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2章
2章107話(208話)
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そしてすべての授業を終えてから、ディアとジーン、私で建国祭のダンスを考える。練習する時間も欲しいから、そろそろ決定しないと……。この国の伝統的な踊りと、ディアの故郷の踊りを混ぜ合わせた構成になっているけれど、今ひとつインパクトがないとディアが頭を悩ませていた。インパクトは大事なのかしら?
「うーん、一度踊ってみてから決めるのは?」
「そうね……曲はもう決まっているし……。合わせてみないとわからないわよね」
ジーンとディアの会話を聞きながら、私は必死に踊りを覚えていた。それなりに体力はついたと思うけれど、建国祭までに動きを身体に覚えさせないといけない。……あまり得意分野ではないから、二人に迷惑を掛けちゃう気がして……。
二人にあらかじめそう伝えてはいるけれど……。ジーンは「大丈夫よ、私もだから」と励ますように私の肩に手を添え、ディアは「あまり難しくはないと思うから、ゆっくり覚えていきましょ?」と微笑んだ。
一度だけ、ディアが故郷の踊りを見せてくれた。「祖母に習ったの」と少し誇らしげに言って、レーベルク王国の伝統的な踊りを舞った。その時の衝撃は、今でも忘れられない。頭の先からつま先まで、ううん、むしろ動くたびに揺れる髪でさえ、彼女を引き立たせる。指先の一本一本まで繊細な動き。それをそうと感じさせない踊りだった。あまりにも綺麗で、踊り終わったディアに向けて何度も拍手をしたのは記憶に新しい。
「建国祭の時って、小道具を使っても良いのかしら?」
「小道具?」
「動きをより綺麗に魅せるために」
ディアがワクワクとした表情を浮かべながら尋ねて来た。私はジーンに顔を向ける。……ジーンは肩をすくめた。知らないみたいだ。もちろん、私も知らない。
「あとで聞いてみるね」
「踊り子の服も考えないといけないわね……。ドレスだとこの動きは難しそうだし……」
今は制服だから踊りやすいけど、と呟くディア。ディアはこういう創作ダンスを考えるのが好きなのかもしれない。
「レーベルク王国では、どんな服だったの?」
踊り子の服、という言葉に反応したのはジーンだった。ディアはうーんと悩むように口元に手を掛けて、紙とペンを取り出すとさらさらと描いていく。
「こんな感じ」
「……それはまた、露出が多いのね……」
「さすがにこの国の建国祭で、この格好はイヤでしょう?」
ディアが描いた踊り子の服は確かに露出が多く、私たちが着るにはかなり勇気のいる格好だった。レーベルク王国ではこの格好が当たり前なのかしら……? とディアを見ると、ディアもこの格好はイヤだったみたいで、さらさらとまた別の絵を描いていく。
「こういうのはどうかしら?」
「わぁ、すごい。これなら露出も抑えられているし、動きやすそうね」
「……でも、こんな格好見たことないわ。特注になるのでは……?」
「物は試し、今度デザイナーに頼んでみましょう」
服装に関しても、国の祭りということで陛下からの援助がある。援助というか、代々舞姫の衣装を担当していた人たちが協力してくれる、らしい。ヴィニー殿下からそう伝えられた。全力でサポートしてくれるらしいので、衣装はその人たちにお願いすることになっている。
「……ディアは絵も上手なのね……」
ジーンが感心したように呟いて、絵を眺める。私もこくこくとうなずいて絵を眺めた。
「うふふ、ありがとう。絵も祖母から教わったの」
嬉しそうに笑うディアを見て、ディアのおばあ様のことが気になった。いつかお会いすることがあれば、色々な話をしてみたいわ。
「うーん、一度踊ってみてから決めるのは?」
「そうね……曲はもう決まっているし……。合わせてみないとわからないわよね」
ジーンとディアの会話を聞きながら、私は必死に踊りを覚えていた。それなりに体力はついたと思うけれど、建国祭までに動きを身体に覚えさせないといけない。……あまり得意分野ではないから、二人に迷惑を掛けちゃう気がして……。
二人にあらかじめそう伝えてはいるけれど……。ジーンは「大丈夫よ、私もだから」と励ますように私の肩に手を添え、ディアは「あまり難しくはないと思うから、ゆっくり覚えていきましょ?」と微笑んだ。
一度だけ、ディアが故郷の踊りを見せてくれた。「祖母に習ったの」と少し誇らしげに言って、レーベルク王国の伝統的な踊りを舞った。その時の衝撃は、今でも忘れられない。頭の先からつま先まで、ううん、むしろ動くたびに揺れる髪でさえ、彼女を引き立たせる。指先の一本一本まで繊細な動き。それをそうと感じさせない踊りだった。あまりにも綺麗で、踊り終わったディアに向けて何度も拍手をしたのは記憶に新しい。
「建国祭の時って、小道具を使っても良いのかしら?」
「小道具?」
「動きをより綺麗に魅せるために」
ディアがワクワクとした表情を浮かべながら尋ねて来た。私はジーンに顔を向ける。……ジーンは肩をすくめた。知らないみたいだ。もちろん、私も知らない。
「あとで聞いてみるね」
「踊り子の服も考えないといけないわね……。ドレスだとこの動きは難しそうだし……」
今は制服だから踊りやすいけど、と呟くディア。ディアはこういう創作ダンスを考えるのが好きなのかもしれない。
「レーベルク王国では、どんな服だったの?」
踊り子の服、という言葉に反応したのはジーンだった。ディアはうーんと悩むように口元に手を掛けて、紙とペンを取り出すとさらさらと描いていく。
「こんな感じ」
「……それはまた、露出が多いのね……」
「さすがにこの国の建国祭で、この格好はイヤでしょう?」
ディアが描いた踊り子の服は確かに露出が多く、私たちが着るにはかなり勇気のいる格好だった。レーベルク王国ではこの格好が当たり前なのかしら……? とディアを見ると、ディアもこの格好はイヤだったみたいで、さらさらとまた別の絵を描いていく。
「こういうのはどうかしら?」
「わぁ、すごい。これなら露出も抑えられているし、動きやすそうね」
「……でも、こんな格好見たことないわ。特注になるのでは……?」
「物は試し、今度デザイナーに頼んでみましょう」
服装に関しても、国の祭りということで陛下からの援助がある。援助というか、代々舞姫の衣装を担当していた人たちが協力してくれる、らしい。ヴィニー殿下からそう伝えられた。全力でサポートしてくれるらしいので、衣装はその人たちにお願いすることになっている。
「……ディアは絵も上手なのね……」
ジーンが感心したように呟いて、絵を眺める。私もこくこくとうなずいて絵を眺めた。
「うふふ、ありがとう。絵も祖母から教わったの」
嬉しそうに笑うディアを見て、ディアのおばあ様のことが気になった。いつかお会いすることがあれば、色々な話をしてみたいわ。
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