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第弐拾参話-会長

会長-19

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 変邪内高校へと到着した燐と絢巡査長の二人は、職員室へと向かう。
 その道中、水野に追い出された長四郎と出くわす。
「げっ!!!」
 二人を見るや否や長四郎は気まずそうな顔をして、その場から逃げ出そうとする。
「待ちなさいよ」
 燐に首根っこを掴まれ確保される長四郎。
「離せっ!」長四郎はそう言いながら、必死に抵抗するのだがその甲斐も虚しく燐に確保されたまま校舎へと逆戻りとなった。
 三人が向かった先は、校長室でも職員室でもなく二年生のクラスがあるフロアだった。
「ここで、何するの?」長四郎の問いに「事件解決に繋がる手掛かりを得に来たの」燐はそう答えながら、二年C組に入っていく。
 今は、授業と授業の間の休み時間だったので、燐は当たり前の顔でクラスに入っていくことができた。
 一分もかからずに、一台のスマホを片手に教室から出てきた。
「何、スマホでもカツアゲしたの? 絢ちゃん、逮捕して」
「アンタからだったら、いくらでもカツアゲしてあげるのに。絢さん、これです」
 燐は絢巡査長にスマホを渡す。
「この中に、事件に繋がる手掛かりがあるってわけね」
「はい」
「お二人さん、おいちゃんにも教えてくれよ」
「ラモちゃん曰く、このスマホの中には、野古君が居た周囲の状況写真が保存されているんだそうです」
「ほぉ~」
 絢巡査長から説明を受けた長四郎は、感心する。
 燐は事件に繋がる写真を一生懸命に探す。
「ラモちゃん。ここ、廊下の真ん中だから移動しよう」
「・・・・・・」
 集中している燐は返事もせず、絢巡査長に寄り添われながらその場から離れる。
 そして、長四郎もそれに黙って付いていく。
 三人は絢巡査長の車に乗り込み、燐の調査結果を待つこととなる。
 それから、三十分の時が流れた。
「絢ちゃん。腹減ったから、なんか食いに行こう」
 後部座席に座る長四郎が、運転席に座って退屈そうにしている絢巡査長に話し掛ける。
「いや、ラモちゃんがこうして、探しているのに食べに行けませんよ」
「大丈夫。大丈夫。こう集中している時は、何しても気づかないから」
「気づいてるし。近くにモスあるから、テイクアウト宜しく」
 燐はスマホを操作しながら、長四郎の指示をする。
「へいへい」長四郎は渋い顔をして、車から降りてモスバーガーへと向かう。
 長四郎がその場から居なくなって、すぐ燐が「あっ」と声を上げる。
「絢さん。これ見てください」
 燐は嬉しそうにスマホを絢巡査長に突きつける。
「ラモちゃん。画面が近い。近い」
「あ、すいません」
 燐は絢巡査長の顔の前からスマホを引き離す。
「ここです。ここ」
 絢巡査長に見せたい部分を拡大させて見せる燐。
 その写真には、野古が手に持つ更にクッキーを載せる栗手の姿があった。
「これ、ヒ素が入ったクッキーを載せているかもしれない写真か」
「多分」
「でも、これだけで彼を落とせるかというと・・・・・・」
「確かに弱いですね」
 女子二人は、しかめっ面でスマホを睨みつけ、どうするべきかを考えるのだった。
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