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その後は皆がいる食堂に移り
その場で 今から立つことを告げた
小さい子供達からは 涙を贈られた 
すぐ下の子供達からは 尊敬の眼差しを
送られた
ホンの一部からは 憎しみの眼差しを受けた

「さぁ 少し早いけれども お迎えの馬車が来ましたよ 行きましょうか」

「はい では行ってきます!」






孤児院の側の教会の小さなロータリーに
その馬車は停まっていた


「あの 馬車なのですね」
「そうよ」

馬車の側にいくと そこには 神官様と
男の人が立っていた

「こんにちは 私は主人ブラウン男爵様にシャーロット様をお連れしよと命じられて参りました」

「ご丁寧に ありがとうございます
私がシャーロットです」

「お荷物はこちらでございますか?」

「はい」
小さな鞄を見せる

「では お預かり致します」

なぜこの人は侍女見習いの私をこんなに
丁寧に迎えてくれるのかしら?
疑問に思いながらも 神官様にお別れの挨拶をする

「神官様 今までありがとうございました」
「シャル 体に気をつけてください
何かあったり 困ったりしたら
私達に受け入れる場所はありますよ」

「ありがとうございます 嬉しいです
では行ってきます」

御者であろう人に馬車に乗るときに手を貸してもらい 初めての 記憶にある限り初めての馬車に乗り込む

扉が閉められ

「シャル 体に気をつけて」
「いつものシャルなら大丈夫だよ」
「はい」

「さぁ行きましょうか」
挨拶をしてくれた男の人が
馬車を出す様に御者に伝える

パシッ
ヒヒィン
ガラガラガラガラ

「皆さんもお体に気をつけて……」
手を振りながらお別れをする



「シャーロット様 お寂しいかと思いますが ブラウン男爵家も良いところでございますよ」
ニコニコしながら男の人が話しかける
「はい そうきいております」
やや緊張気味な笑顔で話す

「大丈夫でございますよ
まず少しお話しておきますと
侍女見習いとしてのお勉強をしていただきます 座学 マナー ダンス 教養」

「え?」
思わず口から言葉が漏れた
侍女見習いなのに そんなことまで?

「まぁ驚かれるかと思われますが
これは主人と奥様の意向でございます

ニコニコの笑顔が崩れない

「あの…それが普通ではないですよね…?」
一応確認しておく

「そうでございますね
よそのお宅は存じ上げませんが うちでは マナーや教養 軽く座学はおこなっておりますよ ふぉふぉふぉ」
笑顔が……超笑顔に崩れた


暫く走ったらお屋敷が見えてきた

「シャーロット様 もう着きます
あの前方に見えてまいりましたのが
ブラウン男爵家でございます」

男爵家と言う割には かなり大きな
建物 庭も広めのようだった

こんなに大きいとは思っても見なかった
やっていけるか不安が大きくなる
門をくぐってロータリーにつく

手を借りて馬車を降り前を向くと
そこには なんと
ブラウン男爵当人が奥様と出迎えてくれていた

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