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ディアナside②
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フローラのお邸に着くとメイドがすぐに彼女のところへと案内してくれた。
広大な土地に本邸と二棟の別邸、温室と研究室が立ち並び洗練された庭も場所によって趣を変えていてとても凝っているの。
そしてここはフローラ専用の中庭。
リビングからつながるレンガのテラスには、マホガニーで作られたテーブルと椅子とソファが備えられている。景観を一体化させるためか茶系とベージュ系で統一されていて、とても落ち着いた空間。
専用とは言っても家族の憩いの場となっているようで今では共有の場となっているのだとか。
わたしもこの中庭はとても気に入っているの。
「お嬢様、ディアナ様をお連れ致しました」
メイドの声にすでに席についていたフローラが読んでいた本を閉じて振り返った。
「ディアナ、いらっしゃい。待ってたのよ」
フローラが待ちかねたようにわたしをテーブルへと招いてくれた。
「こんにちわ。お邪魔するわね」
お気に入りのゆったりとしたソファに腰を下ろすとメイドたちが紅茶とお菓子を用意してくれる。
緑薫るこの中庭は、庭師が丹精込めて整えたというよりも着の身着のまま植物が植えられている感じ。
ともすればごちゃごちゃとした雑多な雰囲気を与えかねない景観なのだけど。
万人が好むような色とりどりの花ではなく、木々の緑に溶け込むような目立たない素朴な植物が花を咲かせ自然に近いような造りになっているせいかしら? 何故だかとても落ち着くのよね。
「今日はごめんなさい。急に呼び出したりして」
「いいえ。気にしないで、大丈夫よ。それで、どうしたの?」
フローラは研究で忙しいので約束事は数週間前に決めることが多いから、昨日の今日とかいう風に呼ばれることはまずないのよね。だからよほどのことなのでしょうね。彼女のためならいつでも駆けつけるけどね。
メイドたちがいなくなるのを待って、フローラは重ねられた本の中に挟んであった手紙を取り出した。
あら、薔薇がデザインされた見慣れた封書。
「あのね。先日、これが届いたのだけど」
「ローズ様からね」
わたしの顔を窺うように見てフローラはこくりと頷いた。
「ディアナはどうだったの? 同じものが届いてる?」
「ええ、頂いたわよ」
「よかった」
わたしの言葉に安心したのか、緊張気味だったフローラは胸のあたりで手を組み合わせて安堵の息を漏らした。
今回の招待状はお茶会。
「ディアナも参加するのでしょう?」
「もちろんよ。王妃陛下からの招待状ですもの。何をさておいても行くわよ、フローラは?」
まさか……不参加ってことはないわよね? 調整がしやすいように二週間後にしたのだけれど。
「もちろん、参加させていただくわ。で、でね。ディアナ、一緒に行ってくれないかしら? お願い」
「……」
予想外のセリフに思わずフローラを凝視して、目を瞬かせてしまったわ。
フローラは手を合わせて真剣に頼み込んでいる。
不安げに揺れる表情が、緊張のためか少し青白い顔が、一途にわたしを見つめる瞳が……庇護欲をそそってつい抱きしめたくなってしまう。かわいすぎるわ。
「よいわよ。迎えに行くわ、我が家の馬車で一緒に行きましょう」
「ありがとう。よろしくお願いします」
フローラは色よい返事が聞けたのが嬉しいようで頬を緩ませながら頭をさげた。
「でも、どうしたの? 珍しいわね。一緒に行こうだなんて」
パートナーが必要な場でない限り、普通はそれぞれの家で馬車を出すから誘い合わせるなんてほとんどない。
「初めてのお茶会で、どなたが出席されるかわからないから不安なの。ディアナがそばについててくれたらとても心強いと思って。わがままなお願いかもしれないけれど」
「そうだったのね。わたしで役に立てるのであれば、いくらでも協力するわ」
「ありがとう。よかった。思い切ってお願いして。ディアナ、ありがとう」
「どういたしまして」
すごく感謝してくれているのは有難いんだけど。
お茶会のメンバーはローズ様とアンジェラとわたし、それからレイニーなのよね。
他には誰も招待されていないのよ。
だって、本当の目的はレイニーともう一度引き合わせるためで、お茶会はその口実なんだもの。
広大な土地に本邸と二棟の別邸、温室と研究室が立ち並び洗練された庭も場所によって趣を変えていてとても凝っているの。
そしてここはフローラ専用の中庭。
リビングからつながるレンガのテラスには、マホガニーで作られたテーブルと椅子とソファが備えられている。景観を一体化させるためか茶系とベージュ系で統一されていて、とても落ち着いた空間。
専用とは言っても家族の憩いの場となっているようで今では共有の場となっているのだとか。
わたしもこの中庭はとても気に入っているの。
「お嬢様、ディアナ様をお連れ致しました」
メイドの声にすでに席についていたフローラが読んでいた本を閉じて振り返った。
「ディアナ、いらっしゃい。待ってたのよ」
フローラが待ちかねたようにわたしをテーブルへと招いてくれた。
「こんにちわ。お邪魔するわね」
お気に入りのゆったりとしたソファに腰を下ろすとメイドたちが紅茶とお菓子を用意してくれる。
緑薫るこの中庭は、庭師が丹精込めて整えたというよりも着の身着のまま植物が植えられている感じ。
ともすればごちゃごちゃとした雑多な雰囲気を与えかねない景観なのだけど。
万人が好むような色とりどりの花ではなく、木々の緑に溶け込むような目立たない素朴な植物が花を咲かせ自然に近いような造りになっているせいかしら? 何故だかとても落ち着くのよね。
「今日はごめんなさい。急に呼び出したりして」
「いいえ。気にしないで、大丈夫よ。それで、どうしたの?」
フローラは研究で忙しいので約束事は数週間前に決めることが多いから、昨日の今日とかいう風に呼ばれることはまずないのよね。だからよほどのことなのでしょうね。彼女のためならいつでも駆けつけるけどね。
メイドたちがいなくなるのを待って、フローラは重ねられた本の中に挟んであった手紙を取り出した。
あら、薔薇がデザインされた見慣れた封書。
「あのね。先日、これが届いたのだけど」
「ローズ様からね」
わたしの顔を窺うように見てフローラはこくりと頷いた。
「ディアナはどうだったの? 同じものが届いてる?」
「ええ、頂いたわよ」
「よかった」
わたしの言葉に安心したのか、緊張気味だったフローラは胸のあたりで手を組み合わせて安堵の息を漏らした。
今回の招待状はお茶会。
「ディアナも参加するのでしょう?」
「もちろんよ。王妃陛下からの招待状ですもの。何をさておいても行くわよ、フローラは?」
まさか……不参加ってことはないわよね? 調整がしやすいように二週間後にしたのだけれど。
「もちろん、参加させていただくわ。で、でね。ディアナ、一緒に行ってくれないかしら? お願い」
「……」
予想外のセリフに思わずフローラを凝視して、目を瞬かせてしまったわ。
フローラは手を合わせて真剣に頼み込んでいる。
不安げに揺れる表情が、緊張のためか少し青白い顔が、一途にわたしを見つめる瞳が……庇護欲をそそってつい抱きしめたくなってしまう。かわいすぎるわ。
「よいわよ。迎えに行くわ、我が家の馬車で一緒に行きましょう」
「ありがとう。よろしくお願いします」
フローラは色よい返事が聞けたのが嬉しいようで頬を緩ませながら頭をさげた。
「でも、どうしたの? 珍しいわね。一緒に行こうだなんて」
パートナーが必要な場でない限り、普通はそれぞれの家で馬車を出すから誘い合わせるなんてほとんどない。
「初めてのお茶会で、どなたが出席されるかわからないから不安なの。ディアナがそばについててくれたらとても心強いと思って。わがままなお願いかもしれないけれど」
「そうだったのね。わたしで役に立てるのであれば、いくらでも協力するわ」
「ありがとう。よかった。思い切ってお願いして。ディアナ、ありがとう」
「どういたしまして」
すごく感謝してくれているのは有難いんだけど。
お茶会のメンバーはローズ様とアンジェラとわたし、それからレイニーなのよね。
他には誰も招待されていないのよ。
だって、本当の目的はレイニーともう一度引き合わせるためで、お茶会はその口実なんだもの。
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