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それからすぐに帝都にある家は私が住むことに決まった。

ただ、私だけではなく、私を監視する人間も一緒に住むことになっている。

荷物なんて持っていない私は、ほぼ着の身着のまま帝都にある家に移った。

「入用なものがあれば用意いたしますので、どうぞおっしゃってください。」

そう丁寧に言葉をかけてくれたのは、マコト様だった。

マコト様はいつも通り、ゆったりとした服を着ている。

そう言えば、マコト様がスカートを履いているところを見たことがない。

いつもパンツスタイルなのだ。

この国の女性にしてはとても珍しいことだと思う。

理由を尋ねてみたい気もするが、マコト様に警戒されている私には理由をまだ教えてはくれないだろう。

「特にないわ。あったとしても、お金を稼いで自分で購入いたします。」

「左様ですか。では、なにかありましたらお呼びつけください。」

そう言うと、マコト様は私の部屋からしずしずと出て行った。

部屋にあるのは着替え数着に寝巻きだけだ。

これらは皇太子宮にいるときに、手配してもらったのである。

化粧品も最低限のものをその際、手配してもらったのでひとまずは十分である。

「仕事・・・探さなくっちゃ。」

ずっとこの家に引きこもっているわけには行かないし、エドワード様に養ってもらうわけにもいかない。

だって、私はエドワード様を暗殺するためにここにいるのだから。

だから、エドワード様に頼ってばかりではいけない。

エドワード様はいつか亡くなる方なのだから。

そうやって自分に言い聞かせる。

エドワード様はレイチェルの旦那様で、私の暗殺対象だと一日に何度も言い聞かせる。

そうしないと、レイチェルを見つめるエドワード様の暖かい眼差しが心を支配し、何かが狂っていきそうでとても怖かった。

エドワード様を好きなのはレイチェルであり、私ではないのだ。

 

引っ越してきたとしても荷物はほとんどないし、早々に仕事を探す為に帝都の街に繰り出すことにした。

一応監視されている身として、出かける際にマコト様に声をかけたがマコト様は何かに熱中しているのか生返事だった。

ただ、生返事でも外に出ることに了承してくれたので、そのまま一人で外に繰り出す。

監視対象なのに、こんなに自由でいいのだろうかとも思ったが、きっとマコト様がなんらかの魔道具で私を見張っているのだろう。だって、マコト様は魔道具作成に関しては超一流なのだから。

暗殺者として育てられてきた私は、まわりに溶け込みやすいようにどんな仕事でもそれなりにおこなうことができる。

でも、一番多いのはお屋敷の使用人だった。

暗殺対象になる人物は得てしてお偉いさんが多かった為、屋敷にもぐりこむ為に使用人を装ったものだ。

ただ、使用人の場合は多くが住み込みになってしまうので今回は却下である。

 

 

 

 

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