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俺たちの歪な関係

青鬼の祓い

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高校生の制服を着た真己は細身の身体を、禍々しい黒い渦を巻きつけた様な清水だったものの前に晒して、人差し指を突き出した。そしてゆっくりと手を開いた。

清水だったものは、グニャグニャと嫌な感じで動き続けたけれど、俺にはそれが苦しんでいる様に見えた。次の瞬間には真己の大きく開いた口に凄い勢いで吸い込まれていく。


その時俺は、さっきまで真己と繋いでいた手を離して、呆然と目の前の情景に圧倒されながら尻餅をついていた。いつ手が離れたのかは記憶にないが、多分真己が清水だったものに指を突き出した時に離れてしまったんだろう。

その時、黒いものの一部が俺めがけて勢いよく伸びて来るのが見えた。俺は声にならない悲鳴をあげて、全身を強張らせて頭を抱えてうずくまった。


気がつけば全身から脂汗がどっと出た気がして、俺はガチガチと歯を震わせていた。何とも言えない気持ち悪いものが俺の中に入った気がして、そしてその何かはじわじわと俺を侵食していった。

俺は目の前に真己の足元しか見えなくて、うめきながらドサリと倒れ込んだ。頭上で舌打ちする音が聞こえたけれど、そこで俺の意識は途切れた。


薄れる意識の中で、俺はこのままきっと死んでしまうんだと思った。俺が時間を守らなかったばかりに、青鬼と関わりになって、俺の大学生活はメチャクチャになった。

しかも青鬼の美食のとばっちりで死ぬとか、ほんと笑えない。俺はきっと笑っていた。死ぬ間際に笑うとか、俺って結構クールだなって思ったから。




次に感じたのは柔らかな心地よさだった。冷え切って痺れた身体の中へ、何か温かなものがゆっくりと入って来るのと同時に、嫌なものが吸い取られていく感じだった。

俺はその温かなものにしがみついた。俺の生存本能がそれを逃したらダメだとでも言うように、俺は必死になって動かない指先を動かして、しがみついたんだ。


しばらくすると冷たさが抜けて、俺は段々と感覚を取り戻していった。俺の握りしめているものは誰かの腕で、硬い布地だった。そして唇に感じるのは、慣れた感触のあれだ。

頑張って重たい瞼を開けた俺の視覚がとらえたのは、つるりとした真己の瞼だった。そっか、俺真己とキスしてるのか。俺はそれ以上考えるのをやめた。


真己から与えられる命の灯火を、黙って受け取ったんだ。その時の俺の気持ちは今考えるとあり得ないけれど、真己への欲望だった気がする。でもそれは絶対死ぬまで誰にも言うつもりはない。

そう、死にそうになって血迷っただけだからな。

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