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3章

3章37話(247話)

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 私たちはその後、その通りをくるりと一周して、いろいろな物を見て、買い物をしたり、他の人たちとお話をしたりと建国祭を楽しんだ。
 ヴィニー殿下たちにホテルまで送ってもらい、ホテルの宿泊している部屋へと向かった。

「舞姫たち、お帰りなさいませ。こちらをどうぞ」

 そう言って女性が手紙を渡した。私たちはそれを受け取って差出人を見た。

「……あら?」

 差出人を確認して、私が小さく呟くと、ジーンとディアも意外そうにその手紙の差出人を見ていた。

「……お母様からだわ」
「わたくしも、なぜかアンダーソン家の方から……」
「私はお父様だったわ」

 渡してくれた人に「ありがとう」とお礼を言ってから部屋に入り、ベッドに座って早速手紙を読んだ。マリアお母様の字で書かれていた手紙は、私のことを気遣うことが書かれていて、心がくすぐったくなった。

「返事を書かなくちゃね」
「でも、今日はもう遅いから……、明日便箋と封筒を買って来てくれるように頼みましょう」
「そうね……って、ディア、どうしたの!?」

 ポロポロと涙を流すディアに驚いて、私たちは慌てて彼女の元に駆け寄った。ディアは自分が泣いていることに気付いていないようで、「え?」と顔を上げて、ぽたりと涙が手紙に落ちたことで泣いていることに気付いたようだった。
 そっと頬に手を添えてそれから顔を覆い隠すように泣き始めた。

「ディ、ディア……、どうしたの……?」
「……おばあさまが……手紙を下さったの……」
「えっ?」

 どうやらアンダーソン家宛てに、ディアのおばあ様から手紙が出されたみたいで、ディアに渡して欲しいと頼まれたそうだ。

「だからアンダーソン家の名で届いたのね……」

 私が納得して呟くと、ジーンがディアの隣に座って、そっと彼女の肩に手を置いてぎゅっと抱きしめた。
 私も反対側に座って、ディアを抱きしめた。

「わたくし……、ここに来て本当に楽しくて……」

 ディアは泣きながらも言葉をぽつぽつとこぼした。小さな声だったから耳をすまして聞いていた。

「みんなと友人になれて……、アカデミーの授業も楽しくて……でも、やっぱり国に居るおばあさまが恋しくて……。手紙を出そうと何度も思ったのだけれど……」

 目元を擦ろうとするディアの手をやんわりと止めて、代わりにハンカチを渡したジーン。ディアはそのハンカチを受け取って、そっと涙を拭いた。

「ずっと、おばあさまが元気でお過ごしなのか気になってはいたの……。でも、わたくしは……手紙を出せなくて……。おばあさま……こんなにも、わたくしのことを、心配してくださっていたのね……」
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