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「ヴァイオレッタが妹をいじめているという噂だ」
 そんな噂が?
「あの、違いますっ」
 私は妹をいじめてなんていない。
 もしかしてアイリーンが噂を流しているの?私に虐められたって?
 でも、何の得があるの?だって、アイリーンはヴァイオレッタの姿でも社交をしているんだもの。
 妹をいじめているなんて噂が広がれば、社交しにくくなるはずなのに……。
 ああ、でも、もしかして。二人が並んで舞踏会に顔を出すことはないから、仲が悪いということにしているのかも。
 仲が悪いのは、虐めているからと勝手に噂になったとか?
「確かに、仲がいいとは言えませんが、虐められているわけでは……」
「どうして庇うんだ?アイリーンは優しいな」
 どうして信じてくれないのだろう?
 ”私”は義妹をいじめたりしていないのに。
「お義姉様は、今、領地で静養しています。だから、お義姉様の仕業じゃないですっ」
 それに、アイリーンだって……。どれだけひどいことを言ったりしたりしても、使用人扱いをしても……一度も体を傷つけるようなことはしてこなかった。
 水をかけられることはあっても、やけどするようなお茶をかけられることはない。きっと、針のことだって、アイリーンは関係ない。
「大方、使用人に命じてやらせたんだろう」
 ルーノ様が、大きくため息をつき、私の顔を見た。
「……辛かっただろう。かわいそうに……」
 本当に違うのに……どうしたらわかってもらえるだろうか?
「ヴァイオレッタ……なんてひどい女だ。聞きしに勝る悪女だな……。許しては置けぬ」
 憎しみのこもったルーノ様の声に、涙が落ちた。
 ルーノ様の中では「ヴァイオレッタ」はひどい女。悪女……。
 憎しみを持って口にする名前……。
「もう、お義姉様の話は……」
「ん、ああ。辛いことを思い出させてしまったか」
 ルード様の口からこれ以上「ヴァイオレッタ」を悪く言う言葉は聞きたくない。
「……はぁ。弟の後始末で仕方なくと思っていたが……。アイリーン……君を救うためでもあるならば……」
 私を救うため?
「手紙を送ってもいいかい?」
「いいえ……お父様が許さないわ」
 アイリーン宛で出しても、私の手元には渡らないだろう。いや、私宛ならなおさら手元には来ないはずだ。
「ああ、そうだな……。じゃあ、また招待状を」
 今日のような高貴族からの招待状ならば、お父様も無視することはないだろう。けれど……。
 首を横にふる。
「お義姉様が静養しているというのに、私ばかリ社交するのは……」
 ルーノ様が辛そうな表情を見せる。
「そうか、それでまたひどい仕打ちを受けるということか……」
 小さく首を横にふる。



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ご意見ありがとうございます!
とても参考になります。
他の方の参考を見ていろいろ思うこともあるかと思いますので、非表示対応させていただきます。
ですので、遠慮なく「破滅しろ~」「改心しろ~」「生まれてきた子の幸せ優先~」など、書いていただけると嬉しいです。
まぁ、まるっきりざまぁ無しということもないですが、程度は小中大……検討中です。
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