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8 私と第3王子
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そして、あっという間にその日の晩になり、人数は少ないけれど、揃う面子は豪華な歓迎パーティーが開かれた。
いつも王族だけで食べている部屋らしいけれど、テーブルは30人くらいで普通に会食できそうなくらいに大きいし、それに合わせてというべきなのか、部屋も広い。
アーク殿下達とは長く付き合っているけれど、ここに入ったのは初めてなので、ついつい中を観察してしまい、結果的に思った事は、この部屋の広さだけで平民の一家が暮らせるな、と思ってしまった。
私は食事を辞退したので、壁際に沿って立っていると、ミア様の婚約者であるレオが近付いてきた。
レオは言葉遣いは悪いけれど、基本は優しいし、私にとってみれば、やんちゃな弟といった感じで、顔もアーク殿下を少し幼くした感じで、無駄に顔が良い。
髪型はアーク殿下とは違い、短髪に近いけれど。
「ルルア、一緒に食べないのか?」
「食べませんよ。王族と公爵令嬢しかいないところに、私がいること自体おかしいのに」
「立ってる方がおかしいと思うぞ? 兄上だって、ルルアが立ちっぱなしだとわかったら気にすると思うんだが」
「その時はレオがなんとかして下さいよ」
「なんで俺なんだよ」
第3王子であるレオの事を、レオ殿下、とは呼ばずにレオと呼んでいるのは小さい頃から知っていて、物心つかない時にレオの事を年下という事で呼び捨てにしていたから、そのままの名残であったりする。
あとは、本人が私からレオ殿下と呼ばれるのを嫌がっているというのもある。
彼の中ではたぶん、私は姉のポジションなんだと思う。
…まさか、義理の姉という意味じゃないわよね?
「ルルア、すごい顔してるぞ」
「自分で勝手に想像していたら、ゾッとしちゃっただけです」
「何を想像したんだよ」
「あのぉ」
レオと立ち話をしていた時だった。
先に席に着いていたヴァージニア様が、立ち上がって、レオに向かって話しかけた。
「はじめまして、レオ殿下。わたくし、ヴァージニア・コッポラと申します」
「これは失礼しました。レオ・ミドラッドです。この度は兄の為に遠方からお越しいただき、ありがとうございます」
営業スマイルのレオが軽く頭を下げると、ヴァージニア様は早速、私のネガティブキャンペーンを始める。
「レオ殿下はルルアと仲がよろしいんですのね? とても羨ましいわ。私もルルアと仲良くなりたいんですけど、意地悪されてばっかりで…。今日も入れてくれたお茶は温かい方が美味しいものなのに冷たかったりしたんですよ?」
「え、ルルアは侍女ですよね? 侍女にお茶を入れさせてるんですか? メイドがいるのに?」
レオがキョトンとした顔で聞き返した。
「あ、いえ。メイドがいなかったので入れてもらったんです。そうしたら、気に食わなかったのか嫌がらせをされてしまって…」
「別に侍女だからってお茶を入れなくていいわけでもないと思いますよ」
ここはヴァージニア様の肩を持っておこうと思い、レオに話しかける。
世の中にはメイドの仕事も兼用している侍女もいるはずだから。
「そうなのか? よくわからないな」
「その家によって違う気もしますね」
「と、とにかく、ルルアは私のことが嫌いなんです!」
ヴァージニア様は話を戻そうとしてくる。
私が彼女を好きか嫌いかと問われたら、感情的には無、なんだけど…。
「ルルアは好き嫌いで嫌がらせしたりしないですよ。それに嫌ってたら、話しかけもしないから、別に嫌われてるわけではないと思いますよ。何より、自分から仕事をサボるようなタイプじゃないです。サボるくらいなら、最初からやらないですよ」
「…レオ、それって褒めてくれてるんですか?」
「一応、褒めてる」
レオに真顔で答えられたので、素直に褒められたと受け取ろうと思った時だった。
扉が開いて、国王陛下とアーク殿下が入ってきたので、話は打ち切りとなった。
いつも王族だけで食べている部屋らしいけれど、テーブルは30人くらいで普通に会食できそうなくらいに大きいし、それに合わせてというべきなのか、部屋も広い。
アーク殿下達とは長く付き合っているけれど、ここに入ったのは初めてなので、ついつい中を観察してしまい、結果的に思った事は、この部屋の広さだけで平民の一家が暮らせるな、と思ってしまった。
私は食事を辞退したので、壁際に沿って立っていると、ミア様の婚約者であるレオが近付いてきた。
レオは言葉遣いは悪いけれど、基本は優しいし、私にとってみれば、やんちゃな弟といった感じで、顔もアーク殿下を少し幼くした感じで、無駄に顔が良い。
髪型はアーク殿下とは違い、短髪に近いけれど。
「ルルア、一緒に食べないのか?」
「食べませんよ。王族と公爵令嬢しかいないところに、私がいること自体おかしいのに」
「立ってる方がおかしいと思うぞ? 兄上だって、ルルアが立ちっぱなしだとわかったら気にすると思うんだが」
「その時はレオがなんとかして下さいよ」
「なんで俺なんだよ」
第3王子であるレオの事を、レオ殿下、とは呼ばずにレオと呼んでいるのは小さい頃から知っていて、物心つかない時にレオの事を年下という事で呼び捨てにしていたから、そのままの名残であったりする。
あとは、本人が私からレオ殿下と呼ばれるのを嫌がっているというのもある。
彼の中ではたぶん、私は姉のポジションなんだと思う。
…まさか、義理の姉という意味じゃないわよね?
「ルルア、すごい顔してるぞ」
「自分で勝手に想像していたら、ゾッとしちゃっただけです」
「何を想像したんだよ」
「あのぉ」
レオと立ち話をしていた時だった。
先に席に着いていたヴァージニア様が、立ち上がって、レオに向かって話しかけた。
「はじめまして、レオ殿下。わたくし、ヴァージニア・コッポラと申します」
「これは失礼しました。レオ・ミドラッドです。この度は兄の為に遠方からお越しいただき、ありがとうございます」
営業スマイルのレオが軽く頭を下げると、ヴァージニア様は早速、私のネガティブキャンペーンを始める。
「レオ殿下はルルアと仲がよろしいんですのね? とても羨ましいわ。私もルルアと仲良くなりたいんですけど、意地悪されてばっかりで…。今日も入れてくれたお茶は温かい方が美味しいものなのに冷たかったりしたんですよ?」
「え、ルルアは侍女ですよね? 侍女にお茶を入れさせてるんですか? メイドがいるのに?」
レオがキョトンとした顔で聞き返した。
「あ、いえ。メイドがいなかったので入れてもらったんです。そうしたら、気に食わなかったのか嫌がらせをされてしまって…」
「別に侍女だからってお茶を入れなくていいわけでもないと思いますよ」
ここはヴァージニア様の肩を持っておこうと思い、レオに話しかける。
世の中にはメイドの仕事も兼用している侍女もいるはずだから。
「そうなのか? よくわからないな」
「その家によって違う気もしますね」
「と、とにかく、ルルアは私のことが嫌いなんです!」
ヴァージニア様は話を戻そうとしてくる。
私が彼女を好きか嫌いかと問われたら、感情的には無、なんだけど…。
「ルルアは好き嫌いで嫌がらせしたりしないですよ。それに嫌ってたら、話しかけもしないから、別に嫌われてるわけではないと思いますよ。何より、自分から仕事をサボるようなタイプじゃないです。サボるくらいなら、最初からやらないですよ」
「…レオ、それって褒めてくれてるんですか?」
「一応、褒めてる」
レオに真顔で答えられたので、素直に褒められたと受け取ろうと思った時だった。
扉が開いて、国王陛下とアーク殿下が入ってきたので、話は打ち切りとなった。
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