亡国の姫は、すべてを奪った将軍王に溺愛される

 エレオノーレはかつて、とある国の姫だった。


 美しい街並み、美しい城で、仲の良い両親とともに何不自由なく育っていた。

 優しい兄は彼女を「エレア」と呼ぶ。


 満ち足りた日々を送っていた彼女に、突然の悲劇が襲った。

 
 恐ろしい悲鳴。

 誰かが泣き叫ぶ声。


 目の前でバタバタと倒れていく人々。


 侍女の1人に連れられて、エレオノーレは城から脱出することになった。

 その侍女は言う。

「あの国が、あの将軍王が我が国を」

「姫様。あなただけでも……っ」


 侍女は逃亡の最中、黒甲冑の騎士によって命を落とす。


 エレオノーレはエレアと名前を変え、小さな村で慎ましく生きていた。

 侍女の最後の言葉、

「あの将軍王をどうにかして倒すのです、姫様。そして、我が国の復讐を」

 を心に留めながら。


 追っ手に怯えつつも復讐を誓う彼女の元に、とうとう将軍王からの使者が訪れる。

「将軍王が、あなたを妻にと望んでいる」

 と。
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