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7、おい!どうしてこうなった
しおりを挟む彼女と第一王子が並んで話をしているところなんか見たくない……とばかりに国を出て、隣国の魔法学校に留学し、魔力量を増やし剣の腕を磨いた。
途中までは自暴自棄だったけれど、色々と考え直し意識を変えて、ヤケにならず腐らず…しっかり鍛錬して彼女と彼女の住むあの国を守るべく、努力して学校一の成績を取り意気揚々と帰国した。
「は?兄上?今…なんと?」
隣国から帰国してすぐ、兄上や両陛下に挨拶に向かったところ、兄上の隣に彼女が…香奈が…いやミレーユがいない事に気が付いた。
そして、今日は城へは来ないのか…と聞いた。
「あの女は僕には相応しくないのでな、婚約破棄を申し付けた」
は?え?こいつ何言ってくれちゃってんの?
言われたことが理解出来ず、何度も聞き返してしまった。けれど、何度確認しても答えは同じだった。
「 「婚約破棄」「僕に相応しくない」あとはなんだっけ?」
言われた事を繰り返し、なぜそんな仕打ちをしたのか、問いただそうとしたら第一王子が俺を怒鳴りつけてきた。
「あのような女、次期国王の僕には相応しくない。僕には愛する運命の女性ができたんだ」
そう言って、前世で読んだことのある、どこぞのラノベの使い古された展開を話し出した。
⚫〇⚫〇
第一王子のしょうもない話しを聞き、王である父の元に、もう一度話しを聞く為急ぐ……王妃は…義母には何を言っても聞いてはくれまいと思い、父にのみ面会を求めた。
「いったいどういうことでしょうか!」
気まずげに目を逸らす父に、父にも納得がいったものではない事が伺える…けど。
「私達の人選ミスだった」
人選ミス?いったいなんの事だ?
"彼女"が婚約すると知って自暴自棄になったあと、今世での彼女の今までの事を調べた。何か禍根や失態があって、後に婚約が流れるなどとあってはこの婚約自体が彼女を危険に晒す…そう思い、彼女の身辺友人関係等々調べ、何も問題がない状態で隣国へ旅立った。彼女の家…公爵家の家族の問題はどうにも出来なかったが……。
「彼女は…ミレーユは優秀すぎたのだ」
王の口から出たのは予想の出来ない言葉だった。なぜそれがいけない?力がある訳では無い…そして前世の彼女を知る限りでは、その知識をひけらかし、身分を笠にして下の者を虐げる事もしていなかったようだし、恐らく婚約後もしなかっただろう。なのに?
「すまん。私の配慮不足であった。我が子…第一王子がバカ過ぎたのだ」
第一王子は王家主催の舞踏会の夜、いきなり婚約破棄を叫んだそうだ。父王と王妃が退席したのを見計らって…。
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