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11 学園とは?
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騎士にバカードの首を掴んでもらったまま話しかける。
「バカード、私も知らなかったから、あなたが知らなかったことについても文句は言えないけれど、社交場に出ているんだったら、知っておかないといけないことだと思うわよ」
「自分も知らないくせに偉そうに言うな!」
「しょうがないじゃないの。他国のことまでは教えてもらっていないんだから。まあ、こんなことを偉そうに言うことでもないし、もったいぶらずに話すけれど、紅い色の瞳って、私達の住んでいる国では見たことがないでしょう?」
「そ、そうだけど……っ」
「学園で習ったこととかはないの?」
さすがに紅い瞳は珍しいのだから、世界史の授業などで習っていてもおかしくないと思って聞いてみた。
「何か、聞いたことがあるような気がするけど覚えてない」
「何をしに学園に通っているのよ」
「交友関係を広げるためだ!」
「それも目的の一つでいいのかもしれないけれど、生きてくための基礎知識を学ぶためでもあるでしょう? 紅い瞳を知っておくことは貴族としては必要なことよ」
「だから、結論を早く言えよ! 苦しいんだ!」
もうちょっと苦しんでいる姿を見ていても良い気もするけれど、さすがにそれは性格が悪すぎるので、泣きべそをかいているバカードに教えてあげる。
「紅い瞳はリシャード国の王家特有のものなんですって」
「……は? 何を馬鹿なことを、ぐえっ」
私の言葉に何か言い返そうとしたバカードだったけれど、騎士が首を掴む力を強めたらしく、カエルが潰れたような声を上げた。
話せなくなった彼の代わりに謝る。
「セナ殿下、申し訳ございませんでした」
「別にアーティアが謝ることじゃない」
「いえ。こんな馬鹿の相手をしてしまった私が悪いんです。とにかく、ご案内いたします。あの、それから、バカードは屋敷の外に捨ててくださって結構です」
「アーティア! あとで覚えてろよ!」
「十秒後までは覚えておくわ」
騎士に引きずられていくバカードを冷めた目で見たあと、メイドに先導してもらい応接室に向かった。
バカードに時間を取られたせいで、すでにお父様は部屋に到着しており、部屋の中でウロウロと歩き回っていた。
「お父様、セナ殿下がお見えです」
「ど、どうして、お前がセナ殿下を連れてくるのだ!? お前はズラン侯爵令息と会っていたはずだろう!?」
「よく分からない理由で婚約破棄されたところ、セナ殿下が拾ってくださったのです」
そういえば、どうしてカフェにいたのか聞けていなかったけれど、メイドのスワラ達は今日のことを知っているから、その内容がキレーナ公爵に伝わって、そこから……といった感じなのでしょうね。
「よく分からないと言いたいのはこっちだ! 婚約破棄なんてされて、どうなるかわかっているのだろうな!? お前をここから追い出してやる!」
「ありがとうございます! 嬉しいです!」
「……は?」
ぽかんとしているお父様に向かって、両手を胸の前で合わせて、改めてお礼を言う。
「ありがとうございます、お父様! ちょうどセナ殿下からキレーナ公爵家に移るようにお話をいただきまして、婚約破棄のことと、そのことでご相談しようと思っていたところだったのです!」
「な、な、何を言っておるのだ!?」
「そのままの意味ですが? とにかく、許可が下りましたし、荷造りをしてまいります! よろしければ、セナ殿下、そちらのソファーにお座りになってお待ちいただけませんか? すぐに準備をしていまいります! 荷物なんてほとんどございませんので!」
「あ、ああ」
セナ殿下が呆れているようにも見えたけれど、こんな性格だから今までやって来れたのだ。
スキップしたくなる気持ちを抑えて、メイドにセナ殿下のお茶をいれてもらうように頼もうとした時だった。
「何の騒ぎなの!? バカードが泣きわめいてるんだけど!?」
「何なの、お姉様。もしかして、もうフラれて帰ってきちゃったんですか!?」
アホーラ様とアフォーレが応接室までやって来たのだった。
「バカード、私も知らなかったから、あなたが知らなかったことについても文句は言えないけれど、社交場に出ているんだったら、知っておかないといけないことだと思うわよ」
「自分も知らないくせに偉そうに言うな!」
「しょうがないじゃないの。他国のことまでは教えてもらっていないんだから。まあ、こんなことを偉そうに言うことでもないし、もったいぶらずに話すけれど、紅い色の瞳って、私達の住んでいる国では見たことがないでしょう?」
「そ、そうだけど……っ」
「学園で習ったこととかはないの?」
さすがに紅い瞳は珍しいのだから、世界史の授業などで習っていてもおかしくないと思って聞いてみた。
「何か、聞いたことがあるような気がするけど覚えてない」
「何をしに学園に通っているのよ」
「交友関係を広げるためだ!」
「それも目的の一つでいいのかもしれないけれど、生きてくための基礎知識を学ぶためでもあるでしょう? 紅い瞳を知っておくことは貴族としては必要なことよ」
「だから、結論を早く言えよ! 苦しいんだ!」
もうちょっと苦しんでいる姿を見ていても良い気もするけれど、さすがにそれは性格が悪すぎるので、泣きべそをかいているバカードに教えてあげる。
「紅い瞳はリシャード国の王家特有のものなんですって」
「……は? 何を馬鹿なことを、ぐえっ」
私の言葉に何か言い返そうとしたバカードだったけれど、騎士が首を掴む力を強めたらしく、カエルが潰れたような声を上げた。
話せなくなった彼の代わりに謝る。
「セナ殿下、申し訳ございませんでした」
「別にアーティアが謝ることじゃない」
「いえ。こんな馬鹿の相手をしてしまった私が悪いんです。とにかく、ご案内いたします。あの、それから、バカードは屋敷の外に捨ててくださって結構です」
「アーティア! あとで覚えてろよ!」
「十秒後までは覚えておくわ」
騎士に引きずられていくバカードを冷めた目で見たあと、メイドに先導してもらい応接室に向かった。
バカードに時間を取られたせいで、すでにお父様は部屋に到着しており、部屋の中でウロウロと歩き回っていた。
「お父様、セナ殿下がお見えです」
「ど、どうして、お前がセナ殿下を連れてくるのだ!? お前はズラン侯爵令息と会っていたはずだろう!?」
「よく分からない理由で婚約破棄されたところ、セナ殿下が拾ってくださったのです」
そういえば、どうしてカフェにいたのか聞けていなかったけれど、メイドのスワラ達は今日のことを知っているから、その内容がキレーナ公爵に伝わって、そこから……といった感じなのでしょうね。
「よく分からないと言いたいのはこっちだ! 婚約破棄なんてされて、どうなるかわかっているのだろうな!? お前をここから追い出してやる!」
「ありがとうございます! 嬉しいです!」
「……は?」
ぽかんとしているお父様に向かって、両手を胸の前で合わせて、改めてお礼を言う。
「ありがとうございます、お父様! ちょうどセナ殿下からキレーナ公爵家に移るようにお話をいただきまして、婚約破棄のことと、そのことでご相談しようと思っていたところだったのです!」
「な、な、何を言っておるのだ!?」
「そのままの意味ですが? とにかく、許可が下りましたし、荷造りをしてまいります! よろしければ、セナ殿下、そちらのソファーにお座りになってお待ちいただけませんか? すぐに準備をしていまいります! 荷物なんてほとんどございませんので!」
「あ、ああ」
セナ殿下が呆れているようにも見えたけれど、こんな性格だから今までやって来れたのだ。
スキップしたくなる気持ちを抑えて、メイドにセナ殿下のお茶をいれてもらうように頼もうとした時だった。
「何の騒ぎなの!? バカードが泣きわめいてるんだけど!?」
「何なの、お姉様。もしかして、もうフラれて帰ってきちゃったんですか!?」
アホーラ様とアフォーレが応接室までやって来たのだった。
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