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番外編-苦悩~絢小町の悩み~

苦悩~絢小町の悩み~

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 私、絢 小町は悩んでいた。
 警視庁に入庁して早2年、警察官の仕事にも慣れ遂に本庁の刑事課へ異動になった。
 そこまでは、良かったのだ。良かったのだが、配属された部署が問題だった。
 事件の捜査をしない訳ではないのだが、めったに呼ばれることはなく、なんなら、特定の市民から呼ばれて現場へ臨場する事が多い。
 だからといって、その市民を否定しているわけではない。寧ろ、自分達を頼ってくれる事に嬉しさを感じている。
 本当の悩みは、ここからだ。
「おはようございますぅー」
 若本ボイスの真似をしながら、絢巡査長は命捜班の部屋に入る。
「あ、おはよう」一川警部はコーヒーを自分専用マグカップに注ぎながら挨拶する。
 このハゲ頭のオヤジが私の悩み一つなのだ。
 ハゲオヤジは出動がない時、コーヒーを飲みながらジャンプを読み屁をこき、下らねえダジャレを言っては一人で笑い転げる。それだけで一日が終わるのだ。
 苦痛以外の何物でもなく応援がある時はどれだけ救われることか。
 でも、その応援もほぼない。
 終いには、同期の警察官達から窓際族と呼ばれる始末。
 そんな窓際部署で、自分はこれからどうやっていけば良いのか?
「はぁ~」
 深いため息をついて、落ち込む絢巡査長。
 一川警部はそれを見て、フフッと笑う。
「一川さん」
「何? 絢ちゃん」
「ここの部署って、窓際部署なんですか?」
 私は思い切って、質問してみた。
 返ってきた答えは「そうとよ」と肯定するものだった。
「マジか」思わず素直な言葉が出てしまった。
「事件が起きないことはええことやけど、応援の要請までこんやから。窓際部署になるんじゃないと?」
「そうですよね?」
「そうです」きっぱりと答える一川警部の頭を思いっきり叩きたいそう思う。
 ラモちゃんのように。
 あの娘は、いつも長さんの事を清々しい程しばき回している。
 羨ましいともすら思う。若いからなせる技。
 いい年した大人の自分がするわけには行かない。
 このストレスをどこにぶつけたら良いのか、暇なのでスマホで調べることにした。
 検索アプリを開いた瞬間、燐から着信が入る。
 ストレス発散についてはまた、今度にしよう。
 私は刑事、起きた事件の捜査に集中しなければ。
「はい、こちら警視庁命捜班カスタマーセンターです」
 絢巡査長はオペレーター風に燐からの電話に出るのだった。
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