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2章

2章49話(150話)

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「あれ、側室の子だから王位継承権がないに等しいって言っていなかった?」
「ええ。側室の子でも、健康な男性は王位継承権があるの。わたくしは女性だから……、それに、あの国を継ごうとも考えたことなかったのよね……」

 側室の子でも健康な男性は王位継承権がある? ……では、健康な女性は……政略結婚させるから、王位継承権がない?

「一度だけ女王になった時があったのだけど、その時はすぐに女王が斃されてしまったようだし……」
「え」
「男性を産めなかったのが悪いんですって。怖い国でしょう?」

 苦笑を浮かべるディアに、私たちは口を開けなかった。……側室がいるのは、確実に男性を産ませて、その子どもに王位継承権が行くように……?

「……当たり前な話だけど、やっぱりこの国とは全然違うんだね……」

 どこか感心したようなハリスンさんに、私も同意のうなずきを返した。イヴォンが馬車の背もたれに身を預けて、大きなため息を吐いた。

「……私なら、耐えられないなぁ……」

 ぽつりとそんなことを口にするイヴォンに、ハリスンさんが思わずと言うように顔を向ける。イヴォンはちらりとハリスンさんを見て、それから「気にしないで」と口にした。
 ハリスンさんがそれでもイヴォンになにかを言おうと口を開こうとしたとき、馬車が止まった。どうやら王都の近くについたみたい。
 トン、と窓の扉がノックされた。私たちは小さくうなずき合い、ハリスンさんが「ついたのか?」と声を掛ける。

「はい。神殿の近くにしました」

 カインの声だ。馬車の扉が開き、ハリスンさんから馬車を降りる。その次にイヴォンがハリスンさんにエスコートされながら降り、私はカインの手を借り、ディアはシー兄様にエスコートされていた。……ほんの少し、ディアの頬が赤くなっているように見えたけれど……気のせいかしら?

「それにしても、アンダーソン家の家系図なんて見て、どうするんだ?」
「あら、シー兄様。気になりませんか?」
「気にしたことはなかったな」

 神殿まで少し歩くようなので、御者には待っていてもらうことになった。馬を休ませる場所が近くにあるようで、そこで待っているとその場所へ向かって行った。その場所はカインもシー兄様も知っているみたい。

「……アンダーソン家は、四大公爵家の中で一番古い家門ですよね」

 ディアの言葉に、シー兄様がうなずく。
 四大公爵家――……。
 剣術のダグラス家、頭脳のロバーツ家、魔法のカーライル家、そして、最古のアンダーソン家。……色々役割はあるみたいなのだけど、ダグラス家の方やロバーツ家の方とはお会いしたことがない……と思う。
 二年間、お茶会にも誘われなかったし、誘ったこともなかったし……。あ、でもお父様やお母様はたまに夜会に誘われていたような気がする。公爵という爵位同士、仲が良いのかしら……?
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