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ついた先は……
しおりを挟むさっきまで純粋にワクワクしていた俺が確かにいました。ついさっきまで。もっと言うと、この高級旅館を見るまでは…
え、俺着替えとか持ってきてないよ?てか、なんで旅館?
頭にハテナを浮かべる俺を置いて、進んでいく状況。これはツッコんだ方が良いのか?
「ん~?どうしたの?死んだ魚みたいな目をして。」
俺の様子見気づいた会計が話しかけてきた。みんなロビーで我が物顔でくつろいでいる。
「あの、俺泊りとか聞いてないんですけど…それにこんな高級旅館…」
「あ、あ~…その、ね?」
歯切れの悪そうな返事をした会計が話始めた内容は、俺に前もって言っておくと断りそうだから何も言わずに連れてきたと。それ拉致じゃん!
「場所は私の家なので気にしないでください。」
そう言ったのは女神様。
来てしまったのだから仕方ない。悠希先輩にお礼を言って促されるがまま中へ入る。
ゴテゴテではないもののセンスのいい置物が程よく置いてあり、くつろぎやすい空間になっている。
チェックインなどはないそうで、所謂顔パス。
そして、部屋に通される前に運命の部屋割りを決める時間がやって来た。
2人部屋を3つ用意してくれているらしい。俺は別に誰とでもいいんだけど…とりあえずくじ引きに参加する。
くじ引きを用意してたとか準備良すぎだろ。と思いつつ引いたのは先端が赤色の棒。周りを見て同じ色を探すと赤の棒を持っている人が1人。
「あっ!私と一緒ですね。ゆっくりしましょうね。」
目が合ってそう柔らかく微笑んでくれた悠希先輩はどこか顔が強張っている様に感じた。
「あぁー!僕も栄人とが良かったのに…栄人と一緒に寝るつもりで来たのに…」
「なに~?瑠季は俺とじゃ不満なわけぇ?失礼しちゃうね~」
「会長と一緒だなんて、よろしくお願いします!」
「あぁ、よろしく…」
すぐに変なのに絡まれたから、気になった悠希先輩の様子は俺の頭からすっぽ抜けてた。
「皆さま、ようこそお越しくださいました。この度は当宿でごゆるりとお過ごしくださいませ。」
俺たちがロビーで騒いでいた時奥の方から着物を着た和美人が挨拶をしに来てくれた。
この美人さんどことなく女神様の面影が…
「母さん、こちらが栄人君。」
「夜須川栄人です。よろしくお願いします。…え、母さん!?あっ、すいません。」
「フフフ、いいんですよ。悠希の母の友恵と言います。いつも息子と仲良くしてくださりありがとうございます。是非、ゆっくりしていってください。」
悠希先輩のお母さんの若さに驚きつつ、めちゃくちゃ丁寧にもてなされて、少し恐縮してしまう。
それにしても本当にキレイなお母さん。でも、悠希先輩がお母さんに対して畏まっている様子が少し気になる…
色んな家族の形があるのは分かるけどなんか、ねぇ?
疑問を抱きつつ、俺と愉快な仲間たちとの旅行が幕を開けた。
応援ありがとうございます!
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