【完結】俺は遠慮します。

抹茶らて

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催し物

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「じゃあ今から文化祭の出し物についての話し合いを始めます。」

6時間目のホームルームの時間、教卓に委員長が立って話始めたのは数週間後にある文化祭でのクラスの催し物についてだ。

体育祭、林間学校も終わってまたイベントか!?って思うが王道学園ならではなのだろうと無理やり解釈しておくこ
とにする。

「じゃあまず、意見ある奴。」

「メイド喫茶!」
「女装喫茶!」
「お化け屋敷!」
「ホストクラブ!」

どこかで聞いたような内容ばかりだが、ここ男子校だぞ?メイド喫茶と女装喫茶の違いが分からん。

あと、ホストクラブって誰が来るのかって話じゃない?客も男だし。って思ってた俺がバカでした。

どうやら一般公開もあるらしく一年の間で唯一の学園で女の子と関われる機会らしい。ノーマルな少数派が俄然やる気を出している。

「一通り意見でたな~じゃ、多数決するぞ。」

その後も相席屋とかマッチング喫茶とか意味の分からん意見ばっかり出てた。どんだけ切羽詰まってんだよと突っ込みたかったけどノーマルの人からしたらここは地獄なのかもしれないと考えて思いとどまった。

「多数決の結果…ホストクラブ…はちょっと難しいかもしれないからホスト喫茶に決定。」

ホストクラブが一番多かったのだ。自分をかっこよく見せて彼女ゲットだぜってか?

「文化祭…これはお遊びなようでお遊びじゃないんだ。すなわち、商売…よってキャスティングは俺たちが責任もってさせてもらう。」

いつもよりやる気の出ている様子の委員長。文化祭の売り上げはクラスに反映されるのだとか。だから単純に客寄せをした方がいいってこと。

いつも真面目な委員長の目に銭マークが見えるのは俺だけかな…
そんな本気モードな委員長のお陰か…あっという間に決まっていった配役、設定。メニューは裏方が考案して予算との兼ね合いが必要なんだとか。俺はそういう難しそうなこと苦手だから変わらんが、委員長が輝いてたから良いのだろう。

それで、俺はと言うと……

「栄人もキャストか、よろしくな!」

いつもの何十倍も爽やかさがマシマシな尊と、いつもよりどんより気味な徹の同じみな顔ぶれのあるホスト組の中にいる。


そう、ホストとして選ばれてしまったのだ。なんでもよかったからいいんだけど。ちなみに、今は生徒会の仕事で不在の瑠季と宗也もホストをするんだとか。瑠季はともかく、そうやって話せるのか?

「じゃあ、ホスト組~採寸だけ今日中に済ませるぞ。」

何とこの学園には裁縫部なる部活が存在するようで、このクラスにも数人いるんだとか。当日の衣装もその子たちが担当するらしい。十数人の衣装を数週間で完成って大変そうだなぁと他人事のように考えていると、俺の晩が来た。

「栄人くん、すごいバランスのいい体格してるね。」

「うん、顔もキレイだし…絶対に合うよ!」

うん、褒められて悪い気はしない。裁縫部の子たちは小柄な男の子で採寸中もずっとべた褒めで、さすがの俺でもちょっと恥ずかしくなってきたぐらい。

これから大変な期間になるであろう目の前の子たちに一足早いお礼を伝えておく。

「衣装…作るの引き受けてくれてありがとう。出来上がったものを着れるのを楽しみにしてるね。」

「ひっ、ひゃいっ!」
「はっ…」

出来るだけ笑顔を心掛けて言うと、さっきまで素の顔で褒めてくれてた子たちが真っ赤な顔と気の抜けた返事が返って来た。


よく分からないが、深く考えないでおく。



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