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第弐拾参話-会長

会長-15

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 置いてけぼりをくらった燐は長四郎の後を追わず、蔵寺が通う自動車学校へと来ていた。
 しかし、蔵寺はその日は受講しておらずただの無駄足に終わった。
 次に、燐は自分に接触してきた栗手に会う為に変駄世高校を訪れることにした。
 燐が校内に入ると長四郎のバイクが駐車場に止まっているのを見つけ急いで、校舎へと入って行く。
 校舎に入ると、校長室から出てきた長四郎と出くわし、校長から偉い剣幕で怒られる長四郎の姿があった。
「ぷっ! 怒られてや~んの」燐は嬉しそうに近づいていく。
「探偵さん。これ以上、変な詮索をなさるなら警察へ通報しますから」
「すいません。すいません」と平謝りしながら後ずさりし、「失礼します!」と校長の怒声を超える声を張って一礼し、踵を返すと目の前には燐が立っていた。
「ラモちゃん!!」
「よっ!!!」と手を挙げ挨拶する燐は校長の元へと近寄ると「内のバカ探偵が何か変な事を申したようで申し訳ございません。私からきつ~く言っておきますから。ここは、穏便に」と謝罪する。
「分かりました。では、そのようにしてください」
 校長は燐が変蛇内高校の生徒である事に気づかず、長四郎の上司かと勘違いしたのか。
 渋々、納得した校長は校長室へと入っていった。
「全く、何したらあんなに怒られる訳?」
「俺にもよく分かんないだけど。ここじゃ、なんだから河岸を変えよう」
 長四郎は燐を連れて、変駄世高校近くのファミレスへと場所を移した。二人は、ドリンクバーを注文し、各々好きな飲み物を取り席につく。
「校長を怒らせて聞き出した事は何?」燐から話を切り出した。
「聞き出した。特に何も」
「噓つけ。めっちゃ怒られてたじゃん。何か、掴んだんでしょ」
「それは、掴んだ」
 長四郎はジャケットの胸ポケットから、例の写真を取り出した。
「これ付き合ってるよね?」
「どう見てもそうでしょう。ラモちゃんに接触してきた栗手って男の子の兄貴は、付都先生とデキてた。それだけの事じゃない」
「それだけって。生徒と先生。中々、あぶない関係じゃん」
「あぶないって。それを言うなら、禁断の関係だろうが」
「それより、この写真、どこで見つけてきたの?」と燐にそう問われた長四郎。
 無断で付都が使用する机をいじり、そこから見つけてきたなんて事も言えるわけもない。
「え~っと、それはだなぁ~」答えに困っていると「あんたのその反応から見て、どうやって手に入れたのか、分かったわ」燐は長四郎にそう告げ、長四郎が持ってきたコーラを流し込む。
「あ、それ俺の」長四郎のそんな言葉も無視して、燐は話を続ける。
「それでさ、あんたの事だからドストレートな質問ぶつけたんでしょ? 校長先生に」
「ご明察」
「やっぱりぃ~ だから、怒られるんだよ」
「いや、俺は直接は言ってないんだよ。「生徒と先生の禁断の恋ってあるんですかね?」って聞いたら、激昂し始めて」
「それ、マジ?」
「マジだよ。だから、この写真は事件解決の大きな手掛かり
「もう少し、突っついて見る?」燐の提案に「その為に、ラモちゃんは一人、学校へ来たんだろ?」と答えると燐が持ってきたカフェモカを一気飲みする。
「それ、私の!!」
 燐に思いっきり頭を引っ張叩かれる長四郎だった。
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