと思いますが、今回は不問にしておきましょうか。
これからお世話になりますからね。
何度もされるなら注意しなければいけませんが…。
クレイとサルケス様の会話を見守りながら考えていると、サルケス様が私に笑顔で話しかけてこられます。
「あれ? もしかして僕に惚れちゃった?」
「ないですね」
「ある訳ないだろ」
クレイもツッこんでくれました。
「リサ様冷たい」
「サルケス様、私はクレイの妻です。既婚者にちょっかいをかけてはいけません!」
「わかってるって! 二人の反応が面白くてつい」
サルケス様の言葉を聞いたクレイが立ち上がったかと思うと、サルケス様の脛を思い切り蹴り飛ばしてから、また私の隣に座りました。
「面白がるな」
「クレイはまるでナイトみたいだな」
「そりゃそうだろ。リサは王女だぞ」
「クレイも王子だろ?」
「こっちの国の世話になってるんだから、それくらいはする」
二人の会話を聞いていて、気になる事があったので聞いてみます。
「ところでクレイは戦えるのですか?」
「ああ。剣術が一番得意だが、一通りはこなせる」
「すごいです! 私に教えていただけませんか!?」
「いや、お前は無理だよ。剣を持てたとしても、自分を傷つけるやつだ」
「そんな事しませんよ!」
怒って言い返すと、サルケス様が笑います。
「いやあ、二人が仲良くなってるみたいで良かったし、クレイも元気になったみたいで良かった」
「うるせえな」
「クレイ! サルケス様は元気になって良かったと言ってくださっているのですから、そこはお礼です!」
私が言うと、クレイは眉根を寄せてから、サルケス様に向かって言います。
「ありがとな」
「クレイ~!」
「近寄るな」
サルケス様がテーブルに身を乗り出して、クレイに抱きつこうとしたので、クレイはサルケス様のお腹に一発パンチを入れたのでした。
その後、私はサルケス様に、パーティーにはポピー様と行かないようにお願いすると、当たり前の様に頷いてくれました。
「交際を断った女性と行ったりなんかしないから、そこは信用して下さいよ」
「私はサルケス様の事を詳しくは知りませんから」
「バーキンとお呼び下さい、リサ様」
笑顔で言われましたので、私も笑顔を返します。
「では、バーキン様とお呼びしますね。あと、私とクレイしかいない時でしたら、様はなしで、リサと呼ぶ事を許します」
「駄目だ」
クレイが却下してきました。
「バーキンと呼ぶのはいいにしても、こいつがリサと呼ぶのはどうかと思う」
「そうだよな。リサちゃんにする」
「お前…」
「リサちゃんと呼ばれた事は子供の頃にしかありませんので新鮮ですね!」
クレイは不満そうでしたが、私の喜ぶ反応を見て大きくため息を吐いて言います。
「まあ、リサがいいんならいいけど」
「そうだぞ。呼ばれる本人がいいって言うならいいんだ!」
「お前が偉そうにするな」
クレイとバーキン様はまた仲良く喧嘩を始めてしまいました。
仲が良いのは良い事です。
気分良く二人を見ていますと、部屋の扉が叩かれたので、許可をすると、侍女のフィアナが慌てて中に入ってきて言います。
「ブランカ様がお見えになっています」
「お姉様が?」
聞き返すと、フィアナは綺麗な顔を歪ませて無言で頷きました。
「今は無理だと伝えてもらえますか?」
「かしこまりました」
シニヨンにした髪に付けている細くて赤いリボンを揺らしながらフィアナが出て行くと、バーキン様が聞いてきます。
「彼女、可愛いな。フリーだったりする?」
「フリー?」
「あ、恋人とかがいないって事」
「プライベートな事ですから、お答えできません」
バーキン様には特に教えたくありません。
現在はお父様の働きにより、私の侍女やメイド、使用人は増えましたが、フィアナはここ何年も私を支えてくれた侍女です。
贔屓する気持ちはないのですが、やはり、目をかけたくなってしまいます。
私が魔の手から守らねば!
といっても、フィアナはたしか、使用人の男性と付き合っていたはず。
だから、バーキン様の毒牙にはかからなくて済みそうです。
でも、気を引き締めておくに越した事はないですよね。
そう決意していると、扉が乱暴に開かれ、フィアナの静止を押し切って、お姉様が勝手に中に入ってこられました。
本当にしょうがない人ですね。
「お姉様、今は見ての通り」
「あなた、自分の部屋に夫以外の男性を招き入れるなんてはしたない! 信じられないわ!」
「家族とはいえ許可もされてないのに勝手に部屋に入ってくるのもどうかと思うがな」
お姉様の言葉に、クレイが足を組んだまま言い返してくれました。
バーキン様は扉側のお姉様には背を向けている形になっているので、困惑した表情になってから、後ろを振り返られました。
「あなた、リサの本当の姿をご存知!?」
バーキン様に向かってそこまで言ったところで、お姉様の動きが止まりました。
「お姉様?」
不思議に思っていると、お姉様の白い肌がどんどんピンク色に染まっていきます。
「こ、この方はどちら様!?」
バーキン様を指差して言うお姉様の言葉を聞いて、私とクレイは思わず顔を見合わせたのでした。
その後、部屋を確認したサルケス様が、私の部屋まで文句を言いにこられました。
彼は私の専属医であり、クレイのお友達という事で、城内のほとんどの場所が自由に出入りできますので、私の部屋まで来る事も可能です。
もちろん、個人の部屋の中に勝手に入るのは駄目ですが。
サルケス様がいらっしゃったと聞いてやって来たクレイと共に、私の部屋で応対します。
「男ばっかりなんて聞いてなかった!」
「聞かれてませんもの」
「住む場所の希望は言われなかったしな」
「君達は鬼だろ!」
私とクレイが答えると、サルケス様は私達を指差して叫びます。
「女の子と一緒の寮が良かった!」
「野宿させるぞ」
「可愛い女の子が拾ってくれねぇかな」
指を差すという行為は王族に対してどうかと思いますが、今回は不問にしておきましょうか。
これからお世話になりますからね。
何度もされるなら注意しなければいけませんが…。
クレイとサルケス様の会話を見守りながら考えていると、サルケス様が私に笑顔で話しかけてこられます。
「あれ? もしかして僕に惚れちゃった?」
「ないですね」
「ある訳ないだろ」
クレイもツッこんでくれました。
「リサ様冷たい」
「サルケス様、私はクレイの妻です。既婚者にちょっかいをかけてはいけません!」
「わかってるって! 二人の反応が面白くてつい」
サルケス様の言葉を聞いたクレイが立ち上がったかと思うと、サルケス様の脛を思い切り蹴り飛ばしてから、また私の隣に座りました。
「面白がるな」
「クレイはまるでナイトみたいだな」
「そりゃそうだろ。リサは王女だぞ」
「クレイも王子だろ?」
「こっちの国の世話になってるんだから、それくらいはする」
二人の会話を聞いていて、気になる事があったので聞いてみます。
「ところでクレイは戦えるのですか?」
「ああ。剣術が一番得意だが、一通りはこなせる」
「すごいです! 私に教えていただけませんか!?」
「いや、お前は無理だよ。剣を持てたとしても、自分を傷つけるやつだ」
「そんな事しませんよ!」
怒って言い返すと、サルケス様が笑います。
「いやあ、二人が仲良くなってるみたいで良かったし、クレイも元気になったみたいで良かった」
「うるせえな」
「クレイ! サルケス様は元気になって良かったと言ってくださっているのですから、そこはお礼です!」
私が言うと、クレイは眉根を寄せてから、サルケス様に向かって言います。
「ありがとな」
「クレイ~!」
「近寄るな」
サルケス様がテーブルに身を乗り出して、クレイに抱きつこうとしたので、クレイはサルケス様のお腹に一発パンチを入れたのでした。
その後、私はサルケス様に、パーティーにはポピー様と行かないようにお願いすると、当たり前の様に頷いてくれました。
「交際を断った女性と行ったりなんかしないから、そこは信用して下さいよ」
「私はサルケス様の事を詳しくは知りませんから」
「バーキンとお呼び下さい、リサ様」
笑顔で言われましたので、私も笑顔を返します。
「では、バーキン様とお呼びしますね。あと、私とクレイしかいない時でしたら、様はなしで、リサと呼ぶ事を許します」
「駄目だ」
クレイが却下してきました。
「バーキンと呼ぶのはいいにしても、こいつがリサと呼ぶのはどうかと思う」
「そうだよな。リサちゃんにする」
「お前…」
「リサちゃんと呼ばれた事は子供の頃にしかありませんので新鮮ですね!」
クレイは不満そうでしたが、私の喜ぶ反応を見て大きくため息を吐いて言います。
「まあ、リサがいいんならいいけど」
「そうだぞ。呼ばれる本人がいいって言うならいいんだ!」
「お前が偉そうにするな」
クレイとバーキン様はまた仲良く喧嘩を始めてしまいました。
仲が良いのは良い事です。
気分良く二人を見ていますと、部屋の扉が叩かれたので、許可をすると、侍女のフィアナが慌てて中に入ってきて言います。
「ブランカ様がお見えになっています」
「お姉様が?」
聞き返すと、フィアナは綺麗な顔を歪ませて無言で頷きました。
「今は無理だと伝えてもらえますか?」
「かしこまりました」
シニヨンにした髪に付けている細くて赤いリボンを揺らしながらフィアナが出て行くと、バーキン様が聞いてきます。
「彼女、可愛いな。フリーだったりする?」
「フリー?」
「あ、恋人とかがいないって事」
「プライベートな事ですから、お答えできません」
バーキン様には特に教えたくありません。
現在はお父様の働きにより、私の侍女やメイド、使用人は増えましたが、フィアナはここ何年も私を支えてくれた侍女です。
贔屓する気持ちはないのですが、やはり、目をかけたくなってしまいます。
私が魔の手から守らねば!
といっても、フィアナはたしか、使用人の男性と付き合っていたはず。
だから、バーキン様の毒牙にはかからなくて済みそうです。
でも、気を引き締めておくに越した事はないですよね。
そう決意していると、扉が乱暴に開かれ、フィアナの静止を押し切って、お姉様が勝手に中に入ってこられました。
本当にしょうがない人ですね。
「お姉様、今は見ての通り」
「あなた、自分の部屋に夫以外の男性を招き入れるなんてはしたない! 信じられないわ!」
「家族とはいえ許可もされてないのに勝手に部屋に入ってくるのもどうかと思うがな」
お姉様の言葉に、クレイが足を組んだまま言い返してくれました。
バーキン様は扉側のお姉様には背を向けている形になっているので、困惑した表情になってから、後ろを振り返られました。
「あなた、リサの本当の姿をご存知!?」
バーキン様に向かってそこまで言ったところで、お姉様の動きが止まりました。
「お姉様?」
不思議に思っていると、お姉様の白い肌がどんどんピンク色に染まっていきます。
「こ、この方はどちら様!?」
バーキン様を指差して言うお姉様の言葉を聞いて、私とクレイは思わず顔を見合わせたのでした。
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