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3、どうも俺です

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はぁ…なんで俺ここにいるんだろ。
青い空、流れる雲……眼下には賑やかに沸き立つ城下町。


城壁の一番高い所。見張りが立つ場所の更に上の屋根の上に寝転び、今日何度目になるか分からないため息をつく。
見張り台には俺を追ってきた侍従のトマスが、さっきから何か叫んでいるけれど、どうせいつも同じことだと思い、再び視線を空に向ける。


俺はの後、生まれ変わったらしい。
それも異世界転生ってやつ。まぁ、異世界って言ってもよくある『剣や魔法の世界』ってやつなんだけど、魔法たって余程強い力を持っていない限り、ちょっと便利っていう程度だし、間違いで死んだって言ってもチートなわけでもなかった。ただ生まれが王族ってだけ。


その王族だって、俺にしてみれば厄介ごとの方が多くて面倒臭い。
俺としては早々に身分を捨てて、同じく異世界転生した彼女を探し出したかった。
けどあの『自称調整者』が、身分は捨てない方が良いと忠告してきたこともあって、ずるずると来ちまった。
彼女が庶民であればその時に身分を捨てれば…そう思っていた。


結果的には身分を捨てなくて良かった…と言えるのか。
彼女は…前世で愛した彼女は公爵令嬢……兄の…第一王子の婚約者として生まれ変わっていた。
衝撃だった…あの自称調整者を罵倒してやりたかった。
だってそうだろう!普通こういう場合は、今世でも結ばれるようにするのがセオリーだろ!と……。
でも既に生を受け、この世界の身分制度の中、第二王子の俺が…兄よりも優秀だと言われる俺が何をいったところで、『兄の婚約者』という事実は覆ることなく、俺は腐っていった。
いっそ国外に留学に出てしまえとばかりに、隣国の魔法学校に行った。
けれど、そこで思い直した……せめて彼女の生きているあの国を守れるよう強くなろう。
魔法と剣を学ぶ内にそう思えるようになり、俺はがむしゃらに頑張った。
微々たる魔力を最大限に増やす為、前世の知恵を(ラノベにそんなのが書いてあった)信じ自分を追い詰め、ただひたすらに学び訓練をした。


周囲には、何をそんなに生き急ぐと言われたけれど、前世…あの平和な世界でさえあっさりと命が刈り取られたのだ。こんな危険な世界で、悠長にしていたら後悔することになる。
例え彼女が前世を覚えていなくても、俺を思い出さなくても…俺は彼女を…彼女が生きる国を守るんだ!
そう自分に、彼女の魂に誓った。


あのアホな自称調整者には絶対誓わないけどな。
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