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登校

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 次の日も私はいつものように学校へ登校した。


 パトリックがいないだけで、普段とほとんど変わらないだろうなと思っていた。


 ただ昨日の、あのユーリの発言。


 完全に、私がユーリを好きだと誤解している。

 正直あいつのことはもう興味ないので、どうだって良いんだけど。


 まあ、あのナルシストみたいな性格は本当に不快で気持ち悪いけど。


 でも、向こうが関わりを持たなければ、私も近づく気はない。


 ただあいつ、完全に勘違いしている。


 最悪だ。


 あの男、かなり頭がおかしくなってる。

 即刻誤解を解かなければ、絶対に奴の妄想に巻き込まれる。


 あのアホのせいで残りの学園生活をめちゃくちゃにされたくはない。


 そんなことを考えながら、正門から校舎までの大通りを歩いていると。


 周囲で、くすくすという人を小馬鹿にした笑い声が聞こえてきた。

「何あれ、ヤバ」

「笑っちゃ駄目だって」

「可哀想だよ、本当……っ」

「あんただって笑ってんじゃん」

「でも、見てよあれ。あの顔」


 くすくすと、女子生徒たちが1人の男子生徒を指さす。


 その男は、私のよく知る人物だった。


 ーーユーリだ。


 私は思わず吹き出した。


 彼の顔は、いつもの2倍以上に赤く腫れ上がっている。

 おそらく、彼の父親から散々ぶん殴られたのだろう。


 ぶくぶくと顔周りが膨れ、まるで葡萄みたいだ。


 私は、頑張って笑いをこらえる。

 面白過ぎてお腹が痛い。


 駄目だ。

 駄目だ、あれ。


 本当、ツボ。

 あれは駄目だ。


 多分あの子は、有言実行をしたのだろう。

 ユーリは、

「婚約のことに関しては、俺から両親に掛け合ってみるよ。大丈夫だ。俺は君のためなら両親に殴られるのだって平気だ」

 と言っていた。


 それを馬鹿正直に守って、ちゃんと父親に殴られたのだろう。


 ヤバい。

 本当に面白いんだけど。


 馬鹿過ぎる。



 
 

 
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