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第2章

手伝い

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 せっかくロレンツさんがその場にいるので、私は早速彼のお手伝いを始めることにした。


「それで」

 私は尋ねる。

「私は具体的にどういったお手伝いをすれば良いでしょうか?」

「そうですね」


 ロレンツさんは、顎に手を当てて少し考え込む。

「どんなことにせよ、まずはあなたの能力がなんなのか調べなければなりません。あなたの能力が私の呪いをどのように得かわからない状況で、お手伝いをしていただくわけにはいきませんよ。危険ですからね」

「なるほど。ではどうやって?」

「ステータスカードというものがあります」


 出た。

 ステータスカード。


 異世界転生や転移によくあるやつだ。

 自分の今のレベルや職業、スキルやなんかが一発で把握出来る優れもの。


「もしかしてご存じなんですか?」


 私が聞かないのを見て、ロレンツさんの方が質問してきた。

「ええ、まあ」
 

 私は頭を掻く。

「一応、私の住んでた世界にも同じ言葉があって」


 まあ、かなりマイナーなんだけど。

「へえ。魔女狩りと言い、ステータスカードと言い、あなたの故郷とこの世界には、結構共通点があるんですね」

「ま、まあ。そうみたいですね」

「こことその国には、何かしらの関係性はありそうですね……。まあ、その辺はのちのち暇があれば調べてみましょう。それより、まずはステータスカードです」

「はい」

「ステータスカードは、教会に行けばもらえます。あなたと一緒にここへ召喚された聖女様も、すでに手に入れているはずです」

「そうなんだ」


 そこで、ふと湧いてきた疑問を投げつける。


「それで結局、あの子はこの国を救う聖女様だったの?」


 あの王様の独断と偏見で聖女として選ばれた彼女だったが、実際は本当にそうなのか、どんな能力があるのかわからずに決めていた。

 そのステータスカードとやらを調べれば、彼女が本当に聖女様かどうかわかったはずだ。


「残念ながら」

 ロレンツさんは答えた。

「私のような一介の人間に聖女様のステータスカードを見ることなど出来ないのです。彼女のステータスカードは、彼女と一部の人間しか確認出来ません。ただ、ステータスカードを教会から手に入れても、聖女様が聖女様として過ごしているということは、彼女は実際にそうだったのでしょうね」

「なるほど……」


 つまりは、結局神様も顔で聖女を選んだらしい。


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