149 / 353
3章
3章11話(211話)
しおりを挟む昼のステージではジーンがセンターだった。グレン先生の故郷である国の民族衣装を知り、着てみたい、ジーンが行ったのでデザイナーに頼んで作ってもらったのだ。もちろん、グレン先生も交えて。昼のステージはどちらかと言えばしっとりとしたダンスで、艶やかなイメージ。ジーンの大人っぽい雰囲気に良くマッチしていると思う。
そして、夜では私がセンターだったから、ひらひらとした布で自信を大きく見せる衣装にした。……私の身長は少しだけ高くなったけれど、やっぱりジーンとディアに比べると低いから……。
そして、夜のステージではライトアップされていて、そのライトはなんと魔塔の人たちが魔法で出した目にも優しく、幻想的に見せてくれる淡い光だった。ヴィニー殿下が頼んでくれたのかな? だからあんな風に笑ったのかしら? と考えながら、ダンスをした。ひらりと布が揺れるのと、淡い光が相まって、幻想の世界で踊っているように感じた。
本日のステージがすべて終わり、控室に入り魔法を使って汗を流した。さっぱりしてから着替えると、扉がノックされる音が聞こえた。
「ジェリーです」
「入って、ジェリー」
「お邪魔します。えっと、ジーン様、ディア様、リザお姉様、お疲れ様でした!」
扉を開けて入って来たのはジェリーだ。警備の人には昼のステージ前に伝えていた。警備も交代制だろうから、きちんと伝えてくれたみたい。
「これから旅芸人のステージを観に行こうと思うのだけど、良かったら一緒に行かない?」
ジーンとディアを誘うと、彼女たちは目を輝かせて「良いの?」と聞いて来たので、ジェリーと声を合わせて「もちろん!」と口にした。
その後、ヴィニー殿下がアル兄様とシー兄様も連れて来たので、みんなでその旅芸人のステージまで行くことになった。
ここからあまり遠くない場所でやっているみたいで、シェイドが探し当ててくれたみたい。シェイドに「ありがとう」と伝えると、照れたように隠れてしまった。
「シェイドは本当にシャイなんだから」
と、ヴィニー殿下が肩をすくめていたのが少し、面白かった。
旅芸人のステージは、とても盛り上がっていた。私たちは、先客の邪魔にならないように端の方へと向かう。そこで立ったまま見ることにしたのだ。
「すごい熱気ね……」
「本当、でもなんだか楽しそう」
「あんなにボールを持っているのに、どうして一個も落とさないのかしら……?」
私たちが入った頃には、ステージの真ん中に人が立っていて、その横でしゃがんだ人が居て、ボールを次々と高く放ってはボールをキャッチし、くるくると器用にボールを回していた。その後、次々追加されるボールに対して嫌気が差したかのようにステージ上を歩いていたけれど、ボールを操っている人が上手なのか、ボールをパスする人が上手なのか、またボールが増えていく。最後にはもう無理! とばかりにたかーく放って、華麗に落ちて来るボールを避けていたけれど、最後の一個が頭に当たってころんと落ちた。
ボールに視線を向けた後、頭を撫でて、「これかぁ!」とばかりに大きくうなずき、ぽんと手を叩くところで、拍手と笑いに包まれた。
応援ありがとうございます!
11
お気に入りに追加
8,761
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。