19 / 23
最低な勇者に何も出来ない
しおりを挟む
「腕試しに街の南のシモン草原で狩りでもするか?」
ユウキの提案でスライムを狩ることにしたE級モンスター、スライムは所謂、雑魚モンスターでランキングでは最下位だ。白くて弾力のある体が特徴で攻撃方法は体当ぐらいしかしてこない。
ユウキが短剣でスライムを切り、私はぼーっと見学している。
彼はダッシュすると目で追いつけないぐらいの速さで剣を振り、あっという間に10匹ほどのスライムを倒していく。
「どうだ?」
「凄いです!」
すると、彼は満更でも無い様子で剣を握る拳が光る。
「しゃーない。見せてやるよ。スラッシュ!」
小脇に抱えた短剣を横に振ると、空気が切られ小さな刃の塊のような物が飛ぶ。
「えっ……」
それは5m離れたスライムの胴体を真っ二つにした。
「こんな凄い人だったの?」
「いんや、このくらいのこと戦士の卵でも出来るよ。ちなみにスラッシュは物質系に効くから、他のモンスターだと、人間もそうだけどここまでの威力はでないんだ。メアリに打ってみようか」
「やめてよっ」
「冗談だよ。それにしてもここにはもっと強い魔物は居ないのかよ! ハリソンの相手になれる魔物はっ!」
空を見上げて大声をあげるハリソンを見ていると、頼もしく思えてくる。
そうよ。もっと強い凶悪なモンスター出なさいよ。私も同じように復唱する。ポケットに王妃の彼のレオンから貰ったお守りを握って。
ずごおおーん。
地面が割れるかと思うぐらい大きな音がして、砂埃から現れたのは、体長3メートルぐらい一つ目で、体色の赤い筋骨隆々のサイクロプスであった。
な、なんで……。このサイクロプスは……A級モンスターじゃないの。これ倒せるのは騎士団の中でも隊長クラスだと聞いたことがある。とんでもないモンスターが現れた。
「ぐおおおおおおおおおおー」
サイクロプスの咆哮が辺りの山々に鳴り響く。そして私たちの方をちらっと見ると、ターゲットを絞ったかのように棍棒を振り回しながらこっちに走ってきた。
私は嫌な記憶が蘇り、我を忘れて叫ぶしか無かった。
「A級モンスターがなんでここに。こんなの魔王城の近辺にしか居ないようなやつだぞ」
私は腰が抜け、前にいるハリソンは私の方を振り向くと涙目で脚をガクガクさせるが、脚を叩くと私の手を引っ張りあげる。
「捕まれ!」
ハリソンの手を掴むとお姫様抱っこして抱えあげてもらい赤い魔物から逃げる。少し走れば城下町の門が見えてきて、門番の騎士も大きな音に気づき、私たちを追いかけるサイクロプスを見るとその顔はみるみる青白くなり、槍を構え始めた。
その隙に私達は城下町へと入る。早く救援を呼ばないとあの門番ではもたない。
「うわあああー」
後ろを振り返ると、さっきの門番がサイクロプスに持ち上げられてバクっと食べられてしまった。
いやぁぁぁーあああああー。その瞬間を見て私は壊れそうになる。
あれは三年前、魔王軍がこのアップル王国に攻めこんできた時のこと。
以前、城下町にある私の家に地震のような揺れが起こった。親がここにいなさい!というのも聞かず私は外に出て様子を興味本位で見に行った。
そこには燃えるように真っ赤に染まる皮膚をもつ大男が、手にした巨大棍棒で家を破壊している姿があった。
一つ目のその魔物は巨大な目で私を睨むと、棍棒を振り下ろした。
目をつむると、ガシーンと音がして、お父さんが鉄の盾を構えて私を守ってくれていた。
凶悪な魔物は何度も何度も盾めがけて武器をふりおろす。父親は若い頃は騎士だったけど、戦には行かずに兵士のご飯を作ってたらしい。
「メアリ早く! 早く逃げなさい。この街からお母さんと早く!」
「お父さんはっ!」
「私もあとから行く! 早くしなさい」
「嫌だ。お父さんも一緒に行かないなら、私も残る」
人生で初めて父に頬を叩かれた。
「もう、もちそうもない。頼むから早くいきなさい」
私は荷物をまとめたお母さんと手を繋いで逃げるようにしてこの街を離れた。それから三ヶ月が経ち、魔物が城下町から離れたと噂で聞いてからこの街に戻るともうお父さんの姿はなかった。生きているなら私たちの元に現れるはずなのに。
まさに追いかけられているのはあの時のサイクロプスだと本能的に察知した。
城下町に警報が鳴り響く。魔物が近づくと灯台から騎士が双眼鏡で確認後警報を鳴らし国民に警戒を呼びかける。
次々と門から騎士が出てきて、サイクロプスに剣、弓、槍で攻撃を始める。
私はポケットに手を入れてあの勇者がサイクロプスにやられて酷い目に合えばいいのにと願った。
その時ドーンと音が鳴り響き、門の外に忘れられない吊り目の勇者が現れた。
「なんでアイツがここに?」
まさか、このお守り、願った人を呼び出す魔法のアイテムなの?
「あー。クソッ。ここはどこだよ。なんで俺だけアップル王国に飛ばされてんだよったく」
勇者パーティの馬車が現れ、外に降りた勇者がサイクロプスを眺める。
お願いサイクロプス! 勇者をボコボコにして! 私はあの憎き勇者に殺されそうになったの。私の仇をうってよ!
そんなことはお構い無しに、騎士は勇者へと助けを求め駆け寄る。
「助かりました。援護いたします。勇者様!」
私は門のところでこのやり取りを眺めていた。
「ハッハッハ! 何を馬鹿なことを言ってんだ! 騎士は10人ほどだな。取り敢えずお前らが先に攻撃してこい! その後俺らが片付けるわ! その方が正義の味方っぽいだろ? 騎士が束になっても叶わなかったモンスターを勇者様がいとも簡単に片付けたって筋書きでいいんじゃないか?」
そう言うと、勇者は馬車に戻り少し離れた場所で観戦し始めた。
「いけー! 早く行かないと魔法使いの炎で焼き殺すぞ!」
「こ、コイツ、ほんとに勇者か?」
騎士は呆れた顔で仲間の騎士のとこに戻っていく。
「ファイアボール!」
後ろからは魔法使いが騎士に向かいファイアボールで攻撃。前からはサイクロプスが棍棒を振り上げ騎士は挟まれて焼き殺され、殴り殺された。一人の騎士だけは門に向かって走ってきたが、次のファイアボールが放たれる。
「さてと! 余興は終わりだ」
忌まわしき勇者は剣を取ると、サイクロプス目掛けて剣を投げた。1つ目に突き刺さり膝から崩れ落ちた。
その後は、弱るサイクロプスをゲラゲラ笑いながら滅多刺しにする。
見てられない。やっぱり頭のおかしい勇者。
馬車に戻る勇者たちと目が合いハッとする。
「お前らここで見た事言ったら殺すからな」
「勇者アデルっ、子供なんてよしなさいよ。あなた前も殺してるじゃない」
「そうだったか?」
私とハリソンはビクついていた。私は甘かった。今のうちに逃げるしかない。鞄から透明粉を取り出すと自分たちに振りかける。
「あー、クソッ、リンダお前のせいで取り逃しただろっ」
「何言ってんの! 他の騎士たちが来たからあんたを守ったのよ私が。感謝しなさいよ。子供の話なんて誰も聞かないと思うわよ。さっさと行くわよ。」
「それもそうだな」
気が済んだのか馬車に戻り、北の方へ向かっていった。結局私は何も出来なかった。
サイクロプスが父親の仇でトラウマになってたのもある。あの勇者の顔を見るだけで殺されかけた記憶が鮮明に蘇るのもあって、体がすくんでしまっている。
「メアリ大丈夫か?」
「あ、うん。さっきの悪魔の言ってた殺された人って私なんだ……」
さらに他の騎士が何人もこっちにむかってくると子首を傾げている。
「これはなんだ! サイクロプスが攻めてきて、殴られて死んだなら分かるが、なんで火傷があるんだ? そこの君たち何か見てないか?」
「勇者が攻撃したんです。騎士に先に魔物を攻撃させて後ろから騎士目掛けてファイアボールを放ったの」
「俺も見てた。あいつはやばい」
「何言ってるんだ。夢でも見てたんじゃないのか? 勇者様がそんなことするわけないだろ。それにしてもサイクロプスも惨殺されているし、むごすぎる」
「恐らく誰か通りがかりの冒険者がやったんでしょ。君たち、ありがと。もういいわよ」
「だから勇者が……」
そう言う私の口をハリソンは固く手を当てて塞ぐ。目でそれ以上言わない方がいいと首を横に振った。
「この国で勇者の悪口なんて言ったら、牢屋行きだぞ。気をつけた方がいい。話したいから俺の家に行くぞ」
「私もあなたに詳しく話したいことがあるの」
こうして、ハリソンの家に行くことにした。ハリソンの家は城下町から草原地帯を抜けた先にあるまやかしの森に佇む赤い屋根の家だった。
「それじゃあ、作戦会議開きましょう」
ユウキの提案でスライムを狩ることにしたE級モンスター、スライムは所謂、雑魚モンスターでランキングでは最下位だ。白くて弾力のある体が特徴で攻撃方法は体当ぐらいしかしてこない。
ユウキが短剣でスライムを切り、私はぼーっと見学している。
彼はダッシュすると目で追いつけないぐらいの速さで剣を振り、あっという間に10匹ほどのスライムを倒していく。
「どうだ?」
「凄いです!」
すると、彼は満更でも無い様子で剣を握る拳が光る。
「しゃーない。見せてやるよ。スラッシュ!」
小脇に抱えた短剣を横に振ると、空気が切られ小さな刃の塊のような物が飛ぶ。
「えっ……」
それは5m離れたスライムの胴体を真っ二つにした。
「こんな凄い人だったの?」
「いんや、このくらいのこと戦士の卵でも出来るよ。ちなみにスラッシュは物質系に効くから、他のモンスターだと、人間もそうだけどここまでの威力はでないんだ。メアリに打ってみようか」
「やめてよっ」
「冗談だよ。それにしてもここにはもっと強い魔物は居ないのかよ! ハリソンの相手になれる魔物はっ!」
空を見上げて大声をあげるハリソンを見ていると、頼もしく思えてくる。
そうよ。もっと強い凶悪なモンスター出なさいよ。私も同じように復唱する。ポケットに王妃の彼のレオンから貰ったお守りを握って。
ずごおおーん。
地面が割れるかと思うぐらい大きな音がして、砂埃から現れたのは、体長3メートルぐらい一つ目で、体色の赤い筋骨隆々のサイクロプスであった。
な、なんで……。このサイクロプスは……A級モンスターじゃないの。これ倒せるのは騎士団の中でも隊長クラスだと聞いたことがある。とんでもないモンスターが現れた。
「ぐおおおおおおおおおおー」
サイクロプスの咆哮が辺りの山々に鳴り響く。そして私たちの方をちらっと見ると、ターゲットを絞ったかのように棍棒を振り回しながらこっちに走ってきた。
私は嫌な記憶が蘇り、我を忘れて叫ぶしか無かった。
「A級モンスターがなんでここに。こんなの魔王城の近辺にしか居ないようなやつだぞ」
私は腰が抜け、前にいるハリソンは私の方を振り向くと涙目で脚をガクガクさせるが、脚を叩くと私の手を引っ張りあげる。
「捕まれ!」
ハリソンの手を掴むとお姫様抱っこして抱えあげてもらい赤い魔物から逃げる。少し走れば城下町の門が見えてきて、門番の騎士も大きな音に気づき、私たちを追いかけるサイクロプスを見るとその顔はみるみる青白くなり、槍を構え始めた。
その隙に私達は城下町へと入る。早く救援を呼ばないとあの門番ではもたない。
「うわあああー」
後ろを振り返ると、さっきの門番がサイクロプスに持ち上げられてバクっと食べられてしまった。
いやぁぁぁーあああああー。その瞬間を見て私は壊れそうになる。
あれは三年前、魔王軍がこのアップル王国に攻めこんできた時のこと。
以前、城下町にある私の家に地震のような揺れが起こった。親がここにいなさい!というのも聞かず私は外に出て様子を興味本位で見に行った。
そこには燃えるように真っ赤に染まる皮膚をもつ大男が、手にした巨大棍棒で家を破壊している姿があった。
一つ目のその魔物は巨大な目で私を睨むと、棍棒を振り下ろした。
目をつむると、ガシーンと音がして、お父さんが鉄の盾を構えて私を守ってくれていた。
凶悪な魔物は何度も何度も盾めがけて武器をふりおろす。父親は若い頃は騎士だったけど、戦には行かずに兵士のご飯を作ってたらしい。
「メアリ早く! 早く逃げなさい。この街からお母さんと早く!」
「お父さんはっ!」
「私もあとから行く! 早くしなさい」
「嫌だ。お父さんも一緒に行かないなら、私も残る」
人生で初めて父に頬を叩かれた。
「もう、もちそうもない。頼むから早くいきなさい」
私は荷物をまとめたお母さんと手を繋いで逃げるようにしてこの街を離れた。それから三ヶ月が経ち、魔物が城下町から離れたと噂で聞いてからこの街に戻るともうお父さんの姿はなかった。生きているなら私たちの元に現れるはずなのに。
まさに追いかけられているのはあの時のサイクロプスだと本能的に察知した。
城下町に警報が鳴り響く。魔物が近づくと灯台から騎士が双眼鏡で確認後警報を鳴らし国民に警戒を呼びかける。
次々と門から騎士が出てきて、サイクロプスに剣、弓、槍で攻撃を始める。
私はポケットに手を入れてあの勇者がサイクロプスにやられて酷い目に合えばいいのにと願った。
その時ドーンと音が鳴り響き、門の外に忘れられない吊り目の勇者が現れた。
「なんでアイツがここに?」
まさか、このお守り、願った人を呼び出す魔法のアイテムなの?
「あー。クソッ。ここはどこだよ。なんで俺だけアップル王国に飛ばされてんだよったく」
勇者パーティの馬車が現れ、外に降りた勇者がサイクロプスを眺める。
お願いサイクロプス! 勇者をボコボコにして! 私はあの憎き勇者に殺されそうになったの。私の仇をうってよ!
そんなことはお構い無しに、騎士は勇者へと助けを求め駆け寄る。
「助かりました。援護いたします。勇者様!」
私は門のところでこのやり取りを眺めていた。
「ハッハッハ! 何を馬鹿なことを言ってんだ! 騎士は10人ほどだな。取り敢えずお前らが先に攻撃してこい! その後俺らが片付けるわ! その方が正義の味方っぽいだろ? 騎士が束になっても叶わなかったモンスターを勇者様がいとも簡単に片付けたって筋書きでいいんじゃないか?」
そう言うと、勇者は馬車に戻り少し離れた場所で観戦し始めた。
「いけー! 早く行かないと魔法使いの炎で焼き殺すぞ!」
「こ、コイツ、ほんとに勇者か?」
騎士は呆れた顔で仲間の騎士のとこに戻っていく。
「ファイアボール!」
後ろからは魔法使いが騎士に向かいファイアボールで攻撃。前からはサイクロプスが棍棒を振り上げ騎士は挟まれて焼き殺され、殴り殺された。一人の騎士だけは門に向かって走ってきたが、次のファイアボールが放たれる。
「さてと! 余興は終わりだ」
忌まわしき勇者は剣を取ると、サイクロプス目掛けて剣を投げた。1つ目に突き刺さり膝から崩れ落ちた。
その後は、弱るサイクロプスをゲラゲラ笑いながら滅多刺しにする。
見てられない。やっぱり頭のおかしい勇者。
馬車に戻る勇者たちと目が合いハッとする。
「お前らここで見た事言ったら殺すからな」
「勇者アデルっ、子供なんてよしなさいよ。あなた前も殺してるじゃない」
「そうだったか?」
私とハリソンはビクついていた。私は甘かった。今のうちに逃げるしかない。鞄から透明粉を取り出すと自分たちに振りかける。
「あー、クソッ、リンダお前のせいで取り逃しただろっ」
「何言ってんの! 他の騎士たちが来たからあんたを守ったのよ私が。感謝しなさいよ。子供の話なんて誰も聞かないと思うわよ。さっさと行くわよ。」
「それもそうだな」
気が済んだのか馬車に戻り、北の方へ向かっていった。結局私は何も出来なかった。
サイクロプスが父親の仇でトラウマになってたのもある。あの勇者の顔を見るだけで殺されかけた記憶が鮮明に蘇るのもあって、体がすくんでしまっている。
「メアリ大丈夫か?」
「あ、うん。さっきの悪魔の言ってた殺された人って私なんだ……」
さらに他の騎士が何人もこっちにむかってくると子首を傾げている。
「これはなんだ! サイクロプスが攻めてきて、殴られて死んだなら分かるが、なんで火傷があるんだ? そこの君たち何か見てないか?」
「勇者が攻撃したんです。騎士に先に魔物を攻撃させて後ろから騎士目掛けてファイアボールを放ったの」
「俺も見てた。あいつはやばい」
「何言ってるんだ。夢でも見てたんじゃないのか? 勇者様がそんなことするわけないだろ。それにしてもサイクロプスも惨殺されているし、むごすぎる」
「恐らく誰か通りがかりの冒険者がやったんでしょ。君たち、ありがと。もういいわよ」
「だから勇者が……」
そう言う私の口をハリソンは固く手を当てて塞ぐ。目でそれ以上言わない方がいいと首を横に振った。
「この国で勇者の悪口なんて言ったら、牢屋行きだぞ。気をつけた方がいい。話したいから俺の家に行くぞ」
「私もあなたに詳しく話したいことがあるの」
こうして、ハリソンの家に行くことにした。ハリソンの家は城下町から草原地帯を抜けた先にあるまやかしの森に佇む赤い屋根の家だった。
「それじゃあ、作戦会議開きましょう」
0
あなたにおすすめの小説
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる