あなた方には後悔してもらいます!

風見ゆうみ

文字の大きさ
41 / 45

40  これからの動き 

しおりを挟む
 リード様はどうやら仕事人間の様で、ほとんど執務室から出る事なく、夜もクレイと一緒に執務室で遅くまで仕事をしている様でした。

 リード様にはクレイと話し合って、彼には国花の話をする事にしました。
 そして、その話を聞いたリード様はお世継ぎの問題もあるという事で、その日から、ほとんど無理矢理といった形で、一緒に眠る様にと言われてしまい、私は自分の部屋ではなく、寝室で眠る様になったのですが、クレイはいつも夜遅くにしか来ないので、大体、私は眠ってしまっていて、朝に、私が先に起きて、クレイの寝ている姿を確認する、という毎日が続いていました。

 リード様は早く寝室に向かうようにと言って下さっているようですが、クレイはクレイで側近が仕事しているのに、自分が何もしない訳にはいかないという事で、仕事もあるし、一緒にやる、といった形で、一緒に仕事をしているようです。
 リード様は帰らせても、こっそり戻ってきて、仕事をしてしまう人らしいので、彼がもう戻ってこないだろうと思われる時間まで頑張っているそうです。

 二人共、体を壊さなければいいのですが…。
 そっちの方が心配です。
  
 今日の朝も、体内時計が働き、自然に目を覚ますと、クレイが横でぐっすり眠っていました。

 リード様は夜ではなくても、いつでも出来る事です。
 と言ってらっしゃいましたが、やはり、初めては暗い方が良いです!

 これは私の希望なだけですが…。

 クレイは寝ていても、すごくカッコ良いです。
 惚れた弱みといいますか、私の好みのお顔なんでしょうか…。

「視線が痛い」

 ぱちりとクレイの目が開いて、そう言ったかと思うと、私の腕を引っ張って引き寄せると、抱きしめてきました。
 
「スプーンポジションというやつですか」
「ん?」
「今、クレイがやってる事です!」

 今のクレイはベッドの上で横になっていて、同じく横になっている私を後ろから抱きしめるみたいになっています。

 まさか、自分がこんな事をする事になるとは…!

「どうした? 嫌か?」
「嫌ではありません。起こしてしまったみたいで、ごめんなさい」

 心臓が飛び出そうです。
 でも、ぎゅうっとされていると、何だかホッとします。

 なので、言葉を続けます。

「また眠ってしまいそうです」
「ちょっとくらい、ゆっくりしてもいいんじゃないか?」
「でも、そろそろ、フィアナが起こしに」

 と言ったところで、コンコンと扉が叩かれる音がして、私とクレイは顔を見合わせて笑うと、クレイが腕をはなしてくれたので、起き上がります。

「起きてますよ!」
 
 声を掛けると、ゆっくりと扉が開いて、フィアナが中に入ってくると、驚いた顔をして立ち止まりました。
 
 いつもなら、フィアナが入ってきてから、目を覚ましていたクレイが、すでに起きていたからでしょうか。

「も、もしかして、お邪魔でしたでしょうか…」
「何を言ってるんですか! いつもの時間に起こしに来てくれたのでしょう?」
「で、ですけどっ!」
「気にしなくていいって。俺ももう起きないといけないと思ってたから」

 クレイもそう言って起き上がり、着替えをする為に部屋に戻っていったので、私もフィアナと一緒に着替えをする為に、自分の部屋に戻ります。

「あの、リサ様。本当に申し訳ございません!」
「フィアナ、本当に気にしなくて良いですから」

 私にしてみれば、あの少しの時間だけでも、クレイと密着できて本当に幸せでした。

「これからは、もう少し時間を遅くした方がよろしいでしょうか?」
「気にしなくていいですってば!」

 顔を洗ったりした後、フィアナは私の着替えを手伝ってくれながら、違う話をしてきます。

「先程、リード様とお会いしたのですが、その際に例の件が上手くいきそうだと言ってらっしゃいましたよ」
「例の件?」
「はい。オッサム様とブランカ様の結婚についてです」
「え?! そうなんですか?!」
「その事で、相談したい事があると仰られていました。朝食後に、リサ様の執務室に伺いたいと仰っておられましたが、どう致しましょう?」
「も、もちろんです! 何なら、私がクレイの執務室に行っても良いですし!」

 その後、私とクレイが朝食を済ませている間に、フィアナはリード様に話をしてくれた様で、クレイとリード様の仕事のキリが良くなった所で、私の執務室に来てくれるという話になりました。

 そして、昼前に、疲れた顔のクレイとリード様がやって来られました。

「あの、仕事の量が多いようでしたら、私の方にまわしていただいても良いのですが…?」
「いや、いい。オッサムの分の仕事をやっているだけで、オッサムがブランカと結婚すれば、その仕事をまわすからな」
「結婚してしまえば、色々な事を任せられますからね…。でも、その間まで、私もお手伝いしますよ?」
「いいから」

 クレイが執務室の応接のソファーに座ったので、私はその向かい側のソファーに座ろうと、椅子から立ち上がってから、クレイの後ろに立っているリード様に言います。

「リード様もお掛けになって下さい」
「リサ殿下が立っておられるのに、私が座る訳にはいきません」
「座ります、座りますので!」

 慌てて席に着くと、リード様も「失礼します」と一声かけて、クレイの隣に座りました。

「あの、オッサムとお姉様の結婚の件ですが…」
「はい。アール様が頑張って下さいまして、式は少し先になりますが、婚姻届を出す事に関しましては、来月に決定したそうです」

 とうとう、オッサムとお姉様が結婚されるのですね!
 という事は…。

「今から、リサ殿下がいつ国花の話をするかのお話を致しましょう」

 リード様は笑顔で、そう言われたのでした。
しおりを挟む
感想 72

あなたにおすすめの小説

ついで姫の本気

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
国の間で二組の婚約が結ばれた。 一方は王太子と王女の婚約。 もう一方は王太子の親友の高位貴族と王女と仲の良い下位貴族の娘のもので……。 綺麗な話を書いていた反動でできたお話なので救いなし。 ハッピーな終わり方ではありません(多分)。 ※4/7 完結しました。 ざまぁのみの暗い話の予定でしたが、読者様に励まされ闇精神が復活。 救いのあるラストになっております。 短いです。全三話くらいの予定です。 ↑3/31 見通しが甘くてすみません。ちょっとだけのびます。 4/6 9話目 わかりにくいと思われる部分に少し文を加えました。

悪女と呼ばれた王妃

アズやっこ
恋愛
私はこの国の王妃だった。悪女と呼ばれ処刑される。 処刑台へ向かうと先に処刑された私の幼馴染み、私の護衛騎士、私の従者達、胴体と頭が離れた状態で捨て置かれている。 まるで屑物のように足で蹴られぞんざいな扱いをされている。 私一人処刑すれば済む話なのに。 それでも仕方がないわね。私は心がない悪女、今までの行いの結果よね。 目の前には私の夫、この国の国王陛下が座っている。 私はただ、 貴方を愛して、貴方を護りたかっただけだったの。 貴方のこの国を、貴方の地位を、貴方の政務を…、 ただ護りたかっただけ…。 だから私は泣かない。悪女らしく最後は笑ってこの世を去るわ。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ ゆるい設定です。  ❈ 処刑エンドなのでバットエンドです。

【完結】優雅に踊ってくださいまし

きつね
恋愛
とある国のとある夜会で起きた事件。 この国の王子ジルベルトは、大切な夜会で長年の婚約者クリスティーナに婚約の破棄を叫んだ。傍らに愛らしい少女シエナを置いて…。 完璧令嬢として多くの子息と令嬢に慕われてきたクリスティーナ。周囲はクリスティーナが泣き崩れるのでは無いかと心配した。 が、そんな心配はどこ吹く風。クリスティーナは淑女の仮面を脱ぎ捨て、全力の反撃をする事にした。 -ーさぁ、わたくしを楽しませて下さいな。 #よくある婚約破棄のよくある話。ただし御令嬢はめっちゃ喋ります。言いたい放題です。1話目はほぼ説明回。 #鬱展開が無いため、過激さはありません。 #ひたすら主人公(と周囲)が楽しみながら仕返しするお話です。きっつーいのをお求めの方には合わないかも知れません。

カナリア姫の婚約破棄

里見知美
恋愛
「レニー・フローレスとの婚約をここに破棄する!」 登場するや否や、拡声魔道具を使用して第三王子のフランシス・コロネルが婚約破棄の意思を声明した。 レニー・フローレスは『カナリア姫』との二つ名を持つ音楽家で有名なフローレス侯爵家の長女で、彼女自身も歌にバイオリン、ヴィオラ、ピアノにハープとさまざまな楽器を使いこなす歌姫だ。少々ふくよかではあるが、カナリア色の巻毛にけぶるような長いまつ毛、瑞々しい唇が独身男性を虜にした。鳩胸にたわわな二つの山も視線を集め、清楚な中にも女性らしさを身につけ背筋を伸ばして佇むその姿は、まさに王子妃として相応しいと誰もが思っていたのだが。 どうやら婚約者である第三王子は違ったらしい。 この婚約破棄から、国は存亡の危機に陥っていくのだが。 ※他サイトでも投稿しています。

婚約者様への逆襲です。

有栖川灯里
恋愛
王太子との婚約を、一方的な断罪と共に破棄された令嬢・アンネリーゼ=フォン=アイゼナッハ。 理由は“聖女を妬んだ悪役”という、ありふれた台本。 だが彼女は涙ひとつ見せずに微笑み、ただ静かに言い残した。 ――「さようなら、婚約者様。二度と戻りませんわ」 すべてを捨て、王宮を去った“悪役令嬢”が辿り着いたのは、沈黙と再生の修道院。 そこで出会ったのは、聖女の奇跡に疑問を抱く神官、情報を操る傭兵、そしてかつて見逃された“真実”。 これは、少女が嘘を暴き、誇りを取り戻し、自らの手で未来を選び取る物語。 断罪は終わりではなく、始まりだった。 “信仰”に支配された王国を、静かに揺るがす――悪役令嬢の逆襲。

私を愛すると言った婚約者は、私の全てを奪えると思い込んでいる

迷い人
恋愛
 お爺様は何時も私に言っていた。 「女侯爵としての人生は大変なものだ。 だから愛する人と人生を共にしなさい」  そう語っていた祖父が亡くなって半年が経過した頃……。  祖父が定めた婚約者だと言う男がやってきた。  シラキス公爵家の三男カール。  外交官としての実績も積み、背も高く、細身の男性。  シラキス公爵家を守護する神により、社交性の加護を与えられている。  そんなカールとの婚約は、渡りに船……と言う者は多いだろう。  でも、私に愛を語る彼は私を知らない。  でも、彼を拒絶する私は彼を知っている。  だからその婚約を受け入れるつもりはなかった。  なのに気が付けば、婚約を??  婚約者なのだからと屋敷に入り込み。  婚約者なのだからと、恩人(隣国の姫)を連れ込む。  そして……私を脅した。  私の全てを奪えると思い込んでいるなんて甘いのよ!!

報われなかった姫君に、弔いの白い薔薇の花束を

さくたろう
恋愛
 その国の王妃を決める舞踏会に招かれたロザリー・ベルトレードは、自分が当時の王子、そうして現王アルフォンスの婚約者であり、不遇の死を遂げた姫オフィーリアであったという前世を思い出す。  少しずつ蘇るオフィーリアの記憶に翻弄されながらも、17年前から今世まで続く因縁に、ロザリーは絡め取られていく。一方でアルフォンスもロザリーの存在から目が離せなくなり、やがて二人は再び惹かれ合うようになるが――。 20話です。小説家になろう様でも公開中です。

【完結】イアンとオリエの恋   ずっと貴方が好きでした。 

たろ
恋愛
この話は 【そんなに側妃を愛しているなら邪魔者のわたしは消えることにします】の主人公二人のその後です。 イアンとオリエの恋の話の続きです。 【今夜さよならをします】の番外編で書いたものを削除して編集してさらに最後、数話新しい話を書き足しました。 二人のじれったい恋。諦めるのかやり直すのか。 悩みながらもまた二人は………

処理中です...