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俺たちの歪な関係

清水の家へ行く

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あーなんかヤバいよ。清水に連れられて駅からアパートに近づくに連れて、俺はゾクゾクと寒さを感じていた。それと同時に少し頭も痛いみたいだ。

俺が顰めっ面をしていると、真己が俺を見てクスクス笑って言った。

「しょうがないよね。ここまで悪意が広がってるんだから。アパート入れるかなぁ、一誠は。」


俺は真己を横目で見つめて言った。

「入らなくても良いでしょ。真己が一人で入ってよ。」

すると面白そうに目を大きく見開くと俺の耳元に口を近づけて囁いた。

「いや、一誠を囮にして集めた方が味が濃くなって美味そうだ。ははは、楽しみだな。」

俺を囮にするとか不穏な話を聞いて全然笑えなかったけど、ここまで来たらもうどうにでもなれと思った。これが終われば三か月何も無し生活が待ってるんだ。


俺は自分を励ましつつ、一歩づつ重く感じる足を踏み出した。丁度その時、清水が立ち止まって目の前の少し古いけれど、特に普通のIKの単身者用といった感じのアパートにたどり着いた。

さっきから止まらない鳥肌に俺は歯を食いしばって言った。

「なぁ、清水。お前よく平気でここに住んでるな?お前の部屋、あの青い扉だろう?」

そう言うと、清水は驚いたように俺を見て頷いた。


真己にせっつかれて、俺は清水の後をついて部屋の前に立った。無頓着に鍵を開ける清水の手に絡みつく、手のような影に俺は背筋をゾッとさせた。

そっと振り返って、真己に縋るように見つめると真己は呆れたように肩をすくめて俺の手を繋いだ。清水に見られたらどう思われるか分からないと焦る気持ちと、一方で絶対的な安心感とで、俺は結局手を離せなかった。


清水はそんな俺たちに気づきもせず、黙って家の中へ入って、こっちを向いて言った。

「やっぱり、ここに何か居るのか?分かる?俺最近ぐっすり眠れないんだ。眠り始めると変な音が聞こえてくるし、人の気配もするし。かと言って引っ越しするほどのお金も無くて、困ってた。」

俺は部屋の中が妙に暗くて、黒い影がグッと清水にまとわりつくのが見えた。ほとんど清水の顔も判別できなくなって、俺はどうしたら良いんだとオロオロとして、真己を見つめた。


真己は俺の手を握り締めて、小さい声で言った。

「危ないな…。一誠絶対手を離すなよ?」

そう言うと、清水に近寄った。そうなると手を繋いでいる俺自身も近寄ることになるわけで。俺は心の中でぎゃーとかヒィって叫びながら、実際は声も出なかったんだけど。

黒い影が俺たちにも手を伸ばしてくる様で、俺は自分より華奢な真己の腕に縋りついて身を縮めた。


「良くもまぁ、ここまで集まったなぁ。この辺りの地縛霊はほとんど集まったんじゃないか?この男はどんだけ居心地が良いんだ。」

呆れた様に言った真己は、清水だったもの、今はもう黒い塊が覆い尽くしてまるで違うものになっていたけれど、そいつを指差して言った。

「さあ、美食タイムの始まりだ。」
 





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