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2章

2章99話(200話)

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「もちろん、エリザベスのことはずっと気になっているわよ?」
「いや、同性じゃなくて……!」
「私のことが気になる?」
「そもそも恋愛感情がよくわからないわ」

 ジーンは茶化そうとしていたのか、それともただ単に話を誤魔化そうとしていたのか、どっちなのかはわからないけれど、顎に手を掛けて緩やかに微笑んだ。

「これから知っていくのよ」
「ジーン?」
「二年もの間、良く婚約者が出来なかったわね……。アンダーソン家の配慮かしら?」
「……配慮?」
「普通の公爵令嬢は早々に婚約しちゃうのよ。レイチェル様だって婚約者いらっしゃるし」
「……え!?」

 レイチェル様にも……! 貴族の結婚は早いと聞いたことはあるけれど、私には縁のない話(火傷を負っていたから)だと、ファロン家の両親からたくさん言われていた。
 二年前にヴィニー殿下の婚約者候補と言われた時も、後から同じ年齢くらいの女性はみんな婚約者候補と聞いていたし……。そう言えば、ファロン家ではジュリーの婚約者を誰にしようか話し合っていたわ……。私はいないものとするような話をしていたわね……。……色々複雑な気持ちになった。……まだ覚えているものね。

「あれ、それじゃあジーンにも婚約者がいるのでは……?」
「それがねぇ、私こういう性格だからか、中々良い縁には……」

 そう言って視線を下げるジーンに、私は驚いて「ええ?」と声を上げた。ジーンの性格が問題だとは思わないのだけど……。

「それに、実は好きな人、いるの」
 こそっと教えてくれた。
「えええっ?」
「憧れに近いけれどね。……でもまぁ、時期が来たら私も結婚しないといけないわね……」
「そ、そういうものなの……?」
「貴族の結婚って大体、結婚してから好きになっていくものよ。……だからこそ、物語のような恋に、憧れるのかもしれないわね」

 ……色々と衝撃的なことを聞いたような気がする。そして、ジーンの好きな人が気になるけれど、さすがにそこまで踏み込んじゃいけないような……。私がじっとジーンを見ていると、ジーンはにこっと笑みを浮かべて私の頭を撫でた。

「イヴォンには内緒にしてね」
「どうして?」
「だってイヴォンのことだもの。力を貸してくれようとするわ。私はね、イヴォンには舞姫に集中して欲しいの。イヴォンの恋を応援したいから」
「……そっか、うん、わかったわ。私もイヴォンの恋を応援しているもの」

 ……そのうち教えてくれるのかな、ジーンの好きな人。……みんな、恋をしているんだなぁと考えて少し羨ましくなった。
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