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欲望の化身

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「...」

「...そうですか」

 ここは王都クリスティアーノ。

 今ここで話しているのはその王都を守りし者達である。

 まずはリーダであるこの国の王様クリスティアーノ一世。

 若くして騎士団長を務める紅蓮の剣姫アイシャ。

 王宮魔術師・ローレン

 王宮神官・レギナ。

 これらはクリスティアーノ王国を守る代表的な4人である。

 しかし、彼らを持ってしても今この王国はかなりの危機に瀕していた。

「魔王オービル=フィオエルの軍勢は再び我が王都を狙ってきておるのは皆承知の事実だ。してそれをどうやって食い止めるかなのだが...」

 王は皆の方を見てこう呟いた。

「やはりローレンよ。しかこの最悪の事態を食い止める方法はないのか?」

「...はい、我が王よ。確かに異世界の者達に酷な責務を負わせるのはどうかと思いますが、私たちにはもうこの手しか残されておりません。どうか賢明なるご決断を...」

「...ぬぅ。アイシャよ。貴殿はどう思う?」

 紅蓮の騎姫は腕組みをしながらこう答える。

「...王よ。私は一介の騎士であります。聡明と噂高いクリスティアーノ王に口添えをするほどの才は持ち合わせておりません」

「そのクリスティアーノ王が助言を求めているのだ。良い。助言せよ」

「...分かりました。私はローレン殿に賛成です。このまま戦争が長引けば民への不満が爆増してしまいます。むしろ魔王はそれが狙いなのかもしれません。ここは勇者を召喚し一度この場を押し返すのが最善策では?」

「...アイシャも同意見か」

 この場に置いて軽い口を聞くのは王宮神官・レギナを置いて他にはない。

「はいはいは~い! レギナちゃんも他の2名と同じ意見で~す!」

「「...口を慎め。レギナ」」

 レギナとアイシャの2人がそう呟くのだが、レギナはニカリと笑うのみ。

「...良い。レギナ殿にも非常に世話になっておるからな。我が軍の医療魔法を飛躍的に向上させた功績は目を見張るものがある」

「そうですよ~! レギナちゃんは偉いんです!」

 えっへん! とない胸を張るレギナを見てため息を漏らす剣姫と王宮魔術師。

「...では3人とも合意の上で勇者召喚を行う。良いな?」

「「「聡明なるクリスティアーノ王の仰せのままに」」」

 3人は王に忠義を誓いながら勇者召喚の儀を執り行うことを承諾するのだった。
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