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2章
2章100話(201話)
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それから一時間もしないうちにイヴォンが戻って来て、部屋の中に入ると急いで扉を閉めてゆっくりと息を吐く。その様子を見て、私とジーンは互いに顔を見合わせて、緩やかに微笑みを浮かべた。
ジーンがお茶を用意して、三人でお茶の時間に。イヴォンはお茶を受け取って、ちらりとジーンを見ると「ありがとう」とお礼を口にしてからカップに口をつけた。私もジーンからお茶を受け取って一口飲む。美味しい。
「ジーンはお茶を淹れるのが得意ね」
「口に合っているのならなによりだわ」
ジーンもお茶を口に運び、こくりと飲み込んでから微笑んだ。そして、イヴォンはふー、と長い息を吐いてから私たちを見た。
「今日、エントリーして来たわ」
「お疲れ様。混んでいた?」
「そこそこにね。これからもっと増えるんじゃないかしら」
忙しくなりそう、と呟くイヴォンに、私は出来るだけのフォローをしようと意気込む。イヴォンの恋を応援しようと決めたのだ。このくらいのことはしたい。……私のフォローが必要ではないかもしれないけれど、友人のためになにかをしたい。
「それで、リザのほうはどうだったの?」
「ああ、うん……、あ、待って。ディアを呼んでも良い?」
「もちろんよ」
二人がうなずいてくれたので、私はイヤリングを取り出してディアに連絡を取った。すると、ディアはどうやらレイチェル様と一緒に居たようで、レイチェル様も一緒に行っていいかと聞かれたので、ジーンとイヴォンに聞いてみると、二人とも「いいよ」と言ってくれたのでディアにそう伝えると、ホッとしたような声で「今から向かうね」と答えてから声が聞こえなくなった。
それから十分もしないうちに、ディアとレイチェル様が部屋に来て、二人に入ってもらう。
「お茶を用意するね、お菓子も」
「ありがとう、ありがたくいただくよ」
レイチェル様がそう言って、ジーンがお茶とお菓子を用意してくれた後に、私はディアに顔を向けて、王城でのことを話した。ディアは真剣に聞いてくれて、それから少しだけ困惑したように頬に手を添えた。
「陛下はどうして……わたくしに良くしてくれるのかしら……?」
「そりゃあ、他国のお姫様だもの」
きっぱりと言い切ったレイチェル様は、クッキーに手を伸ばしてぱくりと一口で食べた。
「レーベルク王国にクラウディア王城が留学の様子を伝えた時に、ウォルテア王国のことを悪く言ったら……ねぇ?」
「そ、そんなことしませんわ!」
「うん、君はしないだろうね。それでも、大事にしているということをアピールしたいのさ、陛下は。外交的な意味で」
「……それに、ディアは一人でこの国に来たしね……。陛下も、そこを気にしていらっしゃるのかもしれないわ……」
レイチェル様とジーンがそう言うと、ディアは小さく息を吐いた。
「……たとえ十四番目の王女でも、王族として扱ってくださっている……というわけなのね……」
ありがたいけれども、わたくしに返せるものはないわ……と呟くディアに、私はそっと彼女の手を取った。
「確かに陛下はディアのことを気にかけていたけれど、どちらかと言えば心配しているように見えたわ」
「心配?」
「留学先のこの国で、寂しい思いをしていないか、楽しく過ごせているのか……私にそういうことも尋ねられたもの」
驚いたように目を大きく見開くディアに、私は微笑みを浮かべた。そして、「そっか」と笑みを浮かべるディアに、安堵した。不安そうな表情よりも、笑顔のほうがディアには似合うと思うから。
ジーンがお茶を用意して、三人でお茶の時間に。イヴォンはお茶を受け取って、ちらりとジーンを見ると「ありがとう」とお礼を口にしてからカップに口をつけた。私もジーンからお茶を受け取って一口飲む。美味しい。
「ジーンはお茶を淹れるのが得意ね」
「口に合っているのならなによりだわ」
ジーンもお茶を口に運び、こくりと飲み込んでから微笑んだ。そして、イヴォンはふー、と長い息を吐いてから私たちを見た。
「今日、エントリーして来たわ」
「お疲れ様。混んでいた?」
「そこそこにね。これからもっと増えるんじゃないかしら」
忙しくなりそう、と呟くイヴォンに、私は出来るだけのフォローをしようと意気込む。イヴォンの恋を応援しようと決めたのだ。このくらいのことはしたい。……私のフォローが必要ではないかもしれないけれど、友人のためになにかをしたい。
「それで、リザのほうはどうだったの?」
「ああ、うん……、あ、待って。ディアを呼んでも良い?」
「もちろんよ」
二人がうなずいてくれたので、私はイヤリングを取り出してディアに連絡を取った。すると、ディアはどうやらレイチェル様と一緒に居たようで、レイチェル様も一緒に行っていいかと聞かれたので、ジーンとイヴォンに聞いてみると、二人とも「いいよ」と言ってくれたのでディアにそう伝えると、ホッとしたような声で「今から向かうね」と答えてから声が聞こえなくなった。
それから十分もしないうちに、ディアとレイチェル様が部屋に来て、二人に入ってもらう。
「お茶を用意するね、お菓子も」
「ありがとう、ありがたくいただくよ」
レイチェル様がそう言って、ジーンがお茶とお菓子を用意してくれた後に、私はディアに顔を向けて、王城でのことを話した。ディアは真剣に聞いてくれて、それから少しだけ困惑したように頬に手を添えた。
「陛下はどうして……わたくしに良くしてくれるのかしら……?」
「そりゃあ、他国のお姫様だもの」
きっぱりと言い切ったレイチェル様は、クッキーに手を伸ばしてぱくりと一口で食べた。
「レーベルク王国にクラウディア王城が留学の様子を伝えた時に、ウォルテア王国のことを悪く言ったら……ねぇ?」
「そ、そんなことしませんわ!」
「うん、君はしないだろうね。それでも、大事にしているということをアピールしたいのさ、陛下は。外交的な意味で」
「……それに、ディアは一人でこの国に来たしね……。陛下も、そこを気にしていらっしゃるのかもしれないわ……」
レイチェル様とジーンがそう言うと、ディアは小さく息を吐いた。
「……たとえ十四番目の王女でも、王族として扱ってくださっている……というわけなのね……」
ありがたいけれども、わたくしに返せるものはないわ……と呟くディアに、私はそっと彼女の手を取った。
「確かに陛下はディアのことを気にかけていたけれど、どちらかと言えば心配しているように見えたわ」
「心配?」
「留学先のこの国で、寂しい思いをしていないか、楽しく過ごせているのか……私にそういうことも尋ねられたもの」
驚いたように目を大きく見開くディアに、私は微笑みを浮かべた。そして、「そっか」と笑みを浮かべるディアに、安堵した。不安そうな表情よりも、笑顔のほうがディアには似合うと思うから。
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