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霊感少女だった私

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注*★印に残酷的発言(大したことはないけれど、苦手な人用注意書き)

 どこが元気そうだ!いや、死んだ人間よりは元気か……って、そんな漫才みたいな話はいらないんだよっ!
「元気の基準が分からない……」
 と、ついつぶやいてしまった。
★『あー、手もちぎれてないし、内臓も出てないし、会話できるし』
 待て、待て、元気の基準がおかしい!
 いや、その基準なら確かに私は元気ですが、ですが、このままだと助けもないし、死にそうなんですけどね?
 ……うん?そうだ。どうせ死ぬか。この怪しい墨汁みたいな液体。三百年の間に腐って腐敗してカビてやばいの増殖して猛毒になってそうな感じですが……。いや、逆に即死できる猛毒ならば、この痛みから解放されるかも。
 痛みと戦いながら、なんとか小瓶のキャップを開ける。栄養ドリンクのような小さな瓶。ごくごくと飲む勇気もないけど、そもそもごくごく飲める体勢になれないので、指にちょいとつけて舐めてみた。
 うっわぁー、これ、味まで墨汁だ。いや、墨汁は飲んだことないけど、あの習字の匂いが口から鼻に抜けた。絶対、舌が真っ黒になってるよね。そういえば、おはぐろとか言って墨汁で歯を真っ黒にして遊んでたなぁ、隆。……幼馴染の隆。半年後に結婚する隆。
 人の気も知らないで、結婚式の招待状を手渡してきた隆。
 ああ、こんなところで死ぬわけにはいかない。日本に戻って結婚式に出席しないと!結婚式でおめでとうって言ってやるんだからっ!
 奥さんになる人……隆はお調子者で、クラスの人気者。目を離すと墨汁どころか泥水も飲んじゃうようなヤツだけど……。霊感少女と噂が広がって皆が私を気味悪がっても、隆だけはずっと変わらず接してくれた。底抜けにいいやつだから。だから、幸せにしてあげてくださいって。
 隆の奥さんになる人の守護霊にお願いしないといけないんだからっ!
 絶対に死ねないっ!
 と、体を起こす。いや、起こせた。
「あれ?痛く、ない……?」
 手に小瓶を持ったまま立ち上がる。どこもいたくないどころか、最近ひどかった肩こりまでも治っている。
『霊薬エリクサーなら、命さえあれば何でも直しちゃうから。そりゃ痛いくらいあっという間に治るさ』
 霊薬エリクサー?
 ファンタジーゲームや小説に出てくるあれ?この真っ黒な墨汁もどきが?
 驚いて声の主に顔を向ける。
 遠くからじゃはっきり姿が見えなかった幽霊の姿。というか、目が節穴になっていたり直視しがたい姿の場合もあるので見ないようにしていた姿を5mほどの距離からばっちり見てしまった。
「う、げ……」
 ――幽霊は、無駄にイケメンだった。



============
イケメンが無駄になることは、世の中には……あるよね……。
(´・ω・`)というか、えーっと、私の書く作品に出て来るイケメンは、8割以上が残念イケメンです。
イケメンの無駄遣いしてます。
でもさ、何もかも完璧な男の人より、ちょっと抜けてる方が人間味があっていいと思うんです……。
が、今回は「ちょっと」でなく「激しく」抜けてます……頭のねじが……。
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