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九話 強襲
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私達はコンクリートの階段を上がり校舎の奥に位置する倉庫へ向かってゆっくりと歩き出す。
「学園の生徒じゃない俺が入って大丈夫か? 誰かに見つかったらやばいよな。それにしても暗いし。でそうじゃない? 学校の七不思議でトイレの〇〇さんが、夜中の学校で校舎を徘徊してるとか聞いたことあるけど」
ジャックは怖い言葉をなげかけてくる。思わず寒気ボロが腕に出てきた。
やめて! そんなこと言わないで。
「大丈夫。幽霊なんているわけないし」
胸に手を当てて、自分に言い聞かせるように進んでいく。カバンをゴソゴソ探り、『透明粉』があるか確認する。ちなみに透明粉とは、振りかければ、30分だけ透明になれる調合薬。犯人を待ち伏せするのに便利だと思って持ってきた。
「メアリ……」
え?
ジャックが指さす方を見ると、倉庫の手前の教室から、か細い女の子の声が聞こえた。
こんな時間に私たち以外に誰かいるの?
「メアリ……私よ」
目を擦り、ランプを近ずけると、教室のドアの下に蹲る髪の長い女の子が見えた。
「ウギャー!」
「キャー!」
すぐさま後ろを振り返り、ジャックを置いて元きた階段へとダッシュする。
「うわああああー」
後ろを振り向くとジャックが凄い形相で叫びながら私を抜かそうとする。
「ヤバい、追いかけてくる。トイレの〇〇だあー!」
「いやあああー」
私も必死でジャックに抜かされる訳にはいかない。持ってたカバンが手から落ち、それに引っかかってコケるジャック。
私たちの後ろからはパタパタとスリッパの音がして、さっきの女が髪を振り乱しながら追っかけてくるのが外から差し込む月明かりで、シルエットが映し出される。
「助けてくれーーー」
「私ですー! マーガレットです!」
え? マーガレット? マーガレットってッ言った? 私は足を止めると、恐る恐る声のする方へと警戒しながら戻る。すると、バスケットを持つマーガレットが、怒った形相で私を睨みつけてた。
なんで……。
「嘘でしょ。まさか私たち以外に人なんていないと思ったから。もしかしてあなた一人で犯人見つけるつもりだったの? しかもカゴの中にサンドイッチも入ってるし。どのタイミングで食べるのよ……」
これ多分マーガレットの晩ご飯だよね。
「ふうふう、ぜいぜい。なんなんだよっ。メアリの知り合い?」
「初めましてアップル調合学園初等科、マーガレットと申します」
乱れた髪をクシでとかしながら、マーガレットは自己紹介する。なんだかモジモジしてるし。マーガレットは人見知りなとこがあるのだろうか。
「マーガレット来てくれたの。嬉しい! 今日犯人が現れるか分からないけど、危ないと思ったら逃げて」
私は透明粉を三人で掛け合い、原料が盗まれる倉庫の端の方に座り待機することにした。
落ち着いてみると、どんな人が現れるか分からない。大人だったら私たちに勝ち目はない。
カチリと鳴る壁時計が夜の九時を指していた。
「心臓飛び出そうなぐらい怖いな。こんなとこに盗みに入るやつなんてほんとにいるのか? それにしてもここ粉っぽいよな」
「ここにはいる時は、普段は布で鼻と口を覆って入るの。そうしないと肺に悪影響があるって先生が仰ってたわ。これをはめて」
そう言いながら私は布の端切れをジャックに渡す。マーガレットはもうしていた。準備いい。
「勢いで来たけど、大丈夫なのか? もしもの時は俺が一目散に逃げるからな」
そう言っても最後は守ってくれる。そういう男の子だってことは私は分かってる。
大きくため息を吐くと、椅子に腰掛け脚を組む。その隣でしゃがむジャックは天井に向けて腕を伸ばすと欠伸をする。
「ふわーっ。もうさ……今日は泥棒来ないよ。帰ろうか?」
ジャックはマーガレットにタマゴサンドを貰いながら、パクつき始める。
「少しマヨネーズが足らないな」
「何文句ばっか言ってんの! 10分も経ってないし。もう少しだけ待ちましょ」
ガシャンと窓を割る音と共に、一匹の黒い魔物が、倉庫に飛び込んできた。
ズボンを履いているが、上の服は着ていない。そいつはポケットからゴソゴソと麻袋を取り出すと、慣れた手つきで素材の粉を次々と袋の中に入れていく。
なんで。こんなのどうしようもないじゃない。どうして魔物が調合学園に。
ヤバい。逃げないと。
人間じゃない。私たちはお互い顔を見合わせて絶句するしかなかった。
ジャックなんかはポカーンと口を開けて白目をむいている。
私の合図でジャックの服を掴み、ドアへ向かってゆっくり歩き始める。
「は!? お前らどこから入った?」
どうやら透明粉の効力が切れたようだ。魔物が、私をターゲットにして掴みかかってきた。
「メアリっ!」
ジャックはそばにあった粉を混ぜるための棒を掴んで魔物を叩くが、魔物が硬すぎて棒が折れ、飛んでいく。
「グオオオッ」
「ダメっ!」
横にいたマーガレットが私を突き飛ばし魔物の前へと飛び出した。
「マーガレットー!」
どうして、私なんかを庇うのよ。
「イタッ!」
マーガレットの腕は魔物の爪がくい込み、血が流れる。
さらに魔物は大きな口を開けて、頭を後ろに引き、鋭い歯で食べようとしている。
床に転がった私は、ポケットの銃を掴み、魔物に照準を合わせるが、手が震えて打てない。
怖い……。こんなの打てない。
「早く打て、メアリ!」
ジャックは掃除道具の入ったロッカーからデッキブラシを手にすると魔物の頭目掛けて一撃を放つ。
だが虚しくも、先端のデッキ部分が折れて空を飛ぶ。魔物の手が伸び、ジャックの首を掴む。
「うわああああー」
ダメっ。打てない。両手でトリガーをひこうにも、手が震えて照準が合わない。
「メアリ。撃ってください!」
「ダメなの、手が」
誰か助けて。誰かいないの?
魔物はジャックを壁へ投げつけ、1メートルはある陶器の壺を摘むとジャック目掛けて振り下ろそうとする。
お願いだから動いてー!
震えが止まり、私はトリガーを弾いた。
校舎中に響いた爆発音と共に黄色い光を放ち、弾丸は羽の生えた黒い魔物に突き刺ささった。その勢いで魔物は窓へ激突した。
耳が痛ったあ。
ガラス片が魔物の頭に刺さり、おでこを両手で抑えて、しゃがみこんでいる。
もしかしたらいけるかもしれない。そんな期待を裏切るかのように。
直ぐに頭を上げて。
「ぐっ、ぐおおおおおおっ! お前ら分かってるんだろうなああああー!」
血走った冷酷な青い目で私たちを睨みつけた。
魔物は背中の鞘から、刃渡り50cm以上はあるダンベラを抜くと正中線で構えた。窓から差し込む月明かりに照らされてノコギリ型の刃がギラリと光る。
「どうするつもりなの……」
マーガレットは顔をひきつらせ、床に座り込む。ジャックは、私の方を見て顔をクシャクシャにして今にも泣きそうだ。
私のせいで取り返しのつかない状況になってしまった。
――どうしよう。もう身体に力が入らない。脚がガクガクして動かない。あの剣で私を刺すんだわ。私ここで殺される……。
「チャチャッと倒すから、逃げろ」
ジャックは壁に立てかけてあった箒を掴んで、意気込んではいるが、脚が恐怖でプルプル震えている。しかも右手で自分の脚の太ももをつねっていた。
こんなのに立ち向かえる訳ないじゃないの!
「ダメだよ……」
何も聞いてないフリをするジャックは私をお姫様抱っこすると、倉庫のドアを開け廊下にゆっくりと置いた。
「マーガレット頼みあるんだけど。ここはオレが何とかするからあとはメアリのこと頼んでもいいか?」
いつになく真剣な眼差しをしたジャックは魔物のいる倉庫に一人で戻っていった。
「ダメだよ…… ジャックも早く逃げないと……」
私は声を出そうとするが、声が全く出ない……。マーガレットは私をおんぶして降りて行く。一階の教室の廊下を渡り、下駄箱を抜け、校門までたどり着いたところで、再び爆発音がした。
マーガレットは校庭の周りの木に身を隠しながら逃げている。
「マーガレット! 戻って! ジャックが……」
「メアリも分かっているでしょ。私たちを逃がしてくれたんです」
そして、それから数分後に、絶叫した魔物が窓から落下し、地面に叩きつけられた。
「何? 何が起こったの?」
「分かりません。見に行きましょう」
「落ちたのってジャックじゃないよね? 魔物だよね?」
ダメだ。今度はマーガレットが恐怖で足がすくんで動けなくなってる。私の方は少し落ち着いてきた。震えてる場合じゃない。ジャックは大丈夫なの?
「見てくる」
私は脚に力を入れて無我夢中で二階の倉庫へ走った。しかし扉を開けると、そこには酷い有様のジャックが佇んでいた……。
「いやあああああああーー」
「学園の生徒じゃない俺が入って大丈夫か? 誰かに見つかったらやばいよな。それにしても暗いし。でそうじゃない? 学校の七不思議でトイレの〇〇さんが、夜中の学校で校舎を徘徊してるとか聞いたことあるけど」
ジャックは怖い言葉をなげかけてくる。思わず寒気ボロが腕に出てきた。
やめて! そんなこと言わないで。
「大丈夫。幽霊なんているわけないし」
胸に手を当てて、自分に言い聞かせるように進んでいく。カバンをゴソゴソ探り、『透明粉』があるか確認する。ちなみに透明粉とは、振りかければ、30分だけ透明になれる調合薬。犯人を待ち伏せするのに便利だと思って持ってきた。
「メアリ……」
え?
ジャックが指さす方を見ると、倉庫の手前の教室から、か細い女の子の声が聞こえた。
こんな時間に私たち以外に誰かいるの?
「メアリ……私よ」
目を擦り、ランプを近ずけると、教室のドアの下に蹲る髪の長い女の子が見えた。
「ウギャー!」
「キャー!」
すぐさま後ろを振り返り、ジャックを置いて元きた階段へとダッシュする。
「うわああああー」
後ろを振り向くとジャックが凄い形相で叫びながら私を抜かそうとする。
「ヤバい、追いかけてくる。トイレの〇〇だあー!」
「いやあああー」
私も必死でジャックに抜かされる訳にはいかない。持ってたカバンが手から落ち、それに引っかかってコケるジャック。
私たちの後ろからはパタパタとスリッパの音がして、さっきの女が髪を振り乱しながら追っかけてくるのが外から差し込む月明かりで、シルエットが映し出される。
「助けてくれーーー」
「私ですー! マーガレットです!」
え? マーガレット? マーガレットってッ言った? 私は足を止めると、恐る恐る声のする方へと警戒しながら戻る。すると、バスケットを持つマーガレットが、怒った形相で私を睨みつけてた。
なんで……。
「嘘でしょ。まさか私たち以外に人なんていないと思ったから。もしかしてあなた一人で犯人見つけるつもりだったの? しかもカゴの中にサンドイッチも入ってるし。どのタイミングで食べるのよ……」
これ多分マーガレットの晩ご飯だよね。
「ふうふう、ぜいぜい。なんなんだよっ。メアリの知り合い?」
「初めましてアップル調合学園初等科、マーガレットと申します」
乱れた髪をクシでとかしながら、マーガレットは自己紹介する。なんだかモジモジしてるし。マーガレットは人見知りなとこがあるのだろうか。
「マーガレット来てくれたの。嬉しい! 今日犯人が現れるか分からないけど、危ないと思ったら逃げて」
私は透明粉を三人で掛け合い、原料が盗まれる倉庫の端の方に座り待機することにした。
落ち着いてみると、どんな人が現れるか分からない。大人だったら私たちに勝ち目はない。
カチリと鳴る壁時計が夜の九時を指していた。
「心臓飛び出そうなぐらい怖いな。こんなとこに盗みに入るやつなんてほんとにいるのか? それにしてもここ粉っぽいよな」
「ここにはいる時は、普段は布で鼻と口を覆って入るの。そうしないと肺に悪影響があるって先生が仰ってたわ。これをはめて」
そう言いながら私は布の端切れをジャックに渡す。マーガレットはもうしていた。準備いい。
「勢いで来たけど、大丈夫なのか? もしもの時は俺が一目散に逃げるからな」
そう言っても最後は守ってくれる。そういう男の子だってことは私は分かってる。
大きくため息を吐くと、椅子に腰掛け脚を組む。その隣でしゃがむジャックは天井に向けて腕を伸ばすと欠伸をする。
「ふわーっ。もうさ……今日は泥棒来ないよ。帰ろうか?」
ジャックはマーガレットにタマゴサンドを貰いながら、パクつき始める。
「少しマヨネーズが足らないな」
「何文句ばっか言ってんの! 10分も経ってないし。もう少しだけ待ちましょ」
ガシャンと窓を割る音と共に、一匹の黒い魔物が、倉庫に飛び込んできた。
ズボンを履いているが、上の服は着ていない。そいつはポケットからゴソゴソと麻袋を取り出すと、慣れた手つきで素材の粉を次々と袋の中に入れていく。
なんで。こんなのどうしようもないじゃない。どうして魔物が調合学園に。
ヤバい。逃げないと。
人間じゃない。私たちはお互い顔を見合わせて絶句するしかなかった。
ジャックなんかはポカーンと口を開けて白目をむいている。
私の合図でジャックの服を掴み、ドアへ向かってゆっくり歩き始める。
「は!? お前らどこから入った?」
どうやら透明粉の効力が切れたようだ。魔物が、私をターゲットにして掴みかかってきた。
「メアリっ!」
ジャックはそばにあった粉を混ぜるための棒を掴んで魔物を叩くが、魔物が硬すぎて棒が折れ、飛んでいく。
「グオオオッ」
「ダメっ!」
横にいたマーガレットが私を突き飛ばし魔物の前へと飛び出した。
「マーガレットー!」
どうして、私なんかを庇うのよ。
「イタッ!」
マーガレットの腕は魔物の爪がくい込み、血が流れる。
さらに魔物は大きな口を開けて、頭を後ろに引き、鋭い歯で食べようとしている。
床に転がった私は、ポケットの銃を掴み、魔物に照準を合わせるが、手が震えて打てない。
怖い……。こんなの打てない。
「早く打て、メアリ!」
ジャックは掃除道具の入ったロッカーからデッキブラシを手にすると魔物の頭目掛けて一撃を放つ。
だが虚しくも、先端のデッキ部分が折れて空を飛ぶ。魔物の手が伸び、ジャックの首を掴む。
「うわああああー」
ダメっ。打てない。両手でトリガーをひこうにも、手が震えて照準が合わない。
「メアリ。撃ってください!」
「ダメなの、手が」
誰か助けて。誰かいないの?
魔物はジャックを壁へ投げつけ、1メートルはある陶器の壺を摘むとジャック目掛けて振り下ろそうとする。
お願いだから動いてー!
震えが止まり、私はトリガーを弾いた。
校舎中に響いた爆発音と共に黄色い光を放ち、弾丸は羽の生えた黒い魔物に突き刺ささった。その勢いで魔物は窓へ激突した。
耳が痛ったあ。
ガラス片が魔物の頭に刺さり、おでこを両手で抑えて、しゃがみこんでいる。
もしかしたらいけるかもしれない。そんな期待を裏切るかのように。
直ぐに頭を上げて。
「ぐっ、ぐおおおおおおっ! お前ら分かってるんだろうなああああー!」
血走った冷酷な青い目で私たちを睨みつけた。
魔物は背中の鞘から、刃渡り50cm以上はあるダンベラを抜くと正中線で構えた。窓から差し込む月明かりに照らされてノコギリ型の刃がギラリと光る。
「どうするつもりなの……」
マーガレットは顔をひきつらせ、床に座り込む。ジャックは、私の方を見て顔をクシャクシャにして今にも泣きそうだ。
私のせいで取り返しのつかない状況になってしまった。
――どうしよう。もう身体に力が入らない。脚がガクガクして動かない。あの剣で私を刺すんだわ。私ここで殺される……。
「チャチャッと倒すから、逃げろ」
ジャックは壁に立てかけてあった箒を掴んで、意気込んではいるが、脚が恐怖でプルプル震えている。しかも右手で自分の脚の太ももをつねっていた。
こんなのに立ち向かえる訳ないじゃないの!
「ダメだよ……」
何も聞いてないフリをするジャックは私をお姫様抱っこすると、倉庫のドアを開け廊下にゆっくりと置いた。
「マーガレット頼みあるんだけど。ここはオレが何とかするからあとはメアリのこと頼んでもいいか?」
いつになく真剣な眼差しをしたジャックは魔物のいる倉庫に一人で戻っていった。
「ダメだよ…… ジャックも早く逃げないと……」
私は声を出そうとするが、声が全く出ない……。マーガレットは私をおんぶして降りて行く。一階の教室の廊下を渡り、下駄箱を抜け、校門までたどり着いたところで、再び爆発音がした。
マーガレットは校庭の周りの木に身を隠しながら逃げている。
「マーガレット! 戻って! ジャックが……」
「メアリも分かっているでしょ。私たちを逃がしてくれたんです」
そして、それから数分後に、絶叫した魔物が窓から落下し、地面に叩きつけられた。
「何? 何が起こったの?」
「分かりません。見に行きましょう」
「落ちたのってジャックじゃないよね? 魔物だよね?」
ダメだ。今度はマーガレットが恐怖で足がすくんで動けなくなってる。私の方は少し落ち着いてきた。震えてる場合じゃない。ジャックは大丈夫なの?
「見てくる」
私は脚に力を入れて無我夢中で二階の倉庫へ走った。しかし扉を開けると、そこには酷い有様のジャックが佇んでいた……。
「いやあああああああーー」
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